( 285116 ) 2025/04/22 07:17:52 0 00 止まらぬ“銅泥棒” 98億円被害 AIブームで需要急増し高騰
価格高騰が止まらない金属の銅。去年だけで98億円相当の銅が盗まれました。産業の転換を背景に世界的に需要が高まっていますが、トランプ関税によって争奪戦が起きる可能性もあります。
全国で銅が狙われています。今月、山形県米沢市の倉庫で盗まれたのは、およそ2700個の古い水道メーターでした。主に銅でできていて、被害額はおよそ245万円です。
富山県で盗まれたのは“体操坊や”として愛されている銅像です。持ち主は…。
大寺幸八郎商店 大寺康太さん 「残念でならない。戻ってきてほしい」
神奈川県では公園の建物の銅板がすべてはがされました。
相次ぐ銅の窃盗を巡り、衝撃的な数字も明らかになりました。
警察庁によりますと、去年の金属盗難の件数は2万701件。4年間で4倍に増え、被害総額はおよそ136億円です。このうちの7割であるおよそ98億円分が銅だといいます。
政府は、対策のため「金属盗対策法」の制定に乗り出しましたが、専門家は「いたちごっこに被害は続く」と指摘します。なぜ銅が狙われるのでしょうか。
楽天証券 吉田哲アナリスト 「銅価格が高いので盗難が相次いでいる。高止まり状態にあります」
銅の価格が高騰している理由は…。
吉田アナリスト 「電気自動車(EV)、人工知能(AI)、電気を使う分野ですね。電気をうまく伝えるため、または加工をするために銅の需要というのが長期視点で増えてきた」
大量の電力が必要な電気自動車やAIを動かすコンピュータなどには多くの銅が使われています。こうした産業の転換が銅不足を引き起こし、価格高騰を招いています。
KBK 業務統括部 椋橋哲也次長 「動向を見守るしかないかなというのが率直な意見です」
銅が高騰する現状について、自動車部品関連の企業を取材すると…。
椋橋次長 「ここ数年で(価格が)2倍ほどになってきているので、製造サイドでできることは使用量の削減」
部品の一部をアルミに換えました。品質は落とさず軽量化とコスト削減ができ、一石二鳥です。
雪山シボリ 雪山浩司代表 「音色の問題とか材料の硬さとか、換えようがないというのが現実です」
「銅の代用品はない」と頭を悩ませている企業。主力製品はトランペット奏者などが愛用する“ミュート”で「銅でしか出せない音色がある」と、価格転嫁を余儀なくされたといいます。
銅の価格高騰に加え、不安なのがトランプ関税です。
雪山代表 「もうどうすることもできない。我慢するしかない状況」
現在の市場価格は1トンあたり135万円、10年前の76万5500円に比べると、およそ倍の金額です。今後、さらにトランプ関税が混乱を引き起こす可能性があるといいます。
吉田アナリスト 「関税引き上げの結果、流通経路が大きく変化して、その中で争奪戦が発生し、価格を押し上げる材料になる可能性もある」
(「グッド!モーニング」2025年4月21日放送分より)
テレビ朝日
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