( 279899 )  2025/04/03 04:35:36  
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2025年度予算が史上初の衆参両院での修正を経て成立し、石破茂首相が成果を受けて一礼した。

しかし、少数与党政権は選択的夫婦別姓制度などの課題に直面しており、野党は攻勢を強めている。

与党内にも不満が渦巻き、政局は緊迫している。

野党の動きや内外の関門によって今後も状況は厳しいままで、内閣不信任案も検討される可能性がある。

(要約)

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衆院本会議で2025年度予算が成立し、一礼する石破茂首相(右端)ら=31日午後、国会内 

 

 2025年度予算が史上初の衆参両院での修正の末、成立した。石破茂首相は今国会最大と目されていた関門をクリアしたが、少数与党政権の行く手には選択的夫婦別姓制度など難題が山積する。「政治とカネ」に足を取られる政権に対し、野党が6月の東京都議選や夏の参院選に向けて攻勢を強めるのは必至。与党内にも首相への不満が渦巻き、政局は緊迫の度を増しつつある。 

 

 ◇与党に不満 

 「熟議の国会らしい役割がいかんなく発揮された」。首相は3月31日夜、記者団を前に、紆余(うよ)曲折をたどった予算審議をこう振り返った。 

 

 衆院の過半数を持たない与党は国民民主党、日本維新の会と修正協議を進め、最終的に維新と高校無償化で合意して衆院通過にこぎ着けた。しかし、首相は参院審議が始まるや、予算再修正につながる高額療養費制度見直しの凍結を表明した。 

 

 首相の判断は参院予算委員会で参考人のがん患者団体関係者から直訴されたことがきっかけだったが、自民の森山裕幹事長は予算の衆院通過前から凍結を進言していた。審議の混乱を招く判断の遅れに、自民からは「ぶれぶれだ」(党三役経験者)と不満の声が上がった。 

 

 その後も「失策」は続いた。首相が3月3日夜に会食した新人議員15人に、1人10万円の商品券を配っていたことが発覚。「政治とカネ」を巡る議論を再燃させた上、公明党の斉藤鉄夫代表に「強力な物価高対策を打ち出そう」と伝え、審議中の予算に自ら疑問符を付ける形となった。 

 

 結局、与党は参院で首相出席の集中審議を近年最長となる約40時間積み上げた上、自民派閥裏金問題を巡る旧安倍派元幹部の参考人招致も受け入れ、ようやく野党から予算の年度内成立に理解を得た。自民幹部は「もう一度同じことをやるのは無理だ」と疲れ切った表情を浮かべた。 

 

 ◇内閣不信任案も視野 

 首相が年度内成立にこぎ着けられたのは、野党の出方に助けられた面もある。立憲民主党は世論の反発を懸念し、日程闘争を早々に封印。維新や国民民主は修正協議を前のめりに進め、野党の足並みはそろわなかった。 

 

 ただ、後半国会でも、関門は幾重にも待ち受ける。都議選や参院選が間近に迫り、野党の姿勢にも変化の兆しが出ている。 

 

 最初の焦点は企業・団体献金見直しだ。与野党は3月末に結論を出すことで合意したが、駆け引きを繰り広げた結果、自民党の「公開強化」案、立民や維新の「原則禁止」案、公明党と国民民主の「規制強化」案はいずれも3月31日に採決されず、4月以降も審議が続くことになった。 

 

 自民が狙うのは世論の批判をかわすため、規制を弱めた形で公・国案を成立に持ち込むことだ。実際、3党は3月31日、企業・団体献金を受領できる政党支部の範囲を公・国案より大幅に拡大することで合意。予算に賛成した維新の前原誠司共同代表は「国民を愚弄(ぐろう)するような合意だ」と対決姿勢を鮮明にした。 

 

 6月22日の会期末に向け、選択的夫婦別姓制度の導入論議も待ち受ける。衆院法務委員長のポストを握る立民は導入法案の採決に踏み切り、賛否が割れる自民に揺さぶりをかける構え。野田佳彦代表は審議の展開次第で内閣不信任決議案を提出する可能性に言及しており、立民ベテランは「別姓論議は政局になる」と語った。 

 

 自民内も浮足立ち始めている。改選を迎える参院議員からは首相の退陣を求める声が浮上。「ポスト石破」候補の一人と目される小林鷹之元経済安全保障担当相は3月27日、勉強会を国会内で開き、ベテランを含む約50人が参加した。「参院選が近づくにつれ、こうした動きは強まるだろう」。政府関係者はこう語った。 

 

 4月1日で政権発足から半年を迎えた首相は「一日一日が真剣勝負だ」と記者団に語った。「一難去ってまた一難」。自民幹部はこうつぶやいた。 

 

 

 
 

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