( 274054 )  2025/03/12 04:23:52  
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兵庫県の斎藤元彦知事に関する疑惑を調査していた県議会の調査特別委員会が、「クロ判定」をまとめた報告書を作成した問題が起きた。

その後、3人の元維新所属議員が新たな会派「躍動の会」を結成し、斎藤知事を支持することを表明した。

特に、怪文書や録音データを立花氏に提供したことで不正行為が明るみに出た2人は、百条委員を辞任した。

これを受け、県議会では報告書の了承が多数決で決定された。

一方、捜査ではこれらの提供行為の裏に何があるのか解明を進めている。

(要約)

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集英社オンライン 

 

兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などを調べていた県議会調査特別委員会(百条委)が、パワハラ疑惑などで“クロ判定”の報告書をまとめた問題。知事は報告書を「一つの見解」と一蹴して指摘を受け入れず、亡くなった告発者の私的情報の公開を示唆し反撃の動きを見せている。昨年に斎藤知事の不信任を決議した県議会は、その後の出直し選で再選された斎藤知事に強く出られず、当面静観の構えだ。だが、県庁内で知事への不信は強まっており、県政の混乱は沈静化どころか拡大している。 

 

3人は議会に会派結成の手続きを取った後、動画チャンネル「ReHacQ」に出演し発表した。会派名は「躍動の会」。知事選時の斎藤陣営のスローガン「兵庫の躍動を止めない!」からつけたという。 

 

3人はいずれも維新に所属していたが、岸口氏は除名処分を、増山、白井両氏は離党勧告処分をそれぞれ受けていた。 

 

「岸口氏は選挙告示翌日の昨年11月1日、斎藤知事の疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委)で調査の先頭に立っていた竹内英明県議らが、虚偽の疑惑で知事を追い詰めた“黒幕”だと書いた怪文書をホテルオークラ神戸で会った立花氏に渡しています。 

 

「増山氏は、それに先立つ10月25日に非公開で行なわれた百条委の音声を隠れて録音し、その音声データや怪文書に似た内容の備忘録を告示当日の10月31日に立花氏に提供しています。白井氏も同様の情報の提供を立花氏に申し出ていました。これらが処分理由です。 

 

岸口氏らが提供した材料をもとに立花氏は選挙戦で竹内議員らを非難し、一方で斎藤知事を持ち上げる“2馬力”の選挙を展開し、同様の主張がSNSやリアルの世界で拡大しました。誹謗中傷にさらされた竹内氏は県議を辞職した後、今年1月に自死しました」(地元記者) 

 

立花氏に近づき維新をクビになった3人が結集した形だが、会派を代表する立場の幹事長に就いた増山氏は10日のReHacQでその理由を、維新ととともに斎藤知事を支援することだと説明した。 

 

「この2人とずっと維新でやってきましたし、斎藤さんの掲げる政策だったり、兵庫県が進もうとしている道の思いが、やっぱり一緒のベクトル向いているなというのがあった。兵庫県を改革していこうという。躍動する兵庫をつくるというベクトルですね」(増山氏) 

 

さらに増山氏は、党を立ち上げ2027年の次回県議選で「第一会派になるのが目標です」と打ち上げた。  

 

「40人は(候補者を)立てないと第一会派は取れないかな、と。(候補者探しは)メインは公募になると思いますが、市町の(議員)のかたに声をかける活動もしていこうと思います」(増山氏)  

 

 

政調会長となった白井氏は「偏った報道で真実が県民に届いてないにもかかわらず、それが真実だ、みたいな、オールドメディアの部分があったので、それではいかんだろうと。正しい情報を届けるにはどうしたらいいか、と。議会の現状をきっちりさらけ出したいな、と思ったので(この会派に加わった)」と以前からの持論であるメディア批判を繰り返した。  

 

一方の岸口氏は最年長で県議も5期目と他の2人より長い政治経験を持ちながら役職なしで加わった。 

 

ReHacQでは「百条委の調査報告も終わりましたし、フェーズが変わってきてます。そんな中で、これまで少し言いにくかったところもありますし、私の立場からすると言えなかったこともありましたので、そういったことも含めて三人で会派を組んでこれから主張をしっかりしていきたい」と、会派を組んだのは発信を強めるためだと説明した。  

