( 284414 )  2025/04/20 04:17:53  
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政府は、就職氷河期世代に対する新たな支援策を6月にまとめる方針を固めた。

この世代は30代後半から50代半ばで、2040年前後に高齢期に入るため、高齢者の貧困層増加が懸念されている。

これまでの支援策では効果が限定的であったため、氷河期世代の高齢化に備えた対策が急務とされている。

氷河期世代は他の世代よりも低い賃金上昇率であり、政府は関係閣僚会議を開いて対策に取り組む予定である。

(要約)

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閣議に臨む石破茂首相(中央)=8日午前、首相官邸(春名中撮影) 

 

政府が、「就職氷河期世代」に対する新たな支援策について6月をめどに取りまとめる方針を固めた。現在30代後半から50代半ばの就職氷河期世代は、2040年前後に高齢期に入る。バブル経済崩壊に伴う就職難で他の世代に比べ所得や貯蓄が少なく、高齢者の貧困層増加が懸念される。政府はこれまでも就労支援に取り組んできたが、効果は限定的で、来たるべき氷河期世代の高齢化に備えた対策が急務だ。 

 

政府の氷河期世代への支援策は非正規雇用の正社員化や引きこもり支援が中心だった。令和元年から6年までに氷河期世代の正規労働者数は11万人増えたが、新型コロナウイルス禍に伴う景気の冷え込みで当初目標の30万人増に遠く及ばない。 

 

■他世代より低い賃金上昇率 

 

氷河期世代は賃金上昇率も他の世代より低い。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、元年から6年までの賃金上昇率は人手不足による初任給の引き上げなどで若手重視が目立ち、19歳以下は11・0%、20~24歳は10・0%と高い。これに比べ、35~39歳は7・9%▽40~44歳は7・0%▽45~49歳は6・9%▽50~54歳は2・9%-にとどまり、氷河期世代が割を食っている。 

 

政府が25日に関係閣僚会議を開き氷河期世代の高齢化を見据えた対策に着手するのは、夏の参院選で氷河期世代の支持を集めたいという思惑も透ける。ただ、政府の対応には一貫性を欠くとの見方もある。 

 

その一例が年金制度改革の関連法案を巡る混乱だ。厚労省は当初、厚生年金の積立金を活用した国民年金(基礎年金)の底上げを法案に盛り込むつもりだったが、自民党内の反発で取り下げた。「厚生年金の流用」という批判を恐れたためだ。 

 

■「さらに大きな社会問題となりかねない」 

 

だが、氷河期世代が年金受給者になり始める2040年ごろには、現在の仕組みでは国民年金は今より3割減ると試算される。国民年金だけ加入している人の年金は満額でも現在月7万円弱。氷河期世代は国民年金だけに加入しているケースも多く、将来の不安は募るばかりだ。生活保護に頼る人が増え、国の財政を圧迫する可能性もある。 

 

就職氷河期問題に詳しい日本総合研究所の下田裕介主任研究員は「氷河期世代は家族の介護が必要になる可能性もあり、老後の住宅確保でも課題を抱える。いま現実的に政策を展開しなければ、さらに大きな社会問題となりかねない」と指摘する。(末崎慎太郎) 

 

 

 
 

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