( 277839 ) 2025/03/26 05:03:54 1 00 NHK党の立花孝志氏は、選挙ウォッチャーちだい氏との裁判で一審、二審ともに敗訴した。 |
( 277841 ) 2025/03/26 05:03:54 0 00 選挙ウォッチャーちだい氏との裁判で、一審、二審ともに敗訴したNHK党の立花孝志氏
今から30年前の1995年3月20日の午前8時ごろ、東京都内の地下鉄車内に猛毒の神経ガス『サリン』が散布され、乗員や乗客、駅員ら14人が死亡、およそ6300人が負傷するなどした日本の犯罪史上に残る凄惨な事件『地下鉄サリン事件』が起こった。
30年の時が過ぎたが、テレビをはじめ、各メディアは特集や特番を組み、反社会的カルト集団『オウム真理教』が起こした“テロ”といえるこの事件をけっして風化させてはならないと、改めて『オウム真理教』を検証している。
そんな中で、大きく報じられてはいないが、東京高等裁判所がある裁判の判決を下していた。
3月18日に立花孝志氏(57)が代表を務める『NHKから国民を守る党』が、ジャーナリストの『選挙ウォッチャー・ちだい』こと石渡智大氏を名誉毀損で訴えていた訴訟の控訴審で、東京高裁はNHK党側の控訴を棄却する判決を言い渡した。
この裁判は昨年7月に施行された東京都知事選に絡んで、NHK党がちだい氏にXで、
《反社会的カルト集団》
《サリンをまかないオウムみたいなもん》
などと投稿されたことで、名誉を傷つけられたとして、氏に160万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審。第一審で東京地裁は、
《投稿内容が論評の域を逸脱したとは言えない》
として、同団体の請求を棄却している。判決文には
《原告代表者において、法律を遵守しない意思を明確に表明して、テロや民族虐殺をする可能性すら口にし、不法行為や迷惑行為を一般市民にサービスとして提供したり促したりしていたとの事実を前提にしたものと認められ》
と“反社会的カルト集団”であると断罪し、原告が敗訴した。
NHK党側は控訴したが、一審判決の事実認定については争わず、 その代わりに「補足的主張」として、以下の趣旨の主張を行った。
《「反社会的カルト集団」という表現は「事実の摘示」にあたる。仮に「意見ないし論評」にあたるとしても、相当程度の年数を経過しており、出来事の大半は控訴人の前身である別の団体(政治団体または政党)の時のものなので、現在のN国党に対する「意見ないし論評」としての域を逸脱している》
しかし、控訴審で東京高裁はこれらの主張をすべて退けた。裁判所は『NHKから国民を守る党』は“反社会的カルト集団”であると認めたということだ。
判決後に開いた記者会見で、ちだい氏は、
「あらためて、N国党が反社会的カルト集団だという表現が名誉毀損にあたらないという判決をもらったので、今の立花氏らの行動については反省を促したい。立花氏には、どうしてこのような判決になったのかを感じてほしい」
と立花氏に対し、注文をつけた。
だが、立花氏といえば、昨年7月に行われた都知事選では掲示板をジャック。11月に行われた兵庫県知事選では、当選する意志が無いのにもかかわらず、斎藤元彦知事を応援するために立候補する“2馬力”選挙などを行ってきた。4月6日に投開票が行われる岸和田市長選にも、
「最後の2馬力選挙を行う」
として、出馬予定だ。
◆TBSは立花に屈しないで、頑張ってもらいたい
そこで、裁判で立花氏に一審、二審ともに勝訴したちだい氏に、あらためて話を聞いた。立花氏の危険性については
「立花氏は法を悪用しているだけで、あたかもすごいことをしているかのような演出でN国党の支持者を広げている。政治が過激な思想をしているのは非常に危険。火事と同じで、小さなうちに火元を断たないと大きな火事になってしまう」
と警鐘を鳴らす。
一方、立花氏はというと、3月15日放送されたTBS『報道特集』にまたまたお怒りのようで、ちだい氏に裁判で19敗していると報じられたことに、
《事実じゃない、勝ったこともある》
《そんなにたくさん裁判していない》
と自身のYouTubeで反論。支持者に対して『報道特集』の番組スポンサーへ苦情を入れ、不買運動をするよう呼び掛けている。
これに対し、ちだい氏は、
「これまでもちょくちょく立花氏はウソはついてますからね。負けた裁判がいつのまにか勝ったことになっちゃうんですよ。でもさすがにこれには立花支持者も苦笑いしてましたね。スポンサーに対する攻撃が始まったということで、これは番組だけではなくTBSとしても対応しなくてはいけないわけで、非常に面倒なことになりました。ですがTBSは立花氏に屈しないで、頑張ってもらいたいですね」
と、オールドメディアの奮起を促している。
折しも、3月20日、立花氏が“ぶっ壊す”と言っているNHKは、『NHKスペシャル オウム真理教 狂気の“11月戦争”』という特番を放送した。
番組のラストで『地下鉄サリン事件』の被害者の遺族は、
《ひとりの人間にすべてを委ねる。つまりオウム真理教で言うと麻原であったわけですが、そういうことは非常に危険だなというのは感じます。それと同じようなことが今の世の中にも起こっているような、そんな風潮はあると思います。危険性は繰り返されるのではないかという、そういう懸念はしています》
と、今そこにある危機を指摘した。
ちだい氏は著書『「NHKから国民を守る党」とは何だったのか?』の中で
《N国党の悪質なところは、支持者や協力者がうっかり面倒な裁判沙汰に巻き込まれたり、知らぬ間に違法行為に荷担させられて、最悪の場合はその法的責任を問われるケースがあることだ》
と述べている。また、裁判後の会見で、ちだい氏の代理人を務める石森雄一郎弁護士は、
「これからもN国党は一般市民を不法行為に巻き込んでいく可能性がある。オウム真理教の時は、信教の自由があるからなかなか踏み込めずに大きな悲劇を招いた。今度は政治活動の自由という憲法上の権利を笠にかぶったカルトが出てきた。もう一度オウム真理教の時にどうすべきだったのかという反省がここで大いに必要だと思います。社会的な危機にどう対応していくかがマスコミや警察も問われている。その意味でこの判決は非常に大事です」
と語っている。
大切なことはけっしてデマに踊らされることなく、真実を見極めることだ――。
取材・文:佐々木博之(芸能ジャーナリスト)
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