( 283714 )  2025/04/17 06:58:14  
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東京大学の研究グループが、水田に太陽光パネルを設置することで、水稲の収量が23%減少するものの、発電と米の収益を合わせると通常の水稲作の5倍以上になる可能性があることを示す実験結果をまとめた。

この研究は、茨城県筑西市の水田で6年間にわたって行われた。

パネル下の米の品質が問題となる中、品種改良や栽培管理技術の必要性が指摘されている。

研究結果は国際学術誌にも掲載されており、パネルの設置費用の回収期間や寿命についても確認されている。

(要約)

( 283716 )  2025/04/17 06:58:14  
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パネルを設置した水田(茨城県筑西市で=東京大学提供) 

 

 東京大学の研究グループは、営農型太陽光発電で水稲の収量が23%減少する一方、発電と米を合わせた総収益が通常の水稲作の5倍以上になる可能性があるという試算結果をまとめた。6年間にわたる水田での実験で明らかにした。 

 

 同大大学院農学生命科学研究科の加藤洋一郎教授らによる研究グループは、2018〜23年の6年間、茨城県筑西市内の水田で調査を実施。田の27%を太陽光パネルで覆い、パネルを設置していない田と収量や品質などを比べた。 

 

 収量は太陽光発電を行った水田で、平均で23%減少した。パネル下で生産された米は白未熟粒が増加し、タンパク質やアミロースが多かった。研究グループは「品質を安定させるための栽培管理技術や品種の開発が急務だ」と指摘する。 

 

 収益は、収穫した米の価格と再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)から試算。調査当時のFITから試算したところ、パネルを設置した田で1ヘクタール当たり年間1870万円。収穫量が減少したにもかかわらず、パネルを設置していない田(130万円)の10倍以上となった。 

 

 調査当時より低い25年時点のFIT(1キロワット時10円)で試算しても、従来の稲作だけの5倍以上の収益を得られることを確認した。米の収益は、農水省が公表する相対取引価格の各年の平均価格に収量をかけて算出した。 

 

 研究成果は、国際学術誌「フィールドクロップスリサーチ」に掲載された。先行研究では、パネルの設置費用が10年以内に回収でき、パネルの寿命は20年であることが確認されているという。 

 

日本農業新聞 

 

 

 
 

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