( 280939 )  2025/04/07 04:08:49  
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自衛隊と米軍が昨年2月に実施した日米共同指揮所演習「キーン・エッジ」では、台湾に侵攻する中国軍艦艇に対し、自衛隊機がミサイル攻撃を行うシナリオが初めて想定された。

演習結果は有事の際の作戦計画に反映され、日米両政府は台湾有事を想定した作戦計画の策定作業を進めている。

演習では与那国島に上陸するシナリオも取り上げられ、自衛隊や米軍の連携を確認する重要性が強調されている。

(要約)

( 280941 )  2025/04/07 04:08:49  
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自衛隊と米軍は机上演習に加え、実動訓練でも相互の連携を確認している=2020年2月、沖縄県金武町の米軍ブルービーチ訓練場(杉本康士撮影) 

 

自衛隊と米軍が昨年2月に実施した日米共同指揮所演習「キーン・エッジ」で、台湾に侵攻する中国軍艦艇に対し、自衛隊機がミサイル攻撃を行う判断が下されたことなど演習の概要が6日、判明した。日米共同演習で本格的に台湾有事を想定したのは初めて。演習の結果は有事の際に自衛隊や米軍が行動する際の指針となる作戦計画に反映されているとみられる。 

 

複数の関係者によると、演習は中国が台湾侵攻に着手するシナリオの下で、陸海空自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令官が存在する前提で進められた。今年3月の統合作戦司令部発足に向けた準備という意味合いもあった。 

 

演習では、中国軍が台湾に侵攻するとともに、米軍佐世保基地(長崎県)などを攻撃。日本側は「組織的かつ計画的な武力攻撃とまでは言えない」とし、個別的自衛権を行使する条件となる「武力攻撃事態」の認定は見送った。ただ、台湾有事は日本の存立を脅かす「存立危機事態」と認定し、集団的自衛権に基づき武力を行使する条件が整った。 

 

これを受けて米側は台湾海峡を航行する中国軍の強襲艦隊を攻撃するよう要請した。日本側は要請を受け入れ、航空自衛隊の戦闘機が空対艦ミサイルで中国軍の輸送艦を攻撃した。 

 

自衛隊内部では台湾海峡の中国艦よりも、中国軍空母の攻撃を優先させるべきだという声もあったが、演習時点で中国軍が運用していた空母は攻撃対象として優先順位が低いと判断した。 

 

演習では、中国軍が与那国島(沖縄県)に上陸するシナリオも組み込まれた。陸上自衛隊は与那国島を含む南西諸島の防衛を強化するため増援部隊を九州に派遣。部隊を運ぶ輸送機が離着陸することを想定した基地滑走路を空自戦闘機も使ったため、どちらを優先させるか意見が割れる場面もあったという。 

 

キーン・エッジは2年に1回行われる。昨年2月の演習にはオーストラリア軍も初めて参加し、「過去とは一線を画する、質的に高い演習だった」(吉田圭秀統合幕僚長)。日米両政府は台湾有事を想定した作戦計画の策定作業を進めており、演習の結果を参考材料の一つとしている。 

 

 

 
 

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