( 284499 )  2025/04/20 05:54:53  
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JR東日本が約6000億円を投じて街づくりを行い、高輪ゲートウェイ駅を中心とした大規模複合施設「高輪ゲートウェイシティ」を開発している。

さらに、人手不足解消のため新しい運行システムを導入し、首都圏で初めてワンマン運転を開始。

社長の喜㔟陽一氏のもとで大改革が進められており、新たな取り組みや改革の全貌が明らかになっていく。

高輪ゲートウェイシティでは、ライブ施設や複合文化施設などが設けられるなど都市開発の一環として様々な施設が整備されている。

(要約)

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「JR東日本」約6000億円の街づくり 

 

今回のテーマは、「鉄道!新時代へ~100年に一度の大改革~」。 

 

正確な運行と高い安全性から“世界一”と言われる日本の鉄道。そんな日本の鉄道が、新時代を迎えようとしている。 

仕掛けるのは、業界最大手「JR東日本」。去年、新たにトップに就任した喜㔟陽一社長のもと、100年後を見据えた大改革に挑んでいる。 

その大改革を象徴するのが、山手線の「高輪ゲートウェイ駅」で進める、大規模複合施設「高輪ゲートウェイシティ」の開発だ。総事業費は約6000億円で、駅と街を一体的に開発している。 

 

この他、人手不足解消に向け、最先端の運行システムを導入しながら、首都圏で初となるワンマン運転をスタートさせるなど、改革を推し進めるJR東日本。改革の全貌を、ガイアが独占取材した。 

 

高輪ゲートウェイシティ 

 

2020年に、49年ぶりの山手線新駅として誕生した「高輪ゲートウェイ駅」。駅に直結する都心最大級の新街区が、2025年3月27日に誕生した「高輪ゲートウェイシティ」だ。 

JR東日本が、駅と街を一体にして開発する総事業費約6000億円の巨大プロジェクトとなっている。 

 

全5棟のうち2棟が開業 

 

今回は、全5棟のうち2棟のビルが先行して開業。秋以降は、「JWマリオット・ホテル東京」と大型商業施設「ニュウマン高輪(一部先行開業)」がオープン。そして2026年春には、4つのビルと複合文化施設がそろい、全面開業へ。 

 

「JR東日本」マーケティング本部の出川智之さん 

 

そんな街づくりのキーマンが、「JR東日本」マーケティング本部の出川智之さん。竹芝や新潟駅などで新施設の開発を担当したJRきってのアイデアマンだ。 

 

複合文化施設「MoN Takanawa」 

 

出川さんが案内してくれたのは「高輪ゲートウェイシティ」の顔となる複合文化施設「MoN Takanawa」で、開発途中の現場に、初めてテレビカメラが入った。巨大な地下空間には、約1200人収容(着席)できるライブ施設が完成するという。 

「ハードもソフトもユニーク。文化創造財団という新しい財団を立ち上げて、そこに各界の著名な方たちが集まり、化学反応を起こすものをつくっていく」(出川さん)。 

 

 

高輪築堤 

 

そして、大規模な開発工事が始まってすぐに発見されたのが、この「高輪築堤」。日本初の鉄道開発の際、東京湾の浅瀬に造られたものだ。 

約150年前、新橋と横浜をつないだ最初の鉄道。高輪近辺では2.7キロメートルにわたって海に石を積み上げ、その上を汽車が走っていた。 

その後は東京湾の埋め立て工事で行方知れずになっていた歴史的建造物で、JRは約500億円かけて開発計画を変更し、築堤の一部を保存することに。 

 

喜㔟陽一社長 

 

鉄道最大手「東日本旅客鉄道(JR東日本)」は、首都圏から東北までを結ぶ路線網を持ち、従業員数は連結で約6万9000人、連結売上高は約2兆7300億円(2024年3月期)。 

1987年に国鉄が7つに分割民営化され、JRグループが誕生した。 

 

民営化後の入社組で初めてトップになったのが、喜㔟陽一社長(60)。乗客が激減したコロナ禍にいち早く新幹線を使った生鮮品の輸送をスタートさせ、エキナカでクリニックを始めるなど、柔軟な発想力でサービスを生み出し続けてきた。喜㔟社長は高輪開発にも当初から携わってきた。 

「グループを挙げた20年来の構想。なんとしても成功させたい。もう1回スクラムを組んで“火の玉になる”」。 

 

高輪ゲートウェイ駅の発車メロディーは、JRがオリジナルで作った曲 

 

