( 282049 )  2025/04/11 06:14:53  
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2025年4月13日に開幕する大阪・関西万博について、政府は会場建設や運営による経済波及効果を計2兆9155億円と見込んでいる。

万博に対する期待や批判がある中、産業連関分析を用いた経済効果の試算が行われており、これに基づくと万博の赤字や批判についての懸念は軽減できるとされている。

また、万博後のIR(統合型リゾート)や大阪カジノに関する批判についても、期待収益率やギャンブル依存についての指摘が述べられている。

万博成功を願う一方、開催期間中の安全についても心配されている。

(要約)

( 282051 )  2025/04/11 06:14:53  
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大屋根リングから見渡した万博会場。開幕は4月13日に迫っている 

 

 大阪・関西万博が2025年4月13日に開幕する。政府は会場建設や運営による経済波及効果を計2兆9155億円と見込み、国内産業の活性化につながるとアピールしている。万博への期待はどうか。 

 

 大阪万博は25年4月13日から 10月13日までの184日間大阪市の人工島「夢洲」で開催される。万博への批判はいまだにある。ある人は、経済効果は信じられないという。赤字が出れば出るほど経済効果があがるのが、不思議でありえないという。 

 

■由緒ある枯れた産業連関分析、基本も知らずに素人が否定するのはあきれる 

 

 大阪万博では、全国の経済波及効果について経済産業省が約2.9兆円になるとの試算を公表している。大阪府内では大阪府と大阪市が約1.6兆円になると試算している。 

 

 経済効果試算の基礎技術は、90年ほど前にレオンチェフにより開発され、50年ほど前にノーベル賞を受賞した、由緒ある枯れた産業連関分析という手法。そうした基本も知らずに素人が否定するのはあきれる。もし、すごい間違いを発見したらノーベル賞ものだ。枯れた技術なので、今では研究者でなく中央政府や地方政府の役人でも計算できるし、その精度も低くない。 

 

 この産業連関分析を知っていれば、万博期間中多少の赤字になっても全く問題ないのが分かる。なにしろ全国での経済効果が2.9兆円もあり、これらはほぼ準備期間で効果を発揮済みだからだ。 

 

 その証拠は大阪府のGDPの推移をみればいい。大阪万博が決まったのは、18年11月。それから計画を練ったが、コロナ禍で20年度までは経済効果はあまり出なかった。しかし、21、22年度の大阪府の名目GDPの伸びは3.7%、4.2%と全国の2.9%、2.3%を大きく上回っている。 

 

 となると、最近では万博後のIR(統合型リゾート)、特にカジノが批判対象だ。大阪カジノが酷くギャンブル依存を促進するとの主張だ。 

 

 しかし、大阪カジノの期待収益率は国際的なマリーナ・ベイ・サンズ(シンガポール)の97%と同じで、国内の他のギャンブルより低い。この数字は大阪がギャンブル依存を著しく助長するとは言い難い。また、年間賭け金額は大阪74万円とやや大きいが、今のパチンコの半分以下である。今の街中パチンコより大阪カジノの方がまともである。もし、大阪府のパチンコ愛好者を大阪カジノに誘導できれば、今よりギャンブル依存を減らせるだろう。そもそも街中にギャンブルがあるのは国際的に異様であり、ギャンブルはカジノに閉じ込めるべきものだ。 

 

 あとは、万博の開催期間中の不測の事故が起きないことを願うばかりだ。 

 

++ 高橋洋一プロフィール 

高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。 

 

 

 
 

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