( 288489 )  2025/05/05 04:21:10  
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石破茂総理による消費税減税に関する姿勢が迷走している中、政治ジャーナリストの青山和弘氏がその取材結果を報じた。

立憲民主党が消費税減税を公約するなか、与野党の意見が分かれ、公明党も減税に賛成の立場を示している。

石破総理は減税に否定的な立場を取っており、代わりにコメとガソリンの価格を下げることで選挙を戦おうとしている。

石破総理の判断には立憲民主党の影響や幹事長の反対が大きく影響しており、公明党の姿勢も重要だと指摘されている。

(要約)

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石破総理 

 

 消費税減税をめぐり二転三転する石破茂総理に政治ジャーナリストの青山和弘氏が独自取材を敢行した。 

 

 3月末、ABEMA的ニュースショーでは青山氏のスクープを報じた。「石破総理本人にも取材し、『減税する方向で検討』といっていいと思う。『政権を失う事を考えたら安いもんだ』という言い方もしている」。するとその直後、石破総理は会見で「税率の引き下げということは適当ではない」と自ら否定した。 

 

 これを受けて青山氏は「石破総理はこれまでもいろんなところでブレてきたというか、迷ってきた。参議院選挙の公約として掲げるのであれば、まだ3ヶ月以上あるからちょっと早い。森山裕幹事長は本当に消費税減税に対して否定的な人。この人を敵に回して石破政権は成り立たない状況」と解説した。 

 

 こうした減税をめぐる議論は一気に飛び火。野党第一党の立憲民主党は減税反対派と容認派に分かれバチバチの状態に。「減税ポピュリズムに走りたいなら別の党を作って下さい」(枝野幸男最高顧問)、「多くの仲間に対しても、あるいは党員、友人に対しても、国民に対しても非常に失礼な無礼な、傲慢な印象を与える」(小沢一郎氏) 

 

 最終的に、総理時代に消費税アップを決め、減税には否定的な立場の野田代表に党の判断は委ねられた。「私は社会保障と税の一体改革を推進をした、ザ・当事者。これまで言ってきたことと一貫性、整合性のある政治判断をしたい。時限的な措置として食料品0%へと消費税減税するという方針を確認した」(野田佳彦代表) 

 

 夏の参議院選挙に向け、立憲民主党の野田代表は1年間に限って食料品の消費税をゼロに引き下げることを公約に盛り込むと発表。給付と減税を組み合わせた「給付付き税額控除」を導入するまでの時限措置とし、経済情勢によって一回に限り延長できるようにするとした。 

 

 一方、自民党と連立与党を組む公明党の斉藤鉄夫代表も「我々『減税』ということを申し上げている。自民党とも議論していて、例えば(ガソリンなどの)暫定税立についてそれを廃止して行く方向で一致している」と発言。参院選まで3カ月のこのタイミングで公明党は公約第一弾を発表し、「減税の実現」を明記した。 

 

 さらに自民党の中にも、参院選を戦うおよそ8割が消費税減税を求めている。「消費税率の引き下げを求める意見、これは8割と大変、大きな数だった。(食料品の)税率をゼロにすべきという声が大変多く聞かれた」(松山政司参院幹事長) 

 

 与野党が減税の流れを容認するなか、石破総理は4月30日、外遊先のフィリピンで「消費税のことについて、具体によく詳細に検討してみなければならない。高所得の方、あるいは高額消費、これも含めて負担が軽減されることになりますので、低所得の方が物価高に一番苦しんでおられるということから考えればどうなんだろうね」と後ろ向きとも思える発言をした。 

 

 そこで青山氏が、外遊から帰国後の石破総理を再び直撃した。「完全に『消費税減税はやらない方針』に軸足を移したなと。石破総理が強調するのは、消費税を下げたら党が割れちゃうという話」「相変わらず森山幹事長の反対が強い。周囲に聞いたら、あれは説得ではなく、脅し。あともう一つ石破総理が言っていたのは、立憲民主党が軽減税率引き下げに踏み切ったのも理由だと」(青山氏) 

 

 では、減税をしないのであれば、どんな秘策で参院選を乗り切るつもりなのか。「コメとガソリンの値上がりが象徴だと。特にコメの値段は絶対に下げると意気込んでいる」(青山氏) 

 

 また、取材の中で、石破総理は青山氏に「もう今は我慢のしどころ」と語ったという。その真意について青山氏は「今まさにコメとガソリンが高いから、これだけ消費税を下げろという世論が強まっているのだと。だから、コメやガソリンの値段を自分が下げていったら、少しそういう世論が沈静化するのではないか。今を乗り切れば、こんなに言われなくなるだろう。つまり『自分の我慢のしどころだ』ということだ」と説明した。 

 

 青山氏は、今回の石破総理の決め手は2つあると語る。「1つは、立憲民主党の出方。野田代表は、消費税率を10パーセント上げた人だが、今回、食料品の消費税を1年間限定でゼロにするという方針を打ち出した。ザ・消費税引き上げの人だったが、党を割ってはいけないということで、立憲民主党の代表として、党を割らないために消費税率を下げる決断をした。ところが、『1年限定はしょぼい』とか『野田氏は変節した』と批判を浴びた。だったら、同じ変節批判もあるかもしれないし、しょぼいと言われてしまうなら、石破総理は財政規律を守る、将来にツケを回さないというポジションを取った方が参院選でも戦いやすいという方に舵を切った」。 

 

「もう1つは、森山幹事長の反対が収まらないこと。党が割れちゃうということをしきりに言う。「森山氏が減税をやるなら幹事長を辞めるのではないか」との声が出ている。つまり自分の首をかけているのではないか。森山氏に頼り切っている石破総理は、なかなか決断はできない。そして周辺は、『あれは説得ではなく脅しレベル』だと。石破総理は、(森山氏の)首を切ってまで突き進んでいくような人ではない。この2つが大きかったと思う」。 

 

 さらに青山氏は「大事なのは、公明党の動きがある。公明党は、今は減税や給付による家計支援だけを打ち出しているが、この減税には消費税、特に軽減税率を下げてほしいという思いが強い。(自民党の)参議院議員もそうだが、与党の一角の公明党からもプレッシャーはかかっていく。これに石破総理は、公明党はなんとか自分と足並みを揃えてほしいけど、足並みが揃わなかったら、与党内で参院選の公約が違うこともしょうがないかもしれない、くらいまで言っているが、本当にそれで済むのかどうか。この辺りも今後、まだ焦点として残っていると思う」と解説した。 

 

 また、石破総理の秘策については「農水大臣も経験していて、減反政策にとにかく反対してきた人。お米は作るべきだという人。今はすぐ作るのは無理なので、備蓄米をどんどん放出して、これだけは参院選の前に下げると意気込んでいる。ただ、本当に下がるかどうかはまだわからない。あとガソリンは、トランプ関税の影響で景気が下がって、世界中のガソリンが下がっている。さらに10円下げると言っているので、こっちは若干下がるかもしれない。しかし、これだけで本当に減税を求める世論が静まるかどうかは、石破総理の思ったように行くかどうかはまだわからない」と説明した。 

 

(『ABEMA的ニュースショー』より) 

 

ABEMA TIMES編集部 

 

 

 
 

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