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成田国際空港を運営するNAAの田村社長は、訪日客の急増により成田空港への鉄道アクセスが混雑しており、通勤・通学客にも影響が出ていると述べている。

現在の成田空港への鉄道は、JR東日本と京成電鉄が乗り入れており、単線の区間が続いている。

将来の「新しい成田空港」構想では、単線区間を複線化する必要性が提言されており、田村社長は早急な対策が必要だと強調している。

(要約)

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成田空港周辺の単線区間(NAAの資料から) 

 

成田空港に乗り入れる鉄道の現状を説明するNAAの田村社長=25年3月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire 

 

 成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は、訪日客の急増で空港へ乗り入れる鉄道の混雑が激化している現状について、通勤・通学客にも影響が出ているとして、早期に対策を打つ必要があるとの考えを示した。 

 

◆田村社長「悠長なこと言っていられない」 

 

 成田空港には現在、JR東日本(東日本旅客鉄道、9020)と京成電鉄(9009)が乗り入れており、両社とも第2ターミナル地下の「空港第2ビル駅」と、終点となる第1ターミナル地下の「成田空港駅」の2駅があり、空港第2ビル駅はLCC専用の第3ターミナルの最寄り駅でもある。 

 

 空港の将来像を検討する「新しい成田空港」構想のとりまとめでは、現在は両社とも単線の線路を複線化する必要性を提言。現在の鉄道施設は、建設中に計画中止となった成田新幹線のものを転用しているため、線路は両社が1線ずつ使用し、成田市土屋から空港までの約9キロが単線で、増発には複線化が不可欠になっている。 

 

 都内で3月21日に会見した田村社長は「時間帯によっては(列車を)何本かお待ちいただかないと乗れない状況が発生している。(有料の)特急だけでなく(アクセス特急など)通勤・通学のほうも混んでおり、悠長なことは言っていられない」と現状を説明した。 

 

 一方で、「都心寄りのところも、かなり線路容量に近い形で使われており、工夫しないと劇的には増えないだろう。いくつかあるポイントの一つとして、複線化や駅の構造の見直しがある」と、空港周辺の複線化などだけでは抜本的な解決は難しいとの考えを示した。田村社長によると、当面は駅周辺の未活用区画を整備するなど、駅の混雑緩和策を検討しているという。 

 

◆新駅開業は30年代 

 

 成田空港では現在、第3滑走路(C滑走路)の建設が進んでおり、2029年3月末に供用開始を予定。その後は3つのターミナルを新たなターミナル1つに集約する「ワンターミナル」とする計画で、候補地は現在の第2ターミナル南側としている。 

 

 第3滑走路の供用開始後は、2030年代前半から中ごろに計画している「ステップ1」、2030年代中ごろ以降の「ステップ2」、最終段階となる2040年代の「ステップ3」と3段階に分けて、新ターミナルや周辺を整備していく。 

 

 鉄道駅は、新ターミナルの北側半分が供用開始となり新駅が開業するステップ1で、現在の成田空港駅を閉鎖。新ターミナルの建設が進んだステップ2で、空港第2ビル駅も閉鎖する計画となっている。 

 

 都心から約60キロ離れた成田空港を今後活用していく上で、「日本の玄関を立地したからには、鉄道の良いものを作るのはセットではないか」(田村社長)と、ワンターミナル化と鉄道網の整備は不可分との考えを示した。 

 

 現在、JR線で東京駅から成田空港駅へ向かう場合、快速が約1時間30分、特急券が必要となる成田エクスプレス(NEX)で59分。京成線の場合、JR各線と駅構内で接続する日暮里駅から成田空港駅へ向かうと特急券不要の特急で約1時間10分、有料特急のスカイライナーで約40分となっている。 

 

Tadayuki YOSHIKAWA 

 

 

 
 

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