2月下旬。街づくりのキーマン、出川さんが会議を招集した。会議のテーマは、高輪ゲートウェイ駅の発車メロディーで、街のイメージと直結する大切な要素でもある。 

出川さんが「高輪ゲートウェイにふさわしい」と選んだ曲は、JRがオリジナルで作った曲「グロリアスゲートウェイ」(作曲:服部隆之 演奏:NHK交響楽団)だ。 

 

さらに出川さん、駅構内にも客を呼ぶ、これまでにないアイデアを温めていた。 

電車が見える飲食店前のテラスにDJブースを設置。エキナカでDJイベントを開き、夜の駅にも足を運んでもらおうというのだ。 

そこで出川さんが頼ったのが、飲食店を経営する「クラシック」の社長・萱場俊克さん。品川駅のバーや上野駅の大人気スイーツ店を開業させるなど、エキナカに新たな旋風を巻き起こしてきた人物だ。 

 

 

「MAISON CLASSIC FACTORY」のシュークリーム 

 

萱場さん、高輪ゲートウェイ駅では、生地からクリームまで全て駅で手作りする「MAISON CLASSIC FACTORY」をオープンし、焼き立てシュークリームで勝負に出る。さらに、DJイベントを盛り上げるため、音楽を聴きながら味わえるシュークリームのカクテルも用意した。 

 

約10分間のドローンショーを開催 

 

街開きの2日前。出川さんは、オープン直前の話題作りとして行う「シークレットイベント」の準備に追われていた。喜㔟社長“肝入りのプロジェクト”で、ゲリラ的にドローン300機を夜空に上げて、約10分間のドローンショーを開催。そこには、日本の鉄道150年の歴史、そして、新しい街のコンセプトを込めた。 

これまで巨大事業のプレッシャーと戦ってきた出川さんは、思わず涙…。思いがあふれた瞬間だった。 

 

駅長の府川真規さん 

 

3月27日、「高輪ゲートウェイシティ」が開業した。駅の中には新しく芝生の広場が広がり、ホームでは、あの発車メロディーがお出迎え。萱場さんのシュークリーム店では、作る工程が見られるパフォーマンスが人々を引き寄せ、初日から長蛇の列ができていた。 

 

DJイベントではこれまでにない駅の風景が 

 

夜になると、出川さんが期待したとおり、これまでにない駅の風景も。「鉄道の音も聞こえるし、BGM的に聴くのもいいと思う。自由な駅の使い方、過ごし方ができるのが、高輪ゲートウェイ駅」(出川さん)。 

 

しかしこれは、JR東日本、変革の始まりに過ぎないという。 

「さらに広いフィールドで変革をして、事業構造全体を変えようとしている。“JR東日本は、どこに位置づけたらいいのか”と迷うくらい、お客さまといろいろな意味での接点を持てる会社・グループにしていきたい」(喜㔟社長)。 

 

高輪ゲートウェイの駅と街の変革は、今後リニアができる品川駅や羽田空港をつなぐ周辺の駅にまで広がる予定。そしてJR東日本では、さらなる大転換が始まっていた――。 

 

ワンマン化の先陣を切る南武線 

 

3月中旬。JR南武線・登戸駅(神奈川・川崎市)のホームには、「ドラえもんのうた」の発車メロディーを記録する人々の姿が。南武線のご当地の発車メロディー廃止が発表されていたのだ。南武線では、ワンマン化により運転士1人になるため、駅で車掌が行っていた発車メロディーのボタン操作ができなくなる。 

JR東日本が首都圏の主要路線をワンマン化するのは初めてのこと。東京の立川駅と神奈川の川崎駅、約35キロメートルを結ぶ南武線が、その先陣を切る。 

 

 

運転士歴8年の芝田裕太さん 

 

2月27日、ワンマン運転開始16日前の「川崎統括センター 南武線オフィス」。ここには、南武線の車掌約120人、運転士約150人が所属している。 

運転士歴8年の芝田裕太(37)さんは、この日、川崎〜立川間で通常運行している快速車両を使い、ワンマン運転の訓練を行うことに。もちろん客も乗車している。 

 

この日は訓練のため、指導担当も同乗。芝田さんは、いつも車掌が担当している車内アナウンスやホームの安全確認、ドアの開閉も1人で行うが、訓練中の芝田さんを想定外の事態が襲う。 

 

JR東日本「東京総合指令室」 

 

さらにJR東日本は、利用客が少ない「無人駅」を「高級ホテル」に変えようとしていた。 

 

番組ではこの他、ほとんど取材が許されない、JR東日本「東京総合指令室」の内部に迫る。 

 

※「ガイアの夜明け」より 

 

 

 
 

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