( 282361 ) 2025/04/12 06:51:22 0 00 高速道路の二輪料金が実現か
軽自動車と同額という割高な設定だった高速道路の二輪料金が、ついに「分離されることが実質決定した」と国会議員がアナウンス! 二輪料金の値下げは多くのライダーの悲願だけに本当ならビッグニュースだが!? 実際どうなのか探ってみた。
文/Webikeプラス 沼尾宏明
ライダーは長年、軽自動車と同額の割高な高速料金を支払ってきた。路面にかける負担や、占有スペースが明らかに小さいにも関わらず、である。
現在の料金区分は次のとおり5車種で設定されている。
●軽自動車、二輪車 ●普通車 ●中型車 ●大型車 ●特大車
そもそもバイクと軽自動車が同じ料金区分なのがおかしいが、日本では高速道路で二輪料金の設定が一度もなく、現在の5車種区分になってからも36年が経過。長年にわたって、ライダーと二輪関連団体はバイク料金の独立化を主張してきた。その結果、ETC搭載バイクを対象にエリアや曜日を限定し、事前申し込みが必要な「ツーリングプラン」や「二輪車定率割引」がようやく導入された経緯がある。
そんな中、なんと国会議員が「軽自動車とバイクの料金が分離されることが実質決定した」と3月19日付のブログで書いている。その議員とは、バイクに関する諸問題を議論する「自民党二輪車問題対策PT(プロジェクトチーム)」で幹事長を務める赤池誠章議員だ。
国交省の配付資料より。最新のデータを元に試算し、公平な料金設定を目指してるという。
関係者筋に話を訊いてみると、どうやらこれは国土交通省が示した新たな「高速道路の車種区分」を指しているようだ。国交省では、1月15日、有識者で構成される審議会「国土幹線道路部会」を実施。高速料金区分の見直しに関して議論を行った。
この審議会に対して、国交省は「高速道路料金の車種区分について」という素案を発表済み。これによると、現在の5車種区分に対して下記のように13車種にまで区分を細分化し、高速道路料金に反映すべきとしている。
●自動二輪 ●軽乗用 ●軽貨物 ●小型乗用 ●普通乗用 ●貨客車 ●小型貨物 ●マイクロバス ●普通貨物(普通) ●バス(路線) ●普通貨物(大型) ●バス(その他) ●普通貨物(特大)
今回の車種区分見直しは、現行の5車種区分が時代遅れになったことが背景にある。5車種区分の根拠となるデータが示されたのは1988年=昭和63年(区分が設定されたのは翌年)。令和の現代まで、社会的なニーズをはじめ、車両諸元や高速道路の利用状況が変化してきた。その結果「二輪車と軽自動車との間の諸元の差が拡大傾向にある」と国交省は分析している。
また、車種区分の基本的な考え方である「占有者負担」「原因者負担」「受益者負担」の3つの考え方を踏まえつつ、最新の知見を交え、車種間の不公平感がない区分を目指すという。
まだ検討段階で実際に決定したわけではないが、二輪料金の分離が検討されているのは間違いない。ただし二輪料金が実現したとしても、導入時期などは不明で、少なくとも数年かかる見通しだ。
今後、国交省の国土幹線道路部会では13車種の区分に応じた負担比率を検討し、実際の料金を決めていくことになる。で、結局、二輪料金は安くなるのかどうか!? 二輪料金が分離されたとしても、現行より安くなるか否かは現時点では不明。ただし「他の車種より安くなる」可能性はある。
その根拠の一つが「専有面積の減少」。これまで「占有者負担」という考えにおいて、バイクは安全性の観点から車間距離を大きく取るため、前後50cm=1mを加えることで、バイクと四輪車の専有面積は同じ、とされていた。
しかし、新たな案ではこの車間距離を廃止。実際の二輪の全長の平均値から算出することになった。当然、四輪車より占めるスペースが減るため、この点で他の車種より料金が値下げとなる可能性が高い。なお車間距離の廃止は、ABSの義務化によって安全対策が進化したことと、二輪事故件数が減少したことが大きい。
もう一つの根拠が「受益者負担」が減ること。高速料金を設定する際、道路整備によってユーザーが得られる時間ごとの価値を換算した「時間便益単価」という考えがある。
今まで、自動二輪と軽自動車は実際の数値ではなく、仮定で設定されており、ともに「22.0」だった。そこで実際の平均乗車人員や車重、交通量などを考慮して補正した結果、二輪は「28.77」という値に。これは軽乗用車33.17、小型乗用車34.09、普通車48.38と比べても低い値。その分、他の車種より安くなる可能性があるのだ。
その一方で、料金が現状より値上げになる根拠も。
車両の変化を踏まえた新たな算出では、バイクの重量が平均200kgから320kgに引き上げて計算される。路面への負担が現状より増加するため、値上げとなる可能性があるのだ。ただし、他の車種区分も同様に増加しているため、他の車両よりは安くなる可能性はある。
前述した通り、現状では二輪料金が独立化しても料金が値下げされるかどうかは不明。もちろん値下げが望ましいが、最悪のシナリオは他車種の高速料金が値上げされ、バイクは現状とあまり変わらず、相対的に他車種よりは安くなるという結果……。物価が高騰している今、道路の管理費や建設費は増大することが見込まれており、全体的な値上げも考えられるからだ。いずれにせよ今後も動向を見守っていきたい。
沼尾宏明
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