( 273636 ) 2025/03/10 06:31:47 0 00 総資産2,000万円・最高年収800万円、65歳会社員が感無量の退職。現役時代を支えてくれた妻に「感謝のハワイ旅行」を計画していたが…急転直下、一人ぼっちの老後に涙
年金暮らしになる65歳前後は人生の大きな節目です。長年働いた会社を退職し支えてくれたパートナーに感謝を伝える。そんな良いタイミングでもあります。ところが、伝えた時には時すでに遅しという悲しいケースも。見ていきましょう。
中山幸一さん(仮名・65歳)は、長年勤め上げた会社を退職。これまでの42年間を振り返り、万感の思いでした。
中小企業の営業マンとして働き、最高年収800万円とそれなりの収入を得て、子ども2人も無事独立しました。
妻もパートとして家計を支え、家族の総資産は退職金の残りと貯蓄を合わせて2,000万円。年金は月26万円程度です。住宅ローンの返済も終わっており、贅沢をしなければ十分に楽しく暮らしていけると考えていました。
中山さんの現役時代は、平日は仕事で手いっぱい。休日は家族サービスをするよりも家でゴロゴロするタイプ。妻も平日は家事とパートで多忙を極めている様子でしたが、特にお礼を言ったことはありません。
夫婦は言葉がなくても支え合って生きていくもの。自分の父と母も会話が多くなかったため、無意識にそのように考えていたのです。
そんな中山さんは、退職のタイミングで妻へのプレゼントを用意していました。新婚旅行以来の2人旅です。海外にたっぷり8日ほど、行く場所は60代の自分たちでもゆったりとできそうなハワイです。チケットとホテル、現地ツアーで100万円を余裕で超える金額でした。
退職当日は、会社の同僚の送別会で帰りが遅くなった中山さん。翌日、いつも通り朝食を用意していた妻に、意気揚々と「ようやく退職だ、これからは2人の生活になるから、手始めに旅行でも行こう」そう伝えたのですが……。
帰ってきた言葉は、想像とは違うものでした。妻は「旅行? 一人で行ってくださいね。私は出ていきますので」と言い、静かに席を立ってしまったのです。
「一人でどうやって暮らしていくっていうんだ? 金もないのに暮らせるわけないだろう」
つい声を荒らげた中山さんでしたが、妻は離婚を視野に、パートから社員へのステップアップを模索。70代になっても働ける仕事をしっかりと見つけていました。
一人で暮らすアパートも既に決めており、子ども2人も妻の援助をするといいます。家にお金を入れるだけでそれ以上のことをしなかった中山さんを、静かに見限っていたのです。
気付かぬうちに孤立無援状態になっていた中山さん。それから数日して、弁護士から離婚協議に関する書類が届き、妻が完全に本気だということが分かったのです。
財産分割においては、婚姻期間中に夫婦が築いた財産が対象となります。婚姻期間中に築いた財産には退職金も含まれ、預貯金などの財産も一般的に50%までが分割の対象。夫の厚生年金も離婚時には50%まで分割できることになっています。
妻の要求は、家族で暮らしていたマンションの売却価値と預金から計算して1,800万円。加えて、夫婦で収めた厚生年金の分割も求めてきました。あまりに大きな金額に中山さんは抗議したものの、それでも上限での請求ではないと聞き、泣く泣く要求を飲むことにしました。
こうして離婚が成立しましたが、失ったお金の大きさに中山さんはさらに追い詰められていきます。
妻に現金を渡す代わりに、マンションが手元に残った中山さん。しかし、預貯金は残り1,000万円を割り込み、厚生年金の一部を妻に分割したことで、受給額は激減しました。
広いマンションに住んでいても意味がないこと、管理費や修繕積立金の支払いが今の年金額では厳しいことなどを考慮し、結局中山さんはマンションを売却。コンパクトなマンションに引っ越すことに。
妻に家事を任せっきりで生きてきた中山さんは、慣れない生活に悪戦苦闘。孤独な一人暮らしに落ち込みながらも、なんとか毎日を過ごしていると言います。
2022年に離婚した夫婦のうち同居期間が20年以上だった「熟年離婚」の割合は23.5%と、厚生労働省による統計のある1947年以降で過去最高になりました。
中山さんの家庭のように、妻が長年我慢して暮らしていたものの、夫が退職して在宅時間が長くなることに耐えられず離婚に至る……こんなケースは少なくありません。
夫が「自分はきちんとお金を家に入れてきた、責任を果たしてきた」と思っていても、妻がそれで満足しているとは限りません。
「退職をしたら妻に恩返しを」「退職したら妻との関係を再構築」などと悠長に考えていると、取り返しがつかなくなるケースも。双方コミュニケーションの努力を惜しまず感謝を伝え合うことが必要なのかもしれません。
THE GOLD ONLINE編集部
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