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日本は資源に乏しいため、国内需要を満たすために多くの資源を輸入しており、人口が多いことが強さの源泉となっている。

しかし、日本はすでに人口減少社会に突入しており、これは将来的な問題を招く可能性がある。

労働力や消費者、納税者が減少することが懸念される中、移民を受け入れることも考えられているが、包括的な検討が必要とされている。

(要約)

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Photo: Adobe Stock 

 

 「日本は世界12位の人口大国」なのに…なぜ日本経済はこんなに弱っているのか? 

「経済とは、土地と資源の奪い合いである」 

ロシアによるウクライナ侵攻、台湾有事、そしてトランプ大統領再選。激動する世界情勢を生き抜くヒントは「地理」にあります。地理とは、地形や気候といった自然環境を学ぶだけの学問ではありません。農業や工業、貿易、流通、人口、宗教、言語にいたるまで、現代世界の「ありとあらゆる分野」を学ぶ学問なのです。 

本連載は、「地理」というレンズを通して、世界の「今」と「未来」を解説するものです。経済ニュースや国際情勢の理解が深まり、現代社会を読み解く基礎教養も身につきます。著者は代々木ゼミナールの地理講師の宮路秀作氏。「東大地理」「共通テスト地理探究」など、代ゼミで開講されるすべての地理講座を担当する「代ゼミの地理の顔」。近刊『経済は地理から学べ!【全面改訂版】』の著者でもある。 

 

● 人口大国ニッポン、これからどうなるのか? 

 

 日本は土地も資源もない国といわれます。日本は地体構造上、鉄鉱石の産出はほとんど期待できません。これからも日本の領土において、それは変わらないでしょう。 

 

 石油や石炭などの資源もまた、国内需要の多くを輸入でまかなっている資源小国です。資源小国であり、人口が少なければ、観光立国を目指すという選択肢くらいしか残されていません。やはり人口が多い国、要するに国内需要が大きい国は強いということです。 

 

 日本の人口はおよそ1・25億人(2023年)。なんと世界第12位です。人口が多いことから、同じ業種でも多くの企業が存在しました。企業間競争は技術競争でもあります。この競争が、技術水準を押し上げました。さらに技術水準を上げるためには、研究開発が必要不可欠です。高い技術水準を求めて、企業は高い学力を持った人材を欲しました。教育水準が高くなることで、技術水準もさらに押し上げられていきました。そして、作られた工業製品は国内の人口に支えられて販売個数を増やしました。 

 

 実際に、日本の輸出依存度は18%程度しかありません。「貿易立国」というより、「内需依存型」であることがわかります。国内需要の大きさを背景に経済が成長しました。 

 

 しかし日本は、すでに人口減少社会へと突入しました。これをピンチと捉えるか、チャンスと捉えるかは千差万別です。少子化は将来的な労働力人口の減少、消費者の減少、納税者の減少などを意味します。日本の15〜64歳の生産年齢人口割合は、1992年の69・92%を境に28年連続で減少中です。 

 

 2023年には58・79%となりました。もはや社会構造上、少子化の大幅な改善を期待することは難しいため、労働力確保の観点から移民を受け入れることも考えられていますが、かつての西ドイツに学び、何が最善なのか包括的に考える時期に来ているのではないでしょうか? 

 

 (本原稿は『経済は地理から学べ!【全面改訂版】』を一部抜粋・編集したものです) 

 

宮路秀作 

 

 

 
 

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