( 286669 )  2025/04/28 04:35:10  
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立憲民主党の野田佳彦代表が記者会見し、夏の参院選公約に消費税減税を盛り込むことを決定した。

野党の中で先行して消費税減税を掲げることで他の野党に埋没することを懸念している。

野田代表は減税に慎重であったが、党内からの選挙を意識した声に押されて方針転換をした。

野党各党が消費税減税で足並みを揃える中、今後は自民党総裁の対応が注目される。

(要約)

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記者会見する立憲民主党の野田佳彦代表=25日午後、国会内 

 

 立憲民主党が、夏の参院選公約に消費税減税を盛り込む方針を決めた。減税論で先行する他の野党の間に埋没することへの懸念が拡大。政界有数の財政健全化論者と目された野田佳彦代表も、選挙を意識する党内の声に押し切られた。野党各党が消費税減税で足並みをそろえる中、今後は石破茂首相(自民党総裁)の対応が焦点となる。 

 

 ◇悪夢 

 「財政規律を重視する立場だが、現実的判断もする」。野田氏は25日の記者会見で、減税にかじを切った理由をこう説明した。 

 

 立民内で消費税減税の動きが活発化したのは昨年末以降だ。物価高対応で「食料品の消費税率ゼロ」などを掲げる複数の勉強会が発足。ただ、野田氏は「減収分を補う見通しはあるのか」と否定的で、当初は静観の構えだった。 

 

 しかし、報道各社の世論調査で減税を掲げる国民民主党が支持を集める一方、立民は伸び悩んだ。日本維新の会も食料品の消費税率「ゼロ」を打ち出し、6月の東京都議選やその後の参院選を控え、立民内に危機感が充満。減税勉強会の参加者は党所属議員の過半数に達する勢いで、野田氏に近いグループからは「無視すれば代表選実施の署名を集められかねない」と警戒する声が漏れた。 

 

 旧民主党は、野田政権下で消費税増税の是非を巡って分裂した。野田氏には今なお、3年余りで下野に至った「戦犯」との評が付きまとう。 

 

 くしくも、当時の政権幹部だった枝野幸男元代表の「減税ポピュリズム」批判に、党を割った張本人の小沢一郎氏が「無礼で傲慢(ごうまん)」と応酬。今月、減税勉強会のメンバーと面談した小沢氏は「本気でやるなら応援する」とささやいた。 

 

 分裂騒動の「悪夢」が関係者の脳裏をよぎる中、野田氏は23日のラジオ番組で「物価高など『民のかまど』を見た判断は当然ある」と軟化。1年間の時限措置として消費税減税の容認に傾いていった。 

 

 ◇変節 

 もっとも、野田氏はかつて食料品などへの軽減税率適用を「天下の愚策」と批判した経緯があり、自民幹部は「変節だ」と早速批判。公明党の斉藤鉄夫代表は記者団に「『天下の愚策』を前提にした政策に違和感を覚える」と皮肉った。 

 

 野党内からも疑問の声が上がる。国民の榛葉賀津也幹事長は「有権者からは一貫性があるようには見えないのではないか」と指摘した。 

 

 野田氏は25日の会見で、消費税減税に伴う赤字国債の発行を否定したが、財源の詳細に踏み込むことは避けた。「どうせ選挙向けのプロパガンダだ」。立民ベテランはこう言い放つ。 

 

 食料品の消費税率をゼロにすることで、年5兆円程度の減収が見込まれるとの試算もある。減税論と距離を置く立民若手は「どこから財源を持ってくるのか。みんな選挙しか考えていない」と嘆いた。 

 

 ◇包囲網 

 物価高対策を巡り、政府・与党は国民一律の現金給付も検討したが、世論の「バラマキ」批判を受けて断念。これに代わって、参院自民や公明を中心に消費税減税を求める声が強まっている。野党の足並みもそろったことで、首相に対する「包囲網」が張られた形だ。 

 

 ただ、自民執行部は消費税減税に慎重な姿勢を崩していない。森山裕幹事長は25日、立民案について「1年間の限定であれば別の方法があるのではないか」と記者団に指摘。首相周辺は「バラマキばかりやっていると、円が急落し金利が上昇しかねない」と懸念を示した。 

 

 

 
 

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