( 276229 )  2025/03/20 03:49:57  
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報告書でパワハラ問題を指摘された兵庫県知事の斎藤元彦氏に対し、県議会が攻勢をかけている。

報告書を否定する知事に対して、知事側近への刑事告発が模索されており、攻防は次なるステージに進む見込み。

元局長のPCから情報が漏えいした疑いが浮上しており、捜査が進められている。

(要約)

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斎藤元彦知事 

 

 百条委の報告書を「一つの見解」と一蹴した斎藤元彦・兵庫県知事(47)に対し、県議会が秘かに攻勢を強めているという。追及の新たな一手として、知事側近への刑事告発が模索されるなど、攻防はいよいよ次なるステージへ――。 

 

 *** 

 

「斎藤知事との雪解けなんてとんでもない。一連の騒動の核心部に斬り込まない限り、いつまでたっても互いの主張は平行線のまま。維新から除名や離党勧告を受け新会派を結成した3人の県議が問われたのは情報漏えいでした。でも、その大元についての検証や解明はこれまで果たされてこなかった」(兵庫県議の一人) 

 

 今月5日、兵庫県議会は、斎藤氏のパワハラ問題などを指摘した告発文書を巡る県議会調査特別委員会(百条委)の報告書を賛成多数で了承した。 

 

 報告書では「パワハラ行為と言っても過言ではない言動があった」と認定したほか、告発内容を調査する前に告発者を特定するなどした経緯についても「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」と結論付けた。ところが、 

 

「パワハラについて知事は“業務上必要な範囲の指導だった”と従来の主張を繰り返し、公益通報者保護の件でも“可能性(の話)なので、逆に言えば適法の可能性もある”と強弁。111万票超を得て再選した自信からか、想像以上に強気な態度で驚きました」(同) 

 

 それだけでなく、斎藤氏は告発文書を書いた元県民局長(昨年7月死亡)の公用パソコン(PC)から見つかった私的文書を指し、「極めて不適切なわいせつな文書」と断言。議会内外から「反論できない死者に対する冒涜だ」などと批判の声が上がっている。 

 

 兵庫県庁関係者が語る。 

 

「私的文書は元県民局長の公用PCに収められていましたが、それを最初に外部に漏えいしたとされるのが、“斎藤知事の側近”といわれた総務部長(当時)の井ノ本知明氏です。この件については、第三者調査委員会が調査中だと聞きます」 

 

 実は一部の県議から、井ノ本氏を地方公務員法違反(秘密漏示)で刑事告発する動きがあるという。 

 

 ベテラン県議が明かす。 

 

「すでに複数の県議や県職員が“昨年4月、井ノ本氏から告発者の私的情報を開示された”と証言している。彼は昨年10月の百条委で“守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性”を理由に証言を拒否。真相究明のためには刑事告発して捜査当局の手に委ねるべきだとの声が高まっています」 

 

 

 そもそも問題の告発文書は、元局長が昨年3月に報道機関に送付した後、県庁内の公益通報窓口に内部通報。しかし県は早々に「核心的な部分が事実ではない」として、元局長を停職3カ月の懲戒処分に付した。 

 

「告発文が報道機関に送られて間もない昨年3月下旬、知事の最側近である片山安孝元副知事(64)が元局長を事情聴取し、使っていた公用PCを押収した。井ノ本氏はこの押収PCから情報を抜き取ったとみられ、片山氏も百条委で、質問されたわけでもないのに元局長の私的な情報を一方的に証言しています」(前出のベテラン県議) 

 

 また片山氏は事情聴取の際、「誰から聞いたんや、全部名前言え」「(昇級を)どないしようかいな」などと迫り、元局長に自白を促したとも報じられている。 

 

「井ノ本氏に対する捜査が進めば、彼に情報窃取を指示した人物の解明や、人事課の金庫内に保管されているとされる元局長のPCも解析対象になるはず。このPC本体やサーバーへのアクセス権者、そしてパスワードを知っていた人間は分かっている。解析の結果によっては、PCからプライベートな情報が抜き取られた日時だけでなく、誰が窃取したかも特定できる可能性がある。全体像を明らかにしないことには問題の本質には迫れません」(同) 

 

 情報漏えいに問われるべき人物は、本当は誰か。最終決戦の時が迫りつつある。 

 

「週刊新潮」2025年3月20日号 掲載 

 

新潮社 

 

 

 
 

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