( 288194 )  2025/05/04 04:02:46  
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国民民主党が提出した「若者減税法案」が波紋を広げている。

30歳未満の所得税軽減を目指す法案には批判があり、世代間の分断を煽ると指摘されている。

与野党は消費税減税を主張し、参院選の争点が見えにくくなっている。

(要約)

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国民民主党が提出した「若者減税法案」が波紋を広げている。30歳未満の所得税軽減を目指す法案だが、世代間の分断を煽るとの批判が噴出。さらに、与野党とも物価高対策として消費税減税を主張し、参院選の争点が見えにくくなっている。減税をめぐる動きを解説する。 

 

■30歳未満の所得税軽減「若者減税法案」って? 

 

国民民主党が4月初めに提出した「若者減税法案」は、30歳未満の若者を対象に所得税を軽減するというものだ。この法案の目的は、所得税の基礎控除額を引き上げることで、若者の税負担を軽減し、可処分所得を増加させること。そうすることで、消費の活性化や少子化の進行に歯止めをかけることを期待しているという。 

 

国民民主党の玉木代表は法案提出後に取材対応した際、「若い人たちの生活や暮らしや仕事をしっかり応援し、人生の最初のスタートの時期において、いろんなお金がかかるというところを減税措置で支援していこう」と法案の趣旨を語った。 

 

しかし、なぜ30歳未満に限定したのだろうか。玉木代表は「博士号を取得する28、29歳を基準とする」と説明したが、党内では「根拠は全く無い」と指摘する声もあるという。政治部記者の取材に対し、ある党内関係者は「政治的な判断として『えいや』で決めた面もあるのではないか」と話す。  

 

■「就職氷河期世代を見捨てるのか」批判の声と、国民民主党の“火消し” 

 

「若者減税法案」の提出後、SNSを中心に批判の声が相次いだ。主な批判は「世代間の分断を煽る」というものだ。特に非正規雇用や低賃金に苦しんでいる「就職氷河期世代」からは、「自分たちを見捨てるのか」という不満の声が上がった。 

 

これまで「年収の壁」の引き上げを訴えるなど"全世代の手取りを増やす"政策が躍進の大きな理由になっている国民民主党。この騒動をめぐっても、「ライフステージに合わせた政策は各世代へ訴えている」と改めて強く主張している。 

 

"党としての方針は変わっていない"と強調しているが、なぜ批判が起こったのか。その理由としては去年の衆院選で議席を4倍に増やし、政策実現のため、少数与党と政策協議にも臨むなど、想像以上に注目度があがったことも一因としてあげられるのではないだろうか。 

 

 

"予定外"ともいえる批判を受け、玉木代表は法案提出の翌日、「就職氷河期世代のみならず、対象から外れていると感じられる人に対して誤ったメッセージを与えてはなりませんので、改めて我々としては就職氷河期世代についてはしっかりと取り組んでいく」と釈明した。 

 

その後、国民民主党は就職氷河期世代に特化した公式YouTubeチャンネルを開設したが、党内からは「急に若者減税を言わなくなった。そうであるならば、あのタイミングで言わなければ良かった」との声も上がっている。 

 

一方、この法案をめぐっては、税の公平性の観点からも疑問の声が上がっている。 

 

「103万円の壁を巡る議論の中で『税は公平・中立・簡素と。複雑にすべきではない』という話があった。矛盾しないのか」という質問を投げかけられた玉木代表は、「ある意味恣意性の入らない極めてシンプルな一つの区切りだと思いますので、複雑にはなっていない」と返答。一方で、公平性には言及せず、30歳未満という年齢で区切ることの妥当性や、30代から40代の独身者への対応など、課題は残されたままだ。 

 

■参院選を見据えた与野党の消費税減税スタンス “争点”はどうなる? 

 

参院選を約3ヶ月後に控え、与野党ともに「減税」の声を高めている。自民党内では夏の参院選を控える参院議員を中心に「食料品などの消費税の減税」を求める声が上がっている。公明党も「減税を実現する」と発表した。しかし、慎重派の自民党幹部は「財源を示さない減税政策は国際的な信用を失う」として与党内でも意見が割れている。 

 

一方で、野党のスタンスは、細かな違いはあれど「消費税減税」に賛成の姿勢で一致している。 

 

- 立憲民主党:食料品にかかる消費税を原則1年間0%に。その後の経済状況で最大2年間延長可能。 

- 日本維新の会:2年間限定で食料品にかかる税率を0%に。 

- 国民民主党:消費税を一時的に一律5%に。 

- れいわ新選組:消費税廃止 

- 共産党:参院選に向け消費税の一律5% 

 

 

各党が減税を主張する状況で、参院選の争点はどうなるのか。政治部記者は「間違いなく争点は物価高対策になると思うが、争点があるようでないような状況」と分析する。有権者にとって政党間の違いが分かりにくくなっているという。 

 

また、参院選での「野党議席の最大化」のカギを握る、32ある一人区での野党候補一本化も難しそうだ。立憲民主党と国民民主党は企業・団体献金などの政策でも折り合えず、連携が難しい状況だという。 

 

支持団体の連合が両党を取り持つ形で先月、憲法や外交・安全保障などの基本政策を3者で発表したが、国民民主党は選挙区調整に前向きではない。国民民主党としては、衆院選での躍進を受けて、保守層と呼ばれる支持者を獲得しつつある。立憲民主党とまとまることで、獲得しつつある支持層が離れてしまう懸念があるのだ。 

 

参院選まで残り3ヶ月弱。物価高対策としての減税が争点となるのか、それとも別の争点が浮上するのか。政治の動きから目が離せない状況が続きそうだ。 

 

<取材>TBSテレビ政治部 青木孝仁 

 

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