 

しかし司会者から「言えなかったことって何ですか?」と聞かれると「いえ、それはまだ言えません」と返答し、怪文書問題での説明を拒んだ。  

 

 怪文書を巡っては2月上旬になって立花氏が「岸口議員から頂きました」と出所を暴露。岸口氏は当初メディアの取材にこれを否定した。 

 

しかし途中から「立花氏との面会直前に見知らぬ男が同行者のX氏に文書を届け、その文書が立花氏に渡される場に同席したので、自分が渡したと言われても反論しない」との趣旨の不可解な説明を続けている。 

 

ReHacQでも受け渡しの経緯を聞かれた岸口氏は「何度お尋ねされても同じ答えです」と答えを拒み、「私は処分を受けた時点で、その話よりも、これからどうするかというところに、これからの活動の重きをおいていきたいなと思っております」とはぐらかした。 

 

こうした岸口氏の態度に地元政界関係者は「竹内さんの命を奪う誹謗中傷の起点になった怪文書について、このままスルーできる話ではありません」と指摘。さらにこう続けた。 

 

「岸口氏が当初、怪文書は同行者のX氏が立花氏に渡したように説明しておきながら、突然自分に責任があると言い出したことにメディアや関係者は注目しています。最初は責任逃れをしようとしたか、または事実を言ったものの、X氏に迷惑がかかると悟って自分が責任をかぶらなければ、と思い始めたのではないでしょうか」(政界関係者) 

 

これに絡み、岸口氏を古くから知る別の県政界筋が話す。 

 

「岸口さんは元々、自民党から新生党などを経て民主党へ移った兵庫の大物衆議院議員、故・石井一さんの秘書でした。 

 

石井さんの秘書として生き残るには政治資金集めが上手でなければならず、岸口さんも秘書時代にそうした人脈を開拓したとみられています。実際、石井さんの後押しで県議になった後も、地元アパレル系企業の経営者など“太い筋”を持っていることで有名でした。 

 

X氏はアパレル経営者とは違うようですが、岸口氏の政治活動を支えていた兵庫県でもチカラのある有力者の一人ではないかとの声が出ています」(政界筋) 

 

立花氏に怪文書や隠し録音の音声データを提供した際、岸口氏は百条委の副委員長、増山氏は委員をそれぞれ務めていた。 

 

二人は行為の発覚後、百条委委員を辞任。その後、百条委は、斎藤知事のパワハラをほぼ認め、疑惑を告発して昨年7月に自死した元西播磨県民局長・Aさん(60)に対して斎藤知事らが懲戒処分をかけたことも「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」と結論づけた報告書をまとめた。 

 

これを受けて、3月5日には県議会本会議が、岸口、増山、白井の3氏を除く賛成多数で報告を了承している。 

 

「これをもって岸口氏は『新たなフェーズに入った』と主張し、立花氏との接触問題は終わったことだと印象付けようとしています。しかし現実は違います。 

 

怪文書や秘密録音の音声データが立花氏に提供され、立花氏が内容を拡散させたことで、県や県議会には『百条委員会なんかやめてしまえ』という抗議の電話が殺到するなどして業務に支障がでました。これを受け、百条委の委員長を務めた奥谷謙一県議は偽計業務妨害で兵庫県警に被害届を出しています」(地元記者) 

 

奥谷氏は2月、「業務を妨害され、今回知事選で怪文書の配布とか、録音データが渡されたとか、一体何があったのか解明し、県民の皆様に知っていただく必要が私はあると思ってます。 

 

特に、怪文書をきっかけに竹内県議らはひどい誹謗中傷を受けたところがあります。竹内県議の名誉回復のためにも、背後関係はしっかり解明していかないとと強く思ってます」と決意を述べ、解明のために兵庫県警と綿密に調整を行なっていることを明らかにしている。 

 

怪文書と秘密録音の音声データ提供は、誰が、どのような思惑で動いて実行に移されたのか。新会派結成とは関係なく、捜査は進んでいる。 

 

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班  

 

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