( 282279 )  2025/04/12 05:21:14  
00

飯島町中心部に位置する歴史あるスーパー「エーコープ飯島店」が閉店し、町内で生鮮食料品を扱うスーパーが一店舗になった。

町は対策会議を立ち上げ、買い物客の利便性確保に向けた対応を検討している。

10年間営業を続ける覚書を理由に営業を続けていたが、新型コロナウイルスの影響や競争、経営の悪化などの理由で閉店が決まった。

地元住民からは不安の声が上がっており、町は再開の方策を模索している。

(要約)

( 282281 )  2025/04/12 05:21:14  
00

生鮮食料品を扱うスーパーが町内で1店になり、対策会議を立ち上げた飯島町の役場庁舎 

 

 長野県の飯島町中心部に位置し、前身を含めると半世紀以上の歴史があるスーパー「エーコープ飯島店」が、閉店した。町内で生鮮食料品を扱うスーパーは七久保の「A・コープ七久保店」のみになった。住宅密集地にあって身近だった店舗が閉じ、日頃訪れていた高齢者ら買い物客からは不安の声も上がる。町は庁内に部局横断の対策会議を立ち上げ、買い物客の利便性確保に向けた対応を検討している。 

 

 エーコープ飯島店は、少なくとも昭和40年代以前から地元農協の直営店として営業。2001年4月からは、上伊那農協(本所・伊那市)が現在の運営会社に経営を委託し、同社が建物を賃借する形で営業してきた。19年には建物の老朽化などで運営会社が閉店を一時検討し、町と農協を交えた3者で協議。町は中心部の店舗としての重要性を考慮し、農協に補助金約4千万円を支出して建物の改修を支援、営業継続にこぎ着けた。 

 

 この時、3者は10年間営業を続ける趣旨の覚書を締結した。しかし、直後に起きた新型コロナウイルス禍で客足が遠のいた。最近は近隣店舗との競争もあり、物価高騰による仕入れ値の上昇分を小売価格に転嫁できず、経営が悪化していたという。 

 

 運営会社の社長が昨年体調を崩したこともあり、今年3月末に3者で協議した結果、閉店が決まった。覚書の内容に反するものの、宮下寛副町長は「経営状況が厳しかった。特定店舗の営業継続のため、町がさらに補助金を出すわけにもいかない」とする。 

 

 店は今月3日に閉店した。同店で買い物をしていたという近くの女性(72)は「急な知らせで驚いた。これからは(約5キロ離れた)駒ケ根市のスーパーまで行かなくてはならず、ガソリン代も高いから困る」と戸惑いを隠せない様子。閉店を知らずに訪れた70代男性は「自分はまだ運転できるからいいが、徒歩でしか買い物に行けない近所のお年寄りは困ると思う。何とか続けられないものか」と話した。 

 

 宮下副町長は「町の中心部になくてはならない存在だった。町民の不便をできるだけ解消する方策を考えたい」と強調。建物を所有する上伊那農協とも協議しながら、事業承継などによるスーパーの再開も模索する方針だ。 

 

 

 
 

IMAGE