( 283171 ) 2025/04/15 06:57:35 0 00 地域政党「再生の道」を立ち上げた石丸伸二氏(時事通信フォト)
新年度の幕開けである4月には、社会的にも大きな動きがある。体験取材を得意とする女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子氏が“歴史が動いた”と感じた2つの出来事について綴る。
「春の嵐」というけれど、3月末に「えっ? これ、真夏日じゃない?」と思うほどの日差しが照りつけたその数日後に雪がパラつくって、もうわけわかんない。いやいや、春はそんなものよと言われたらそんな気もするし、私自身、そう思って落ち着きたいのよ。その一方で、今年ばかりはそうはいくかなと胸騒ぎが止まらないんだわ。
天気の話じゃない。先日のフジテレビの記者会見よ。
ご存じの通り、元タレントの中居正広氏が起こした女性トラブルと、それに関連するフジテレビの対応を第三者委員会が調査したというあの話だけどね。
思い起こせばこの事件でフジテレビは、最初は社員の関与を全面否定で、次はカメラを入れない記者会見。それを批判されたら10時間会見をしたけどスッキリするどころか、この人たちがフジテレビの幹部だったんだ、へぇ~という感想を世間にばらまいただけ。って、ここまでダメの上にダメを重ねたあげく、「第三者委員会を設置して調査します」と言われたってねぇ。またまたどっかに抜け穴を作っているんじゃないの?と、そう思っていたのは私だけじゃないと思うよ。
ところがところが、中居氏の性暴力はあったとハッキリ認めただけじゃない。フジテレビの社員が少なからずかかわっていたことや、いかがわしい飲み会の費用は会社の経費で精算したとか、耳を疑うような事実が出るわ出るわ。さらに、直後にフジテレビの清水賢治社長は会見を開いて被害女性に対して、「会社としての救済が充分ではなかった結果、大変つらい思いをさせてしまった」と謝罪。いくら広告収入が何か月も激減して背に腹は代えられないとはいえよ、“男性優位の社風だった”と社長が認めたのよ。昭和女の私は「ふんっ、いまさら」と鼻白みながら、歴史が動いたと思ったもんね。
もうひとつの「春の嵐」は、石丸伸二さんが立ち上げた「再生の道」という地域政党の東京都都議会議員選挙候補者選考のこと。こっちはフジテレビと違って、「何、それ?」という人もいるから、「春の嵐」と言っていいか迷うんだけど、歴史の扉が開く出来事だと私は思っているの。
候補者募集が始まる前、「公募っていうけど人は集まる?」と鼻で笑う人がいた中、ふたを開けたら手を挙げた人は1128人。私たちがユーチューブで見られるのは2次選考を通って3次面接に残った118人。
最終選考に残った人はそれぞれ15分ずつ自己紹介をして、石丸さんと面接官から質問を受ける公開スタイルだけど、考えさせられたのよね。
私は昨年6月、広島県安芸高田市長の退任式の前日に石丸さんにインタビューをしている。そのときの彼の印象は「率直」という二文字で、老若男女の別や肩書で人を見ない人。私が足かけ7年アルバイトをした衆議院議員会館では、まず見かけないタイプだ。
その石丸さんが選ぼうとする都議選候補者の資質は、ズバリ「仕事ができる人」。ほんと、彼らしいなと私はニマニマしちゃった。そして面接が始まったら、「わぁ、この人の話、もっと聞きたい!」と、何度もリピする人がいる一方で、経歴は素晴らしくて仕事はできそうだけど、なんかつまんない人もいるの。15分の面接が最後まで見られないのよ。都議会議員に人を引きつける魅力が必要かどうか。てか、いままでの都議会議員にどれくらいの魅力があるの?と聞かれたらぐうの音も出ないけれど、4月13日の最終の面接の後、石丸さんがどんな判断をするか。すごく興味深いけど、実は私にはもっと関心があることがある。
それは、人の好悪や無関心の感情は言葉で動くか?なのよ。私が石丸さんの話をすると、「石丸信者」と言ってくる人がいる。そんな人はたいがい彼が「嫌い」か、「なんとなく嫌い」なんだよね。そのたびに私は「たとえばどんなところが嫌い?」と聞くんだけど、「エラそう」とか「上から目線」という意見がせいぜい。先日は、いつも文章に触れているはずの出版社社員が、「う~ん、う~ん」と散々唸った揚げ句、「ダメだ、降参。言語化できないや」だって。彼を好きな人は最初から彼の動画を繰り返し見ているけど、そうでない人は早い段階で「嫌い」でシャッターを下ろしちゃう。
てことはよ。選挙って、とどのつまりは「この人、好き? 嫌い?」って気がするの。それが極端に分かれた方が、結果、投票率が上がる? いずれにせよ、この春は推しになった都議会議員候補者がどうなるか、ワクワクドキドキの春になりそうだ。
【プロフィール】 「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。
※女性セブン2025年4月24日号
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