( 277154 )  2025/03/23 06:50:28  
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日中ハイレベル経済対話が開催され、日本産水産物の中国への輸入規制の撤廃や日本産牛肉や精米の輸入再開を求める一方、中国当局への邦人拘束や反スパイ法への懸念を伝えた。

両国は協議を通じて輸入再開に向けて一致し、日中の経済協力が世界の安定に重要であるとの認識を示した。

(要約)

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日中ハイレベル経済対話に臨む岩屋外相(左)と中国の王毅外相(22日、東京都千代田区で)=代表撮影 

 

 日中両政府は22日、閣僚級で経済課題を協議する「日中ハイレベル経済対話」を東京都内で開いた。中国による日本産水産物に対する輸入規制などが主要議題となり、日本側は撤廃を求めたが、中国側は具体的な再開時期を示さなかった。両国は輸入再開に向けた協議の推進では一致した。 

 

 経済対話は2019年4月に北京で開催されて以来6年ぶりで、2時間45分に及んだ。岩屋外相は冒頭、「日中関係が発展して良かったと、両国民が実感できるように共に努力していきたい」と強調。王毅(ワンイー)外相(共産党政治局員)は、米国のトランプ政権を念頭に「一国主義、保護主義が横行している」と述べ、日中の経済協力が世界の安定に重要だとの認識を示した。 

 

 岩屋氏は、中国が東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を機に停止している日本産水産物の輸入について、早期再開を要請した。日中両政府は昨年9月、国際原子力機関(IAEA)の監視を拡充したうえで中国側が輸入再開することで合意し、これまでに実施された海水の監視では異常は確認されていない。 

 

 両政府は今回、分析結果に異常がないことを前提に協議を進めていく方針を確認した。岩屋氏は22日、記者団に「関連のプロセスの進展を確認した」と語った。 

 

 岩屋氏は、01年のBSE(牛海綿状脳症)発生以降停止している日本産牛肉の輸入再開や精米の輸入拡大も求めた。 

 

 また、中国で相次ぐ邦人拘束や反スパイ法により、日本人の中国での活動を萎縮(いしゅく)させているとして、邦人の早期解放と安全確保を求めた。中国による重要鉱物の輸出管理への懸念も伝えた。 

 

 これに先立って行われた外相会談では、岩屋氏が沖縄県・尖閣諸島などの東シナ海情勢や、中国軍の活動について深刻な懸念を伝えた。台湾を巡り、一方的な現状変更の試みに反対すると表明した。 

 

 【冒頭】 

 

 岩屋外相 経済分野での実務協力の推進には、両国民の理解が不可欠。駐在員や家族の安心・安全の確保が大前提だ。 

 

 

 王毅外相 一国主義、保護主義が横行している。中日経済協力を通じ、世界に安定性をもたらすべきだ。 

 

 【日本産水産物】 

 

 岩屋氏 日本産水産物の輸入規制の撤廃を早期に実現するよう要求。 

 

 両氏 国際原子力機関(IAEA)の枠組みの下で、追加的モニタリング(監視)を引き続き実施することを確認。分析結果に異常がないことを前提に、輸入再開に向けて協議を推進することで一致。 

 

 【牛肉・精米】 

 

 岩屋氏 日本産牛肉の輸入再開と精米の輸入拡大を要請。 

 

 両氏 実務者の対話継続を奨励。 

 

 【ビジネス環境】 

 

 岩屋氏 邦人拘束事案や反スパイ法の不透明性が日本人の中国渡航や中国でのビジネス活動を萎縮(いしゅく)させているとして、邦人の早期解放、在留邦人の安心・安全の確保を改めて要請。 

 

 岩屋氏 中国による重要鉱物の輸出管理などについて、懸念を伝達。 

 

 

 
 

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