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竹中平蔵氏と立花孝志氏の対談が行われ、メディアやジャーナリズムのあり方について議論された。

立花氏はフジテレビを中心にメディアの影響力を変える必要性を説き、公共放送の在り方や報道の責任についても言及した。

竹中氏は、ジャーナリズムに資格制度を導入する必要性を指摘し、信頼性の高い情報発信を促す仕組みが必要だと述べた。

(要約)

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竹中平蔵氏 立花孝志氏 

 

 みんかぶマガジンにて、経済学者の竹中平蔵氏と「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏の対談を実施した。兵庫県知事選やフジテレビなど多岐にわたるテーマについて議論した内容を全6回にわたってお届けする。第5回はジャーナリズムのあり方についてーー。(取材日:2025年2月10日) 

 

立花孝志:政治を変えるには、メディアの影響が非常に大きいので、まずはフジテレビが鍵になると思っています。現在、テレビの役割は、視聴者に直接影響を与えるだけでなく、ネット上での議論の火付け役にもなっています。 

 

 テレビで取り上げられた話題がネットで深掘りされ、議論が活発化する。この流れが、政治を変える上で非常に重要な順番だと思います。 

 

竹中平蔵:政策の実行においても、順番は非常に重要ですからね。 

 

立花孝志:例えば、私の党では6年前からNHKのスクランブル放送を提案しています。しかし、現状では民放とNHKが結びついているため、受信料制度について深く議論する番組を作ることができません。 

 

 もし堀江さんが社長になってフジテレビを改革すれば、NHKの経営陣を招き、「なぜ受信料が必要なのか?」といった議論が可能になるでしょう。また、他局の不都合な事実も積極的に取り上げるようになれば、NHKも変わらざるを得ません。そうなれば、「立花が言っていることは正しいな」と思う人が増え、私がNHKの会長になることも視野に入ります。なぜなら、私は誰よりもNHKのことを好きだからです。 

 

 公共放送が正しい役割を果たしていれば、民放が暴走したとき、例えば「ジャニーズ事務所はおかしい」といった指摘ができるはずです。 

 

ーー立花さんの野望は、公共放送の在り方を正すことにあるのでしょうか? 

 

立花孝志:「野望」というよりも、私は正直に生きている人が正しく評価される社会にしたいと考えています。嘘をついている人が評価されたり、多くの収入を得たり、嘘をつくことで利益を得られるような社会は嫌なんです。 

 

 もちろん、資本主義国家である以上、貧富の差があること自体は問題ではありません。しかし、それが正当な競争によるものでないことは許せません。 

 

ーー立花さんは「NHKをぶっ壊す」と掲げていますが、NHKの会長になる、と発言と矛盾してはいないでしょうか? 

 

竹中平蔵:それは、小泉純一郎さんが「自民党をぶっ壊す」と言っていたのと同じですよね。 

 

立花孝志:はい。私は、小泉さんの「自民党をぶっ壊す」や、橋下徹さんの「大阪市をぶっ壊す」を真似しているだけです。本当にNHKのことが好きだからこそ、改善点が分かるし、その必要性を強く感じているんです。 

 

 

竹中平蔵:おそらく、BBCとNHKは、世界で最も存在感のある公共放送だと思います。ある意味で、非常に大きな役割を果たし、成功した事例でもあります。 

 

 ところが、先ほど立花さんがおっしゃったように、ジャニーズ事務所の問題については、ほとんどBBCが報じました。ある意味で、BBCがNHKにとどめを刺した形ですよね。だから、そこに焦点を当てるのは非常に重要なことだと思います。 

 

 しかし、立花さんの目指すものを実現するには、NHKの会長になるよりも、総務大臣になった方が良いのではないかと思います。 

 

立花孝志:どっちでもいいんですよ。(笑)どちらにしても、公共放送の正しい役割を取り戻すことが目標です。私の発信が過激に見えることもあるかもしれませんが、それは政治改革を進めるために、ギリギリの戦略を取らざるを得ないからです。しかし、私がそれなりの立場につけば、より法的に安全な範囲で情報を発信し、必要な改革を進めることができるでしょう。 

 

 現在のテレビ局の社員には、弁護士資格を持つ者がほとんどおらず、報道内容のリーガルチェックが十分に行われていないと感じています。ただの労働組合員が放送を運営しているのが現状です。怖くないですか? 

