( 273499 )  2025/03/10 03:58:30  
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自民党の森山裕幹事長の所有する鹿児島の豪邸が登記上存在しない状態になっている問題が浮上している。

豪邸は未登記とされ、実際には平屋建ての住宅が建っているとされる。

森山氏はこの問題に対し、所有権は持っているものの登記が行われていなかったことを認め、司法書士に登記依頼したとコメントしている。

(要約)

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森山裕幹事長 

 

 自民党ナンバー2で国会運営を一手に切り盛りする森山裕(ひろし)・幹事長(79)に何ともお粗末な問題が浮上している。地元・鹿児島に所有する大豪邸が長年にわたって登記上、存在しない“幽霊邸宅”になっているというのだ。前代未聞の椿事に、さて森山氏は何と答えるか。 

 

 *** 

 

 九州南端に位置する鹿児島県。その中心部にあるJR鹿児島中央駅から2キロほど南東に下ると、周囲には住宅街が広がってくる。 

 

 その一画に建つのが、通りからは全貌がうかがえない奥行きを持つ、重厚な造りの4階建ての居宅だ。 

 

 表札に掲げられた名前は〈森山裕〉。自民党幹事長で、国会運営を切り盛りする森山氏所有の大豪邸である。 

 

 全国紙政治部デスクが言うには、 

 

「鹿児島市内にあるこの自宅には、森山氏の妻が住んでいるそうです。森山氏の出身地は同県鹿屋(かのや)市で、選挙区である地元・鹿児島に戻ってきても、陳情への対応やあいさつ回りで忙しく、森山氏が自宅で妻と過ごすことはほとんどないと聞いています」 

 

 実はこの建物を巡っていま、永田町で奇妙な情報が流れている。いわく、「これだけの大豪邸なのに、登記上は存在しないことになっている」というのだ。 

 

 細やかな目配りと配慮で知られ、石破茂首相も全幅の信頼を寄せる森山氏に浮上した重大疑惑。情報の真偽を確かめるため、くだんの豪邸の登記簿謄本を取得すると、確かに登記上、豪邸は“存在しない”ことになっていた――。 

 

 一体どういうことなのか。問題の自宅は、二つの地番にまたがる形で建っており、両地番の土地の所有者は森山氏だ(一部は家族名義)。 

 

 しかし登記上、一方の地番に建物は存在せず、一見すると更地と誤認しかねない。正確には2000年に森山氏の旧宅が取り壊され、登記が閉鎖されて以降、新たな建物登記はない状態となっている。 

 

 不可解なのは、もう一方の地番に建つ建物だ。実際には影も形もない木造瓦ぶき平屋建ての住宅が建っていることになっているのだ。 

 

 近隣住民によれば、 

 

「昔は(豪邸の建つ土地は)更地でしたが、そのうち(通りから見て)奥側に森山先生の旧宅が建ち、それも一度、取り壊された。そして20年以上前に、現在の立派なご自宅が建ったと記憶しています」 

 

 この木造平屋はMという姓の兄弟二人が共同所有しており、1961年に相続によって所有権移転が行われてから現在まで、登記情報に変更はない。つまり登記上、存在する建物はこの平屋だけなのだ。 

 

 森山氏の資産等報告書(2022年)を見ると、資産として記載されているのは、この平屋(床面積77.78平方メートル)部分のみ。しかし同報告書には、豪邸の延べ床面積が554.75平方メートルと記されている……。 

 

 

 まるで奇々怪々なミステリー小説のようだが、いずれにせよ、森山氏の自宅が「長年にわたって未登記の状態にある可能性は高い」と話すのは、司法書士法人ミラシア代表の元木翼氏(司法書士)である。 

 

「不動産登記法は第47条で〈所有権の取得の日から一月以内に(中略)登記を申請しなければならない〉と定めており、違反すれば〈十万円以下の過料に処する〉(同164条)との罰則も付記されています。ただ現実に未登記のケースは少なくなく、過料を科された事例は聞いたことがないものの、法律に抵触する行為であるのは確かです」 

 

 前述の兄弟は二人とも開業医だったことが確認できたが、鹿児島市内と都内にあったいずれの医院も廃業。また二人ともすでに亡くなっていることが分かった。 

 

 木造平屋の所有者である兄側の息子が都内に住んでいることが判明したため、話を聞くと、 

 

「父が鹿児島に家を持っていたことは初耳ですし、(現所有者の)森山さんについても何も知らない。私はその家を相続していませんし、そもそも約25年前に亡くなった父は、鹿児島の家について何も話していませんでした」 

 

 豪邸の建つ土地の一方は1976年に、もう一方はその9年後に森山氏名義となったが、謄本には売買相手である前所有者の情報は記されていない。とはいえ、いずれかの土地が兄弟のものだった可能性は否定できない。 

 

 一方で資産等報告書によれば、この自宅以外にも、森山氏は鹿児島市と霧島市内に計四つの土地を所有し、資産額は8136万円に上るとされる。 

 

 さらに森山氏は東証プライム上場のITコンサルティング企業「フューチャー」社の大株主であり、約116万株を保有。同社の創業者が後援者の息子だった縁から、1989年の創業時、応援のため森山氏はヘソクリの210万円を出して42株を購入。それが99年に上場するや、約13億円に大化けした逸話は有名だ。 

 

 フューチャー社の配当収入はいまも約4300万円(22年)に上り、そのおかげで森山氏は政治資金パーティーを開く必要がないといわれている。 

 

 それもあってか、地元の不動産業者は「あれだけの豪邸を建てるとなると、上物だけで8000万円以上かかるが、森山先生にとっては大きな出費ではないのでは」と話す。 

 

 

 さて、当の森山氏はどう答えるか。実は取材を始めた当初、自宅周辺で聞き込みをしていた記者に森山氏から「逃げも隠れもしない。聞きたいことがあるなら私が直接答える」と電話がかかってきた。 

 

“取材にはいくらでも応じる”との意向を示したため、早速、事務所に質問書を送り、回答期限が近づいた頃、改めて森山氏に確認の電話を入れると、「弁護士にも相談して文書で回答する」と一転して慎重姿勢に。 

 

 ただこの間、森山氏は、 

 

「あの自宅はフューチャー社の上場時にビックリするくらいのお金が入って、それで(建築費は)融資を受けずに一括で払ったもの。1億まではいかなかったと思う。当時、42株持っていたフューチャー株のうち4株ほどを売って、1億数千万円が入ってきたので(新しく)家を建てた。固定資産税はきちんと払っており、証明する領収書もある」 

 

 と話した。しかし、そういう事情だとしても、25年にわたって建物登記が存在しない状態が続いているのは異常だ。 

 

 その点も指摘した上で、森山氏から届いた回答は、 

 

「毎年公租公課も支払っているので、当然、保存登記されていると思っていました。しかし、今回のご指摘を受けて確認したところ未登記でしたので、直ちに司法書士に登記を依頼したところです」 

 

 というものだった。改めて電話で見解を尋ねると、 

 

「失念していたとはいえ、反省しています。今後は気を付けたいと思います」 

 

 と神妙に述べた。遵法意識に欠けていることは言うまでもない。自民党の幹事長がこれでは、さすがにまずかろう。 

 

「週刊新潮」2025年3月6日号 掲載 

 

新潮社 

 

 

 
 

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