( 278071 ) 2025/03/27 04:17:25 0 00 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)=東京都渋谷区で2022年10月
長年にわたり不法行為に該当する献金勧誘を続けたとして、東京地裁は25日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散を命じる決定を出した。教団を巡っては、自民党を中心とした政治家との接点が次々と発覚し、教団による「政界工作」を裏付ける記録も明るみに出た。しかし、死亡した安倍晋三元首相の関与をはじめ、詳しい実態は未解明のまま。野党からは検証が不十分との声が上がる。
「自ら率先して真相を究明し、説明責任を果たす姿勢は一貫して感じられなかったと言わざるを得ない」
立憲民主党の小川淳也幹事長は25日の記者会見で、解散命令を「被害の大きさに鑑みれば当然の決定だ」と評価する一方、教団との関係を検証してこなかった自民の姿勢を改めて批判した。国民民主党の玉木雄一郎代表も記者団に「歴代の自民党との関係も全容が明らかになっているとは言えない。今回の決定は画期的だが、まだ終わりではない」と強調した。
教団と政治家の関係が注目されたのは、2022年7月に起きた安倍氏の銃撃事件がきっかけだ。
安倍氏は21年9月、教団の関連団体が開いた集会に寄せたビデオメッセージで教団トップの韓鶴子(ハンハクチャ)氏の名前を挙げ、「敬意を表します」などと持ち上げていた。これを見た山上徹也被告が「教団とつながりがある」と考えて銃撃したとされる。
韓国で1954年に創設された教団と、日本の保守系政治家がつながる背景には「反共」の理念があった。教団が日本で宗教法人として認証された64年、安倍氏の祖父・岸信介元首相の東京都内の自宅隣に本部教会が移転。岸氏は68年に教団の政治団体「国際勝共連合」が発足した際、発起人に名を連ねた。
教団の教祖・文鮮明(ムンソンミョン)氏の発言録「文鮮明先生マルスム(御言(みことば))選集」(全615巻)によると、文氏は「岸首相(の時)から私が(日本の政界に)手を出した」と主張。安倍氏の父の安倍晋太郎元外相が86~91年に会長を務めていた当時の「安倍派」(清和会)を中心に、国会議員との関係強化を図るよう信者に語ったこともあった。
文氏は日本人の預貯金について「皆さんのためのものだ。統一教会のメンバーたちのために」と信者に語るなど、日本を「資金源」とみなしていた。関係者によると、文化庁は教団の解散命令請求に向けた調査の中で、文氏の発言録も参考に悪質性を判断した。
銃撃事件後の22年9月、自民は衆参両院議員180人が教団側と接点があったとする調査結果を公表。旧安倍派だけでなく、麻生派や旧二階派、旧岸田派、旧茂木派など、あらゆる派閥に広がっていた。「組織的な選挙支援や動員を受け入れた」と回答した議員もいた。
ただ、調査は自己申告制にとどまり、結果公表後に追加報告が相次いだ。23年12月には岸田文雄前首相が政調会長時代、国際勝共連合の梶栗正義会長らと面会していたことも発覚。当時、教団側は毎日新聞の取材に「安倍氏側が岸田氏との会談をセットした」と説明した。
教団と安倍氏との接点は数多く指摘されてきたにもかかわらず、自民は一貫して「安倍氏に関する調査はしない」との方針を維持。「蜜月」とも言える両者の関係がどう作られ、政治にどう影響したか、全体像は分かっていない。
自民の森山裕幹事長は25日に発表したコメントで、解散命令について「司法の判断であり、党としては尊重したい」と評価。教団との関係については「活動を助長する行為や不当な政治的な影響力を受けうる行為などを厳に慎むよう、徹底を図っていく」とした。【田中裕之、池田直、遠藤修平、川口峻】
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