 

 だからこそ、今後は彼らに弁護士をつけ、適切なアドバイスを受けながら、報道の自由と責任のバランスを取る仕組みを確立する必要があります。 

 

竹中平蔵:それにあわせて、ぜひジャーナリズムのスクールを作ってほしいんですよ。アメリカの有力大学には「スクール・オブ・ジャーナリズム」がありますが、日本にはまったく存在しませんよね。 

 

立花孝志:そういう意味では、ジャーナリストの資格制度を導入すべきだということですね。日本ではジャーナリストに資格がないため、誰でも名乗ることができる状況です。 

 

竹中平蔵:おっしゃる通りです。例えば、朝日新聞のジャーナリストも、結局は株式会社朝日新聞のサラリーマンです。独立した立場で報道する訓練を受けていないまま、報道の自由を主張しつつ、都合の悪いことは報道しない自由も持っている——こうした矛盾が生じています。 

 

 

ーーフジテレビの記者会見でも、報道の姿勢が問われましたね。 

 

立花孝志:日本には、公的な情報発信の場が必要です。例えば、アメリカにはX(旧Twitter)などがありますが、日本でも国が運営する掲示板を作り、投稿には免許制を導入し、匿名での投稿を可能にする。ただし、違法行為が発生した場合には投稿者を特定できるようにする——つまり、「国が管理するサイトに書けない内容は信頼性が低い」と見なされる仕組みを作るべきだと思います。 

 

 もちろん、YouTubeなどで自由に発信するのは構いませんが、公的な場に書き込むためには、一定の資格や基準をクリアする必要があるでしょう。 

 

竹中平蔵:これは、「放送と通信の融合」によって従来の枠組みが崩れてしまった結果ですね。かつては放送が公共性を持ち、手紙や電話などの通信は個人の秘密とされていました。しかし、インターネットの普及によって、その境界が曖昧になりました。 

 

 だからこそ、新しい枠組みを作らなければ、フェイクニュースが拡散し、民主主義が機能しなくなる危険性があると感じています。 

 

立花孝志:今の社会は、誰でも簡単に名誉毀損を行えるようになっています。これは非常に恐ろしいことです。名誉毀損罪という法律が制定された当初は、出版、ラジオ、テレビといった、ある程度の資本を持つ媒体でなければ名誉毀損を行うことはできませんでした。しかし、今では子どもでも簡単に発信できる時代になっています。 

 

 さらに、私が発信した情報が第三者によって歪曲され、まるで私が言ったかのように広まることもあります。だからこそ、公的な掲示板を設置し、そこでは免許を持つ者のみが発言できるようにするべきです。もし虚偽の情報が発信された場合は、社内のリーガルチェックを経て開示される仕組みが必要だと考えています。 

 

 現在は、発信する側への規制を強めようとする動きがありますが、むしろ書く側に適切な権限を与え、その責任を明確にすることで、問題の多くは解消されるのではないでしょうか。 

 

 

竹中平蔵:なるほど、例えば天気予報と同じように、気象予報士の資格を持つ人しか公式な天気予報を発表できないように、ジャーナリズムにも同様の資格制度を適用するという考えですね。その案は非常に興味深いです。 

 

 実は、インターネットが普及し、SNSで不確かな情報が拡散され始めたとき、アメリカのローレンス・サマーズが「Big Think.com」というサイトを立ち上げようとしました。これは、しっかりとした議論を行う場を提供する試みでしたが、残念ながらあまり広まりませんでした。 

 

 しかし、日本でもライセンスを持つ人だけが発信できる場を設けることは、非常に意義があると思います。 

 

立花孝志:そのような場は必要ですよね。例えば、X(旧Twitter)で誹謗中傷されたとき、「お前、それ本当か?」と問いただしたとします。本当に正しい情報であれば、ライセンス制のプラットフォームでも書けるはずです。逆に、そこに書けないような情報は、誰も事実として認めなくなるでしょう。 

 

竹中平蔵:ぜひ、立花さんの党で実現してほしいですね。 

 

立花孝志:本当に、この仕組みを政府に呼びかけたいです。たとえ政府で実現できなくても、国政政党に復帰すれば運用費も確保できるので、ぜひ挑戦してみたいと思っています。プラットフォームを作ること自体は、それほど難しいことではありませんから。 

 

ーー新しいプラットフォームを作っても、何かしらのバイアスがかかる可能性はありますか? 

 

立花孝志:もちろん、何らかのバイアスはかかるでしょう。簡単に言えば、政府が運営する場合は、政府のバイアスがかかると思います。政府を信用していない人にとっては受け入れがたいかもしれませんが、国が保証する以上、国の悪口を書くことは難しくなるでしょう。 

 

 しかし、警察や公務員が不正を行っていた場合、それが事実であれば記載すべきですし、そういった内容の記事は多くの注目を集めるはずです。 

 

竹中平蔵:もう一つの方法として、資格制のプラットフォームが複数存在するのが理想的ですね。 

 

立花孝志:そうですね。どこかのライセンス制のサイトに書き込んでくれるのがベストだと思います。 

 

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