( 281711 ) 2025/04/10 05:02:14 0 00 玉木代表
政党支持率で立憲民主党を抜くなど躍進を続ける国民民主党が、揺れている。千葉県連で、地方議員4人が離党したのだ。4人の中には玉木雄一郎代表に同県連内でのパワハラを直訴した議員もいた。国民民主の同県連所属の地方議員は12人いたが、昨年6月から4人の離党者が出て、現在は8人。離党者は県連幹部などからのパワハラがあったとしているが、報道によると県連は否定しているという。
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■責められて、まぶたの痙攣が…
千葉県浦安市の工藤由紀子市議は、2児の母で政治活動の経験はなかった。だが23年4月の浦安市議選に国民民主から立候補し、初当選した。そもそもは岡野純子衆院議員(比例南関東)から出馬を勧められたという。
「私と岡野さんとは、もともとママ友で親しかったんです。そういうこともあって、岡野さんが同市議から23年4月の衆院補選(千葉5区)に出馬するというので、私が後継に誘われたんです。ごく普通のママでしたから、迷いましたが、立候補を決意しました。ところが、岡野さんはだんだん冷たくなって。最後は口もきいてくれず、私を無視するようになったんです。街頭演説でも、岡野さんは順番にマイクを手渡していたのに、私にだけ渡さずに、花壇の中に置いたんです」
工藤市議はこう続ける。
「千葉県連代表で参院議員の竹詰仁さんは、もともと東京電力の社員。同県連幹事長で県議の天野行雄さんも東京電力の元社員で、同県電力総連事務局長を務めた人。衆院議員になった岡野さんも、同県電力総連の組織内議員なんです。ほとんどの幹部たちが電力総連に支えてもらっている感じ。一方、私は会議で総連幹部らから毎回責められて。まぶたの痙攣が止まらなくなって、目が開かないくらいになったんです。自宅に帰ったら、今度は涙が止まらなくなって、これはさすがにおかしいと思って、病院へ行きました。心療内科の医師からは『適応障害』と診断されました」
工藤市議は、昨年6月に離党届を提出。玉木代表には状況を伝えたという。
「離党届を出してから数日後、じっとしていられなくなって、玉木さんに直接会いに行きました。玉木さんの街頭演説の場所を調べ、会いに行ったんです。玉木さんに離党について、『申し訳ありません』と頭を下げると、『どうにかならんか、何とかするから』と、温かい言葉をいただきました」
同県連から今年2月、離党勧告を受けた榎本怜県議は、県連内のパワハラについて、玉木代表と半年前からひんぱんに連絡を取り合ってきたという。
「玉木さんには、半年前から県連のパワハラの実態や現状を、電話やLINEで逐一報告していました。玉木さんからは『僕が動くから、ちょっと待っていてください』という趣旨の言葉をもらっていました。だけど結局、離党勧告に至るまで、動くのが難しかったようです」
県連の倫理委員会からは離党勧告の理由を3つ示されたという。
「1つは昨年10月の衆院選の千葉7区で、なぜ、国民民主の候補の平戸航太さんに電力総連の推薦が出ないのか、県連のグループLINEなどで私が質問したことについて。『そのこと自体がよくないし、反省していない』と言われました。それに県連内でのパワハラを指摘したことが、ウソを吹聴しているとされました。加えて、県連の議員をSNSで誹謗中傷しているという指摘も。誹謗中傷なんてしていないのに」
榎本県議は離党勧告を受け、離党届を提出した。
今年2月、自主的に離党した同県印西市の都築真理子市議は、離党の経緯をこう語った。
「私は、ほかの市議からあることないこと言われていたんですね。そのことを竹詰さんと天野さんに相談させてもらっていたんです。そしたら、天野さんが『じゃあ、ちょっと本人に謝らせるか』とおっしゃってくれた。それなのに、なぜかその後に『倫理委員会』が開かれ、逆に相手の市議が『私のほうが被害者だ』って訴え出して。話が平行線だし、お互いに被害者だというのであれば、『私が身を引くわ』と思い、離党しました」
離党勧告は榎本県議のほかに、同県市川市の石崎英幸市議にも出された。県連が3月3日に公表した文書によると、県連は2人には「同僚議員や支援団体等への中傷および活動不履行等の反党行為」があったとしている。
離党勧告を受けて離党した石崎市議は言う。
「私は事実無根ですよ。『反党行為』も『誹謗中傷』もした覚えがない」
これらの動きについて、前出の都築市議は話す。
「工藤市議からは毎日のように、幹部からダメ出しをされた話とか、叱責されて困っているという話を聞いていました。それで、彼女はだんだん病んでって。党から離党勧告を受けた2人についてはなぜ、そんな勧告を受けたか、全然、納得がいかなくて不思議な感じです。ある時から党内が変わっちゃったんですね。私は無所属で頑張ります。そのほうが党務もないし、地域密着で地域のことを中心にできると思っています」
離党した4人について関係者は、「派閥ではないけれど、一緒に勉強会をしていた間柄」と話す。
一方で、報道によると県連側は「パワハラの事実はない」と否定しているという。
玉木代表は3月18日の定例会見で、党本部が主導して、調査にあたっていることを明らかにし、「県連レベルの対応に任せていた。必ずしも納得できるものではなかったので、党本部で引き取った」などと説明。工藤市議のもとには3月下旬、国民民主党ハラスメント対策委員会・倫理委員会合同チームから、ヒアリングの通知があり、日程が決まりそうな一方、ほかの3人にはヒアリングの通知はないという。
玉木代表は、直訴があったにもかかわらず、対応が遅れたようにみえる。4月8日の会見で、筆者は質問した。
「玉木代表は昨年からある程度、事態を知っていたにもかかわらず、何も動いてくれなかったと離党者から聞いている。なぜなのか」
玉木代表はこう答えた。
「党本部でハラスメント対策委員会と倫理委員会の合同の調査委員会を立ち上げ、円より子衆院議員をヘッドに、弁護士も入れ、調査、ヒアリングを行っている最中だ。結果が出るまでは予断を与えるので、コメントは控えたい」
国民民主の会見や演説会場に頻繁に出没し、ネット上で“フリーホッター”の通り名を持つフォトジャーナリスト・堀田喬氏が「ちゃんとやってください」と直言すると、玉木代表はこう述べた。
「ハラスメントに関しては、非常に厳しい目が社会全体で注がれている。『この程度は受忍限度だ』と言われたようなことも、今は厳しく捉えられるということを認識している。調査に手心を加えたり、甘くしたりするつもりは全くない」
千葉県連をめぐっての一連の騒動。当事者である同県連幹事長の天野氏は4月7日夜、取材に対して調査中を理由に「今の段階では私は、内容を含めてお答えできない」などと述べるにとどめた。
上田耕司
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