( 281676 ) 2025/04/10 04:20:57 0 00 石破茂首相との会談を終え、政府備蓄米の放出について記者団に発表する江藤拓農相=首相官邸で2025年4月9日午前9時37分、平田明浩撮影
政府が高騰するコメ価格を安定させるため、新米が出回る前の7月ごろまで毎月、備蓄米を放出することを決めた。毎月放出することで、コメ不足の不安を払拭(ふっしょく)し、流通段階などにとどまるコメの動きを活発化し、高止まりする価格を抑えたい考えだ。
政府は3月、2回にわたり備蓄米放出の入札(落札数量は計21万トン)を実施した。店頭に並ぶまでに1~2週間ほどかかるため、現在市場には1回目に入札があった14万トンの一部が出ている。
ただ、備蓄米が店頭に並び始めた期間を含む3月24~30日に販売されたコメ5キロ当たりの平均価格は4206円(税込み)で13週連続の値上がりとなった。1年前の同じ時期の2倍を超える水準で、コメ価格の高騰は収まっていない。
江藤拓農相は8日の記者会見で、3回目の備蓄米放出について「2回目(の放出分)は4月末ぐらいに店頭に出始める。それまではしっかり見る必要がある」と話していた。急きょ、3回目の放出を決めたのは、これまでの2回のコメ放出でも値下げの効果が薄いことがある。「放出量が少なく、市場へのインパクトがない」(コメ卸業者)との声や「コメの需給は引き締まったまま。備蓄米の取引ができず、高いコメを仕入れるしかない」(小売店)などの声に押された形だ。「物価高騰対策に力を入れ、コメの価格を早く下げたい石破茂首相の強い思い」(農水省幹部)も背景にある。
農水省はコメ価格の高騰について、今夏に再び、コメ不足に陥る懸念から企業などが在庫を増やし、流通が目詰まりしていることが理由との見方をしている。追加放出のほか、来週にも卸業者や小売業者に対し、江藤氏が目詰まりの解消などを直接要請する考えで、江藤氏と業者の意見交換の場を設ける調整をしている。
農政に詳しい明治大の作山巧専任教授は、コメ価格高騰の理由について「政府が『コメは十分にある』と説明しても、昨年夏にコメが足りなくなった外食産業などの不信感がある」と指摘。備蓄米を7月ごろまで毎月追加放出すれば、業者が在庫を放出するなどして「500円程度下がる可能性がある」と話す。ただ「5キロで3000円は切らないだろう」とし、1年前の水準に戻るのは難しいと見方を示した。【中津川甫】
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