( 274099 )  2025/03/12 05:12:51  
00

日本企業であるAPB社が「夢の電池」と呼ばれる技術の開発を行っていたが、突然全従業員にリストラ通告があり、開発データの消失の危険がある状況に至っている。

国会では、技術が中国に流出しているのではないかという疑惑が浮上しており、APB社の現役社員たちも困惑している。

開発データが失われる可能性が高まっており、事業継続が危ぶまれている。

現役社員らは株主に助けを求めているが、経営陣は解雇や未払いの問題を解消する可能性があると述べている。

(要約)

( 274101 )  2025/03/12 05:12:51  
00

「全従業員をリストラ」通告 「夢の電池」開発企業に異変 開発データ消失の恐れも 

 

 「夢の電池」ともいわれる技術を開発していた日本企業が窮地に陥っています。社員全員が今月中に希望退職するよう求められ、応じなければ解雇すると経営陣から通告されました。一体、何が起きているのでしょうか。 

 

 世界初となる次世代電池の開発で期待されていた、福井県のAPB社で起きているリストラ騒動。番組が取材すると、これまで蓄積してきた開発データさえも、失われる危険が迫っていることが分かりました。 

 

APB社 堀江英明前CEO(2021年) 

「我々は電池を作っていき、今後ここを軸に、アジアはここから輸出をしていきたい」 

 

 2018年に、APB社を立ち上げた堀江氏。元々は日産自動車の技術者で、世界初の量産型EV「リーフ」の車載用電池を開発するなど、日産のレジェンド10人に数えられる1人です。 

 

 その堀江氏がAPB社に移り、量産化を目指していたのが「全樹脂電池」。従来の2倍の電気をためられるうえに、発火や爆発のリスクが低いという、まさに「夢の電池」です。 

 

 経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から、75億円の補助金が支出されています。 

 

 しかし、このAPB社を巡って異変が起きています。これは先月27日の国会でのやり取りです。 

 

無所属(有志の会) 福島伸享衆院議員 

「国策として国のお金を使って研究開発されたプロジェクトが、安全保障上に懸念がある国に技術流出する可能性があるということを、私は国として傍観してはいけないと思うんですね」 

 

武藤容治経産大臣 

「有望な技術については、他国に流出しないよう管理を徹底することも加えて申し上げたいと思います」 

 

 有志の会の福島伸享議員が追及したのは、APB社が開発する次世代電池の技術が、中国に流出しているのではないかという疑惑です。 

 

 福島議員によりますと、2022年にAPB社の筆頭株主が変更。その後、中国企業との接点が急増し、おととしには中国の大手通信機器メーカーの技術者ら4人が工場の視察に来たことも分かっています。 

 

 去年6月には、CEOだった堀江氏も解任されました。 

 

福島衆院議員 

「大臣、この技術が中国に行って、実用化して日本の脅威になる。大臣、責任取れますか?私はちゃんと調べて、しかるべき対処をすべきだと言っているんですけれども、大臣いかがでしょうか?」 

 

武藤容治経産大臣 

「しっかりとそういうことのないように、我々も連携しながらまとめていかなければいけないと思っています」 

 

福島衆院議員 

「国家の危機の可能性があるんだという思いで、この問題に取り組んで頂きたい。大臣、最後に決意をお伺いしたい」 

 

武藤容治経産大臣 

「私なりに調査をしてみます」 

 

 

 今、APB社で何が起きているのか。番組は3人の現役社員に話を聞くことができました。 

 

 すると、実はこの国会審議の翌日にAPB社では驚くような事態が起きていました。 

 

APB現役社員 

「実は、その次の日に全社員を集めたミーティングがありまして。そこで、こういう資料が出てきた。3月末までを期日として、自己退職を勧めるといった内容でした。3月末までに応じない場合は、解雇予告を出して、4月末で全従業員を解雇するという話でした」 

 

 経営陣から伝えられたのは、およそ50人の社員全員をリストラするという内容。突然のことに、説明会は紛糾したといいます。 

 

APB現役社員 

「給与も未払いなんですよ。この状態で逃げるつもりなんだろうなという感じにしか思えなかったですね。今のところ、3カ月分未払いの状態になっております。生活が全社員、困窮してますので」 

 

APB現役社員 

「本当に頭が真っ白になるような、何を考えて良いか分からないような、あまりの出来事すぎてという状態です」 

「(Q.社員がいなくなったら開発は誰がする?)明確な答えはいただけませんでした。すなわち会社が終わる。事業が継続できなくなるということを意味すると思うのですが、箱だけが残って、ゾンビ企業のような状態になるだけではないかなと」 

 

 さらに、これまで蓄積してきた次世代電池の開発データも、危険な状況にあるといいます。 

 

APB現役社員 

「クラウドサービスの利用料金も支払いができていないというところで。未払いによるサービス停止となると、クラウド上にあるこれまでの開発データであったり知財であったり、そういったものがなくなってしまうという恐れがあります」 

 

APB現役社員 

「(Q.クラウドサービスを続ける費用は高い?)いえ、そのミーティングの場においては50万円ぐらいだという話が出まして。費用は捻出できないという話をされました」 

 

APB現役社員 

「長い期間、成功例だけでなく失敗例も含めて、ノウハウというのが非常に詰まったデータが金額の問題で失われてしまうということは、非常に大問題だと感じております」 

 

 国会で問題を追求した有志の会の福島衆院議員はこう話します。 

 

福島衆院議員 

「私が一番恐れるのは、堀江社長(前CEO)の技術・特許が会社に帰属していること。仮に会社が破綻したということになったら、その特許とかがどこに行くのかという問題があるわけですから。そこは非常に危惧されるところではないかなと思いますね」 

 

 APB社の現役社員らは事業を継続させるため、株主に「救いの手を差し伸べてほしい」と要望しています。 

 

 番組では、APB社の現在の経営陣に対しても、情報流出の疑惑などについて質問状を送りました。すると…。 

 

APB社幹部 

「中国企業の方が工場の視察に来られたのは事実ですが、我々としては技術を海外に売るつもりはありません。クラウドサービス上のデータは、何かしらの方法で残すことを検討中です。社長は社員のことを第一に考えていて、資金集めに奔走しているので、全社員の解雇や給与未払いの問題も解消できる可能性があります」 

 

(「グッド!モーニング」2025年3月11日放送分より) 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

IMAGE