( 280429 )  2025/04/05 04:06:39  
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兵庫県知事の斎藤元彦は、内部告発文書への対応について、第三者委の違法認定に対し従来と変わらず主張を繰り返している。

告発文書が公益通報に該当するかどうかを巡って、斎藤や県の対応に対する批判が出ている。

公益通報制度に対する認識の低さや告発者の特定が行われた点などが問題視されている。

(要約)

( 280431 )  2025/04/05 04:06:39  
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斎藤知事 

 

 「誹謗(ひぼう)中傷性の高い文書との認識に変わりはない」「当時としてはやむを得ない適切な対応だった」 

 

前県西播磨県民局長が作成した告発文書(*画像を一部修整しています) 

 

公益通報を巡る第三者委の認定と斎藤知事の主張 

 

 兵庫県知事の斎藤元彦は3月26日の記者会見で、県の第三者委員会に「違法」と認定された内部告発文書への対応について、従来の主張を繰り返した。 

 

 前県西播磨県民局長の男性職員(昨年7月に死亡)が、斎藤の疑惑を内部告発する文書を報道機関などに送付してから1年。焦点となり続けたのが、文書が「公益通報」に当たるかどうかだった。 

 

 2006年施行の公益通報者保護法や同法に基づく指針は、告発者を特定する行為や、告発を理由とした不利益処分を禁じている。 

 

 斎藤は公益通報には当たらないと一貫して主張し、告発した男性職員を特定し、懲戒処分にしたことも適切との認識を示してきた。 

 

 これに対し、第三者委は3月19日に公表した調査報告書で、告発文書に刑法に触れる疑惑が含まれることなどから「公益通報」に当たるとして、斎藤の主張を否定。告発者の特定や懲戒処分は違法だと明確に認定した。 

 

 その上で、第三者委委員長で弁護士の藤本久俊は19日の記者会見で、斎藤の対応をこう批判していた。 

 

 「利害関係者が関与すれば、(告発文書は)『誹謗中傷』という方向に行くのは当たり前。関与してはいけない典型例だった」 

 

 斎藤や県幹部の対応と言動から浮かぶのは、公益通報制度に対する意識の低さだ。 

 

 「徹底的に調べてくれ」。昨年3月21日、副知事だった片山安孝は、斎藤から告発文書を示され、指示を受けたという。片山本人が県議会百条委員会で証言した。 

 

 第三者委の報告書によると、文書の内容からその日のうちに男性職員の名前が浮上。1年分のメール履歴を調査し、片山が男性職員から事情聴取することになった。聴取後、男性職員の公用パソコンを引き揚げると、告発文書と同じ内容の文書が見つかった。間もなく男性職員は人事課に電話し、文書作成を認めた。 

 

 告発者を特定したのは、斎藤が調査を指示してからわずか5日目のことだった。 

 

 

 県として公益通報の可能性を初めて検討したとみられるのが、昨年3月31日、公益通報の可能性を指摘するSNS投稿を人事課が見てからだ。翌4月1日、人事課が弁護士に相談し、男性職員が県の内部通報窓口に通報していなかったことを理由に、「公益通報として扱う必要はない」との見解を得ていた。 

 

 この見解が、斎藤が公益通報を否定する根拠となっているが、裏を返せば、告発者捜しを始めた時点で公益通報の可能性を考慮していなかったことになる。 

 

 斎藤も昨年8月の記者会見で「公益通報かどうかまでは認識しなかった」と認めていた。 

 

 公益通報制度で、告発者捜しが禁じられているのは、不正を告発しようとする人が萎縮(いしゅく)し、不正を改める機会が失われてしまうからだ。 

 

 公益通報の取り扱いを巡っては、百条委も3月4日に公表した報告書で「違法の可能性」を指摘していたが、斎藤は翌5日の記者会見で「別の可能性もある」と抗弁。男性職員が公用パソコンで「わいせつな文書」を作成していたと明かしていた。 

 

 さらに、自身が設置を決めた第三者委の指摘に対しても、3月26日の記者会見では「一つの意見」と述べた。 

 

 かたくなに主張を変えない斎藤に職員の思いは複雑だ。知事レクで斎藤と顔を合わせることもある幹部は言う。 

 

 「知事は何も変わらない。不正を知ったとしても、握り潰されるなら声を上げようとは思えない」(敬称略) 

 

 公益通報制度は、組織の不正を防ぐためのもので、組織のトップこそ理念を理解するべきだ。しかし、斎藤知事は記者会見で告発者の人格をおとしめ、第三者委の指摘も受け入れず、違法状態を継続している。選挙で選ばれたからといって、何をしても許されるわけではなく、法令には従わなければならない。法にのっとって告発者の処分を見直すべきだ。 

 

 

 
 

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