( 281514 )  2025/04/09 05:56:06  
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2025年10月から生活保護の扶助額が増額されることが決まり、2年間毎月500円が上乗せされる理由は、物価上昇などの経済情勢を考慮したためです。

厚生労働省が特例加算を増額することで、低所得世帯が物価高騰に対応できるように支援しています。

ただし、この増額は2年間の限定的な措置であり、今後の経済情勢によって再度見直される可能性があります。

 

 

生活保護を受ける世帯数は、2023年度では総数で165万478世帯、保護停止中を除くと164万2063世帯です。

特に高齢者世帯が半数以上を占めており、収入不足や高齢化が保護増加の要因とされています。

約3%の世帯が生活保護を受給しているというデータもありました。

生活扶助は、物価に合わせて増額され、生活に困窮している人々に支援を提供しています。

ただし、収入増加にも取り組むことが必要であることも強調されています。

(要約)

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tkyszk/shutterstock.com 

 

2025年10月から生活保護の扶助額に変更があり、2年間毎月500円が上乗せされます。 

 

扶助が上乗せされるのはなぜでしょうか。 

 

また、生活保護の受給世帯は国内にどれくらいあるのでしょうか。この記事では、生活保護の扶助増額理由と生活保護の受給世帯について解説します。 

 

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生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活や自立した生活を営むために、困窮する人の生活を保護し支援するものです。食料品や住居、医療など、日常の支出に関する扶助を受けて、生活の立て直しを図ります。 

 

扶助される金額は、世帯や居住地域によって異なる「最低生活費」から収入を差し引いた金額です。東京都の場合は、約13万円が最低生活費とされています。 

 

なお、生活保護を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。 

 

 ・資産の活用:預貯金や生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却して生活費に充てること。 

 ・能力の活用:働ける場合は、能力に応じて労働すること。 

 ・あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けられる際は、それらを優先して活用すること。 

 ・扶養義務者の扶養:親族などから援助を受けられる際は、援助を受けること。※それでもなお収入が最低生活費に満たない場合は、保護を適用する。 

生活扶助は、食費や光熱費のように日常生活において最低限必要な支出に対して扶助するものです。支給額は、住む自治体によって決まる「級地」によって異なります。計算式は、以下のとおりです。 

 

 ・生活扶助=生活扶助基準(第1類+第2類)+特例加算+生活扶助本体における経過的加算※生活扶助基準第1類・第2類:級地や年齢、世帯人数によって定められている金額※特例加算:1人あたり月額1000円の加算額※生活扶助本体における経過的加算:級地や年齢、世帯人数によって加算される金額 

4月からは、特例加算が500円上乗せされ、加算額が1500円となる見込みです。生活扶助の上乗せについて、次章で解説します。 

 

 

生活扶助の特例加算が月額500円増額される理由は、物価上昇などの経済情勢を考慮したためです。昨年末には、福岡資麿厚生労働大臣が、以下のように発言しています。 

 

生活扶助基準については、社会経済情勢等を総合的に勘案して見直しを行い、当面2年間、令和7年度から8年度ですが、臨時的・特例的な対応として、特例加算を月額1,500円とするとともに、加算を行ってもなお従前の基準額から減額となる世帯については、従前の基準額を保障することとしました。 

 

以上、厚生労働省「福岡大臣会見概要(財務大臣折衝後)」より引用 

 

物価上昇によるモノやサービスの価格高騰は、生活保護を受給する低所得世帯にも影響をおよぼしています。 

 

実際、今年2月の消費者物価指数は2020年を100として110.8となっています。前年同月比で3.7%上昇と、物価の高まりが続いている状況です。 

 

とくに数値の高い費目を見てみましょう。 

 

 ・生鮮食品:138.0 

 ・生鮮食品除く食品:121.6 

 ・家具・家事用品:119.4 

 ・光熱・水道:114.2 

食品や家事用品、光熱・水道費など、私たちの生活と密接に関連する費目がとくに高くなっています。昨年よりも物価は確実に上昇しており、私たちの家計や生活に影響を与えているのです。 

 

こうした状況から、生活保護は特例加算を月額500円上乗せし、物価上昇に対応しようとしています。ただし、これは2年間の限定的な措置です。措置を再延長するかどうかは、2年後の経済情勢によって変わってくるでしょう。 

 

次章では、生活保護を受給する世帯数について解説します。 

 

厚生労働省の被保護者調査をもとに、2023年度の生活保護の受給世帯を確かめてみましょう。 

 

 ・総数(保護停止中を含む):165万478世帯 

 ・総数(保護停止中を含まない):164万2063世帯(100.0%) 

 ・高齢者世帯:90万8629世帯(55.3%)・うち単身世帯:84万2489世帯(51.3%)・うち2人以上の世帯:6万6139世帯(4.0%) 

 ・母子世帯:6万4723世帯(3.9%) 

 ・障害者・傷病者世帯計:41万0025世帯(25.0%) 

 ・その他の世帯:25万8687世帯(15.8%) 

 ・(参考)高齢者世帯を除く世帯:73万3434世帯(44.7%)※パーセンテージは構成割合 

保護停止中を除いた生活保護の受給世帯は164万2063世帯となっています。そのうち55.3%が高齢者世帯で、51.3%が単身の高齢者世帯です。生活保護の受給世帯は、半数以上が生活に困窮している高齢者世帯となっています。 

 

令和2年国勢調査によると、2020年10月1日現在の世帯数は5583万世帯ですから、そのうち約3%が生活保護を受給する世帯といえます。 

 

高齢者世帯の保護が多い理由として、収入の乏しさが考えられるでしょう。たとえば、収入を得たくても健康面や体力面から仕事に就けない、年金保険料を支払えず満足な年金を受け取れない、といったことです。また、高齢化により高齢者人口が増えているのも、保護増加の要因のひとつでしょう。 

 

4月からは約160万世帯が、月額500円・年間6000円の扶助上乗せの恩恵を受けられるようです。 

 

 

生活保護の生活扶助は、保護の扶助の中心となるお金です。物価上昇にともない金額が加算されることで、食料や日用品の買い物に役立てられるでしょう。 

 

ただし、措置は現時点で2年間限定です。上乗せの費用や扶助に頼らないよう、収入を増やすための努力も必要でしょう。 

 

 ・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」 

 ・厚生労働省「生活保護制度」 

 ・厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)」 

 ・厚生労働省「福岡大臣会見概要(財務大臣折衝後)」 

 ・総務省「2020年基準消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)2月分」 

 ・厚生労働省「令和5年度被保護者調査 月次調査 確定値」 

 ・総務省「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」 

 

石上 ユウキ 

 

 

 
 

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