( 275784 )  2025/03/18 05:31:56  
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アクセンチュアは成長を続け、コンサルタントの人気も高い。

コンサルティング業界において報酬は高いが、働き方は改善されている。

コンサルタントやクライアントからのリアルな声を取材し、コンサル業界の現状を探る記事で、報酬や昇進、働き方改革についての意見が述べられている。

コンサルタントの給与や昇進、残業時間、女性社員の状況などが取り上げられており、業界の現実が浮き彫りにされている。

(要約)

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我が世の春?を謳歌するコンサルたちが本音を打ち明けた(写真:KY / PIXTA) 

 

総合コンサルティング会社の巨人、アクセンチュアの成長が止まらない。戦略からITまで横断的に顧客企業を囲い込み、売上高・人員ともに10期以上も拡大中だ。最難関大学の就活生からの人気もダントツで高い。 

週刊東洋経済3月22日号(3月17日・月曜発売)の特集は「コンサル界の新盟主 進撃のアクセンチュア」。強さの秘密は何か、その勢いに死角はないか。他のコンサル会社の動向も含め、コンサル業界の「今」を取り上げた。 

 

 とかく“高級人材派遣”と揶揄されがちなコンサルティング業界。「報酬は高いが、仕事はきつい」という、ハードな環境は過去のものか。働き方改革などはどんな影響を与えているか。現役のコンサルタントやクライアントに話を聞いた(個別取材を基に座談会形式で構成)。 

 

 [参加者PROFILE] 

Aさん 20代・女性・総合コンサル 

Bさん 30代・男性・総合コンサル 

Cさん 30代・女性・総合コンサル 

Dさん 40代・男性・総合コンサル 

 

Eさん 20代・男性・新興コンサル 

Fさん 20代・女性・クライアント 

 

■花形は戦略コンサル。MDなら年収4000万円も 

 

 ──今やコンサルは高給取りで、地位も人気も高いイメージです。かつてと比べて、報酬や昇進で現状はいかがですか。 

 

 A 給与は、職位が下のうちは、思ったよりも普通でした。マネジャーになると一気に増えますが。25歳でシニアマネジャーになった人もいるし、とにかく若い頃は夢がありますね。 

 

 やっぱり総合コンサル会社でも、花形は戦略コンサルであり、金額が全然違う。でも、彼らが経営目線で作った計画が現場目線では合わず、われわれITコンサルが苦労することもあります。 

 

 B 基本給に残業代、家賃補助、ボーナスを入れて、年収は1000万円。マネジャーなら1200万円、マネジングディレクター(MD)であれば2000万〜4000万円。節税のために太陽光パネルと不動産を買っている人も。悪徳不動産業者からの営業もあるけど(笑)。 

 

 C 昇進するためには、その役職で求められるスキルを持ち合わせていると証明できるような実績を積み、自分で説明する必要がある。やりたいことは自分からマネジャーに話しに行くのを会社は奨励しています。優秀な人は「いつ空いてる?」と社内からいろいろ声がかかりますよ。 

 

 

 よくある“上司ガチャ”で、昇進するための準備のしやすさは、上司によって変わります。部下の成長に興味がない上司もいるし。でもみんながみんな、出世を求めているわけではないですよ。 

 

■繁忙期でも、月残業60時間はつけづらい 

 

 ──企業の働き方改革が問われてかなり経ちますが、周辺では環境は変わりましたか。  

 

 B 昔はサビ残(サービス残業)も多かったけど、いろいろあり、今はきちんと残業時間をつけるようになった。PCの稼働時間もわかるのでごまかせません。 

 

 ハラスメントはあっても、通報制度がしっかりしているので、すぐにプロジェクトを替えてもらえるし、通報した側のキャリアには影響しない。ただ、通報しても、「それは教育の範囲内」と突き返される場合もあるようです。 

 

 C サビ残をやったらマネジャーに怒られる。ハラスメントも私は見たことがない。注意喚起が毎月のようにあるし。育児との両立はプロジェクトによります。 

 

 D 僕はITコンサルを務めていますが、以前は9〜24時勤務が普通でした。そこからもうひと頑張りすると、帰りは深夜1〜2時。現在は23時くらいで、スタッフは20〜21時くらいかな。派遣先では、自分の上司はいないけど、クライアントがいます。東京23区の近場から通っていますが、仕事は遠隔でも可能です。 

 

 同期が300人ほどいましたが、3年くらいで3割は辞めました。もう同期はバラバラなので、何人残っているかはわかりませんが。全体の離職率は5%くらいなのではないでしょうか。 

 

