( 278674 )  2025/03/29 05:56:26  
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資産家が質素な生活を選ぶ理由や、資産形成における住居費の影響について解説した記事を紹介しています。

記事では、住居費を抑えることで他の選択肢が広がるという考え方や、富裕層の中には贅沢な生活ではなく質素な生活を選ぶ人もいることが紹介されています。

資産形成において固定費を低く抑えることが重要であり、住居費を抑えることで貯蓄率の向上や投資に回せる余裕を生むことが解説されています。

佐藤さんの選択がすべての人に当てはまるわけではないが、経済的自由度を高めるためには住居費の見直しをすることが有益であると紹介されています。

(要約)

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(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

資産があるからこそ、あえて質素な生活を選ぶ――そんな意外な選択をする人々がいます。一見すると奇異に映るかもしれませんが、その生活スタイルには、単なる「節約」とは異なる深い理由が隠されていました。本記事では佐藤健二さん(仮名)の事例とともに、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナー・波多勇気氏が現代の富裕層の実態を紐解いていきます。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。 

 

50歳の佐藤健二さん(仮名)は、都内の大手企業で30年間勤め、株式投資や不動産投資で成功し、現在の資産は5億円に到達しています。過去に短いあいだ結婚していた時期もありましたが、現在は独身です。彼が住んでいるのは、埼玉県内にある家賃3万2,000円の築50年のアパート。しかも風呂なし。お金がないから仕方なく……というわけではありません。彼には、明確な理由があってこの生活を続けています。 

 

「お金があるからこそ、自宅にお金をかける意味を見いだせないんですよ」 

 

佐藤さんはそういって笑います。彼の住まいにはテレビもソファもなく、生活の必需品だけが揃っています。毎日ジムのシャワーを利用し、自炊は嫌いなのでしません。夕食は定食屋で一食680円の日替わり定食、もしくはコンビニで257円のサラダチキンや259円の野菜スティックを買うか、プロテイン(150円程度)だけで済ませることも。それでも、彼は満足しているといいます。 

 

「本当に大切なのは、生活の『自由度』なんです。豪邸を持つと、掃除や維持費、固定資産税の支払いが発生する。インテリアとかにも興味がないです。うちの会社の家賃補助には年齢などの制限もありますが、通勤手当なら全額支給されます。非課税ですしね。始発駅なので座って読書や相場のチェックができて時間の無駄にもなりません。結婚はもういいです(笑)。離婚したら財産分与で半分持っていかれるし、僕にとってはメリットがありません。その負担を考えると、こういうシンプルな生活のほうが気楽なんですよ」 

 

世間の常識とは逆行するような佐藤さんの考え方。彼には確固たる信念がありました。 

 

 

一般的に、富裕層の生活は豪奢なものだとイメージされがちです。しかし、最近では佐藤さんのように「住居費を抑える富裕層」も増えてきています。 

 

たとえば、近年注目されている「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」を実践する人々。彼らは経済的自立を達成したあと、生活費を最小限に抑え、資産の目減りを防ぐことに注力します。特に日本では、マイホームを持つことによる維持費の負担が大きく、家賃を抑えて生活の自由度を高めることに価値を見出す人が増えているのです。 

 

また、日本の平均的な住居費と比較すると、佐藤さんの選択がいかに異質かがわかります。 

 

・東京都の平均家賃:​7万6,648円​ 

 

・埼玉県の平均家賃:​5万9,197円 

 

・佐藤さんの家賃:​3万2,000円(風呂なし) 

 

​(出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」) 

 

確かに、富裕層ならば毎月家賃に月数十万円費やすのは難しくないでしょう。しかし、佐藤さんは「住居費を抑えることで、ほかの選択肢が広がる」といいます。​ 

 

「たとえば、住居に年間200万円使うなら、その分を投資に回せる。配当収入を生む資産を持っていれば、そのお金で世界を旅することも可能です。なににお金を使うかを考えたとき、自分にとって最も価値があるのは『住まい』ではなかったんです」 

 

では、佐藤さんのように「住居費を抑える」ことは資産形成にどのような影響を与えるのでしょうか? ファイナンシャルプランナーの視点からみると、固定費の圧縮は資産形成において極めて重要です。特に以下の点が影響を与えます。 

 

1.貯蓄率の向上:​固定費が低いほど、貯蓄に回せる金額が増える。これは資産形成の基本です。 

 

​2.投資に回せる余裕:​浮いたお金を運用すれば長期的に資産は増える。​ 

 

3.経済的自由の加速:​生活費を抑えることで、リタイア後も資産を減らさずに済む。​ 

 

「生活レベルを上げるのは簡単ですが、一度上げたものを下げるのは難しい。だからこそ、最初からシンプルな生活を維持し、資産を減らさずに生きるほうが、長期的にはメリットが大きいんです」 

 

佐藤さんの選択は、すべての人に当てはまるわけではありません。しかし、住居費を見直すことで経済的自由度を高めるのは、多くの人にとって有益な視点となるでしょう。 

 

「富裕層=豪邸暮らし」という固定観念にとらわれず、なにに価値を置くかを考えること。それが、本当の意味での『豊かさ』なのかもしれません。 

 

波多 勇気 

 

波多FP事務所 

 

代表ファイナンシャルプランナー 

 

波多 勇気 

 

 

 
 

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