( 288964 )  2025/05/07 04:03:16  
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大阪市では、自転車の放置が深刻な問題となっており、市は放置自転車の即時撤去や夜間撤去を実施している。

自転車は保管料を支払わないと返却されない仕組みで、売却しても利益が期待できない状況となっている。

自転車は、市内の地形が平坦で自転車利用が便利なことや駐輪場不足が要因とされており、市は駐輪場の設置状況を検討している。

(要約)

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道頓堀で放置自転車の夜間撤去を行う大阪市の職員ら=4月7日、同市中央区 

 

大阪の街は自転車が多い-。そう感じる人は多いのではないだろうか。大阪市内は坂が少なく、街がコンパクトなため、自転車で移動するのに適している。そのためか放置自転車が日本で最も多いとされ、大阪市が撤去などにかける費用は年間3億3千万円超になる。市は令和5年から市内の繁華街で放置自転車を即時撤去する対策を開始。一定の効果は見られたものの、抜本的な解決には至っていない。4月13日に開幕した大阪・関西万博で来阪者が増えることを見込み、市は放置自転車の夜間撤去を毎日実施することに踏み切った。いたちごっこに終止符は打たれるだろうか。 

 

■防犯用チェーンも切断して撤去 

 

ネオンきらめく大阪の繁華街・道頓堀。日本人のみならず、訪日客も多く行き交い、周辺の歩道はかなり混雑している。 

 

4月7日午後7時ごろ、道頓堀を象徴するグリコ看板近くの「道頓堀橋」の上には、100台近くの自転車が違法に止められており、駐輪場と見まがうほどだった。 

 

この放置されている自転車を大阪市の職員らが次々と軽トラックの荷台に乗せていく。防護柵につながれていた防犯用のチェーンも切断され、あっけなく回収された。 

 

作業中、自転車を取りに来た男性もいたが、荷台に乗せられた自転車は撤去されたものとして、後日保管場所まで取りに来るよう職員に諭されていた。 

 

大阪市では5年11月から、繁華街などで放置自転車を見つけ次第、即時撤去する「リアルタイム撤去」を始めている。歩行者の通行の妨げになったり、景観を悪化させたりしているとして、長年にわたり違法駐輪に悩まされてきた地元商店街などとタッグを組んで実現した取り組みだ。 

 

大阪・ミナミの商店街や企業などでつくるワーキンググループによると、南海難波駅周辺ではリアルタイム撤去開始前は1日平均3333台の放置自転車が確認されたが、開始1カ月後には3101台に減少した。 

 

一方、作業が日中に限られ効果が限定的だったことから、夜間に毎日撤去する施策に踏み切った。夜間撤去は、ミナミだけでなく、夜の街として知られる北新地などキタエリアでも実施する。 

 

■8割は保管料を支払い返還 

 

 

ミナミなどで撤去された自転車を保管している浪速西自転車保管所(同市浪速区)では、常時約1千台の自転車が所狭しと並べられている。中には数十万円を超える高級自転車もある。 

 

自転車はここで20日間保管され、期限内に保管料(自転車3500円、ミニバイク5千円)を支払った場合は返還される。撤去した自転車のうち、約8割が返還されているという。 

 

保管所の職員は「リアルタイム撤去が始まってからは自転車の放置が『悪いこと』という意識が高まっているように感じる」と話す。 

 

持ち主に返還されなかった自転車は売却するが、利益が出るには程遠い。市は放置自転車にかかる費用として令和5年度に3億3千万円以上を計上。昨年2月までに計287万台の放置自転車を撤去した。 

 

横山英幸市長は「放置自転車は歩行者の安全に危険をきたし、事故につながるリスクもある。自転車の放置を控え、駐輪場を利用してもらいたい」と呼び掛ける。 

 

なぜ大阪市は放置自転車が多いのか。 

 

市の資料によると、市内の地形は平坦で自転車が利用しやすく、通勤や通学の交通手段として自転車を使用している割合が政令市で最も高いという。 

 

その一方で、需要に対して駐輪場が不足しているとの指摘もある。市は「中心部の駅によっては、限られた空間の中で整備に適した用地が少なく、必要な駐輪場が不足している状況」と説明。引き続き、設置可能な場所の検討を行うとしている。(石橋明日佳) 

 

 

 
 

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