 E 忙しくなると、朝は平均8時くらいから、夜は遅くて23時くらいまででしょうか。大きな案件が終われば、9〜18時で済みます。残業は月45時間、繁忙期では60時間がメドですが、やはり60時間はつけづらいですね。 

 

 うちは中途で女性社員を採り出したけど、まだまだ男性社員の比率が高い。体育会系文化なので、女性は正直、難易度の低い業務に就いていると思う。接待要員とまでは言いませんが、女性を男性ばかりのハードな職場にあてがい、場を和らげる緩衝材的な役割を期待しているようにも見えます。 

 

 

 F 私の会社はある大手コンサルのクライアントなのですが、今、そのコンサルから聞こえてくるのは、少し過剰な“女性優遇”の問題でしょうかね。 

 

 優秀な女性がその状況を享受する一方、実力の伴わない女性まで引っ張り上げられる。その結果、本人がプレッシャーに耐えられず、潰れてしまっているようです。反対にそのあおりで追い抜かれた男性は腐ってしまう。多様化の歪みが起きているということでは。 

 

■昇進は「チームズ」で一目瞭然。人事の時期には緊張感 

 

 ──転職では出るのも入るのも盛んですか。業界ではかねて「UP or OUT」(出世できなければ去れ)が有名ですが。 

 

 A 競合している外資との間では引き抜きが多いです。給与が元の会社よりも上がりやすいので、“コンサル・ロンダリング”を繰り返すような人もいます。  

 

 転職するのは、体質が合わなかった人、プロジェクトの運がなく昇進できなかった人など。昇進できなかった人は、オンライン会議ツール「チームズ」に名前と職位が表示され、一目瞭然。人事の時期は緊張感がありますね。 

 

 私の会社は人数が多いので誰でも入れると思われがちだけど、知り合いの人がほとんど落ちたこともある。能力のほか、ガンガン前向きに取り組める人柄かどうかも、見られている気がしました。 

 

 B 買収された会社の社員は、話が面白くないからすぐわかる。自己紹介スライドも何が言いたいのかわからないほどレベルが低い。「やりたいことに手を挙げる」というカラーの中、バリバリやるぞという人は少ないので、かわいそうだけど同情できないです。買収は向こうのシステムや顧客が欲しいだけでしょうから。 

 

 E もっとも、現状は人手不足だけど、これから日本も景気が悪くなればどうなるか。 

 

 うちでは都内のある地下鉄駅の前に一棟丸ごと、クライアントからのアサイン(割り振り)がなく、アベイラブル(余剰)なコンサルたちが通っているタワーがあるんですよ。ここ数年、採用で人を採りすぎたせいかも……。そこでは室内で読書をしたり、暇なとき、本社のあるエリアまで散策に行ったりしています(苦笑)。 

 

■システム開発中止も。つねに訴訟は頭の中にある 

 

 

 ──近年ではシステム開発が中止となる例も目立ちますが、コンサル側やクライアント側はどうみているのですか。 

 

 D 中止するにしても、最終的にはお客さんに決断してもらう。「そう決める」と言われたら、従いますが、僕たちの考えも伝えます。結局、クライアントの「何がしたいか」をヒアリングするのが難しいのだけど、自分たちが反論するなら最初の要件定義の段階がいちばん言いやすい。 

 

 例えば、いきなり100点満点を目指すのではなく、いったん70点くらいでカットオーバー(稼働)させて、それからあと30点伸ばす、という手もあります。一般的に官公庁向けは予算が決まっており、追加のカネはもらえませんが、それに比べれば民間向けはまだ融通が利きますね。 

 

 F うちはSAPを導入・運用してもらっています。コンサルさんには、大手なら人月(にんげつ)単価で400万円、それ以下の会社なら人月300万円いくかどうかで発注しています。大手コンサルであれば、OBたちでつくる2次請けの協力会社もありますよ。そこでは上の世代が詰まってますからね。 

 

 (客の立場から)向こうの開発の期間が延びて、納品が遅れた場合、最初の提示額から追加で支払ったこともあります。「この要件で合意しましたよね」と、こちらにも過失がある形になったので……。こんなに払うんなら違うところを使ってたという感じです。 

 

 C つねに訴訟は頭の隅にあります。議事録はちゃんと書くし、相手もチェックしていて、成果物を納めるはず。クライアントが嫌がることも、説得してやらないといけないときがあるし……。メリットの説明を尽くして、けんかにならずにプロジェクトが完成すると、やりがいを感じますね。 

 

 (構成:大野和幸、田中理瑛) 

 

大野 和幸 :東洋経済 記者/田中 理瑛 :東洋経済 記者 

 

 

 
 

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