( 287779 )  2025/05/02 05:57:18  
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備蓄米の流通に関する問題が発生しています。

備蓄米の入札で21万2000トンが放出されたが、小売店にはわずか1.4%しか届いておらず、米価の値上がりが続いています。

備蓄米は入荷しても量が少なく、買い物客も見たことがないと話しています。

備蓄米の流通が遅れている理由は、通常の取引とは異なるため調整に時間がかかることが挙げられます。

また、政府の買い戻し制度や入札による販売方法なども影響しています。

備蓄米の流通が改善されない限り、米価は下がらないとの見方も示されています。

(要約)

( 287781 )  2025/05/02 05:57:18  
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備蓄米はどこへ行ったのか 

 

 農林水産省は30日、2回目の入札までに放出された備蓄米21万2000トンの流通状況を公表し、小売店に届いた量は全体のわずか1.4%程度だったことがわかりました。 

 

米価の値上がりは続いている 

 

 大阪市内にあるスーパーでは4月下旬に備蓄米を入荷できましたが、量は少なかったということです。 

 

 (フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長)「会社全体で200袋。9店舗あるので(1店舗あたり)20~30袋しか回してもらえなかったので、店頭に並んだけどその日1日で売り切れてしまった」 

 店頭に並ぶほかのコメよりも1000円以上安いということもあり、飛ぶように売れたといいます。 

 

備蓄米は「見たことがない」と話す買い物客 

 

 (内田社長)「もっとたくさん入荷したいがなかなかそういうわけにもいかず、数が限られているという状況」 

 

 5月分の備蓄米について、卸売業者からは「入荷できる」と説明を受けているものの、具体的な量も入荷日時も分からないということです。買い物客は備蓄米を「見たことがない」と話していました。 

 

なぜ備蓄米の流通は遅れている? 

 

 なぜ備蓄米の流通は遅れているのでしょうか。 

 

 農林水産省は、通常の取引とは違うので調整の時間がかかったと分析しています。 

 具体的には、集荷業者(JAなど)はトラックなど輸送手段を手配し、政府に報告する手順、卸売業者は精米する手順が加わっています。 

 これらは通常の米にはない工程です。落札が完了しても、集荷業者、卸売業者でそれぞれ2~3週間を要するので、小売店に流通するのは6月以降になるとみられています。 

 

コメの流通経路 

 

 備蓄米が流通しない原因は、いくつか考えられます。 

 

 1つは、国による買い戻し制度の存在です。政府が備蓄米を放出した場合、1年以内に放出したのと同じ量・品質の米を買い戻さないといけません。この買い戻し条件について農水省は「変更するには議論や手続きに時間がかかる」として、変えがたいとの認識を示しています。 

 

米の流通に課されている条件とは 

 

 2つ目は、備蓄米を放出する方法は入札しか許されていない点です。 

 

 備蓄米を落札できる条件は、年間仕入れ量が5000トン以上の集荷業者と定められていて、現状、備蓄米を卸売業者や小売店に直接販売することはできません。 

 こうした条件があり、2回目の放出された備蓄米のうち94%をJA全農が購入していました。 

 この条件についても農水省は「備蓄米は国有財産。国の物品を売り渡すときは入札と決まっている」と背景を説明します。 

 

 

今年も米価は高い状態が続くか 

 

 今後の米の価格は今後一体どうなるでしょうか。 

 

 JA福井県は、農家に対し最低保証金額を設定し、2025年産コシヒカリについて60kgあたり2万2000円に設定しました。 

 これは去年と比べて3割から4割高い水準です。 

 

キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹の山下一仁さん 

 

 なぜ米価は下がらないのか。この先の米の流通はどうあるべきなのか。 

 

 元農林水産省職員で米の流通に詳しいキヤノングローバル戦略研究所・研究主幹の山下一仁さんの解説です。 

 

 買い戻し条件や入札に参加できる業者の条件は法律で決まっているわけではない。今月から7月にかけて10万トンほどの備蓄米が販売されるが、その際にはこうした条件を変更するべき。 

 問題の本質は販売方式というより、全体の供給量を増やすことができるかどうかだ。供給量が増えないと価格は下がらないだろう。 

 そのためには、農水省はJAや卸業者に今まで通りの量を売っているのか報告させないといけない。 

 

米価はすぐには下がらないと主張する山下さん 

 

 25年産の米価の動きについては、24年産についてのJAの反省があるのではないか。24年産米が不足した際、JAは60kgあたり1万5000円~1万6000円の価格を設定したが、ほかの業者がそれより高い価格を提示し、JAに米が集まらなくなった。 

 それを25年産で回復しようと思って高めに設定したのではないか。 

 ただ、JAがこの価格を設定したうえ、政府の備蓄米の買い戻しもあることを見通せば、今年も米価は下がりにくくなるだろう。 

 今年秋以降も米価が下がる見込みはない。 

 

 

 
 

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