( 289029 )  2025/05/07 05:18:53  
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エルサルバドルが撤退した後、大阪・関西万博では公式キャラクターであるミャクミャクと触れ合える「ミャクミャクハウス」が設置され、多くのファンが訪れている。

また、他の国々が撤退したパビリオン跡地には施設が整備され、展示やイベントが行われている。

万博協会は、変化する状況に対応しながら、未利用区画の転用整備を行っており、出展規模の縮小や国際紛争の影響も背景にある。

万博会場では、予定外の施設やイベントが設けられ、来場者から好評を博している。

(要約)

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エルサルバドルの撤退後に設けられたミャクミャクハウス。人気キャラクターの姿をスマートフォンに収めようと、連日、多くのファンらが詰めかける(4月29日、大阪市此花区で)=渡辺恭晃撮影 

 

 大阪・関西万博で、公式キャラクター・ミャクミャクと触れ合える「ミャクミャクハウス」が連日にぎわっている。この建物は、万博参加を辞退した中米の国がパビリオンを開くはずだった場所だ。出展を表明しながら撤退したのはロシアやイランなど12か国。「跡地」が空き地や空き部屋として残る懸念もあったが、全ての区画で施設が整備され、来場者を迎え入れている。(猪原章、足立壮) 

 

 万博会場の玄関口・東ゲート付近にあるミャクミャクハウスは、先着60人が30分で入れ替わる仕組みで、入場を待つファンの行列ができている。 

 

 ハウス内で、来場者はぬいぐるみなどの展示物を見たり、「会いに来たよ」とメッセージボードに書き込んだり。ミャクミャクが扉を開けて姿を現すと、大歓声が上がった。大阪市大正区のアルバイト(45)は「ミャクミャクを気持ち悪いと言う人もいるが、目が愛くるしくて私は大好き。行列も苦に思わない。また来たい」と話した。 

 

 ミャクミャクハウスは、中米エルサルバドルが昨年12月の土壇場になって撤退した事態を受け、日本国際博覧会協会(万博協会)がひねり出したアイデアだった。協会は、開幕前から人気を集めるミャクミャクに「必ず会える場所」を会場内に作ろうと模索していた。協会幹部は「いろいろあっての苦肉の策」と言うが、今では人気施設の一つになっている。 

 

ロシア館の建設予定地に建てられた「フェスティバル・ステーション」では、ハンガリーの人気バンドがこけら落とし公演を飾った(4月14日、大阪市此花区で)=吉野拓也 

 

 フランス館横のイベントホール「フェスティバル・ステーション」も跡地活用策の一つ。ロシア館の建設予定地に建てられた。 

 

 開幕翌日の4月14日にあったこけら落とし公演は、東欧ハンガリーで「相当な人気」(地元記者)の5人組バンド「バゴッシ・ブラザーズ・カンパニー」が飾り、暗がりの会場で約200人の聴衆がアップテンポな曲にあわせて体を揺らした。 

 

 ここがイベント施設として整備されたのは、「シャインハット」など六つの既存施設が催事などの予約で開幕前から飽和状態になっていたためという。「第7の施設」となったこのホールも日程が目白押しで、万博ならではの国際色あふれたイベントが続く。 

 

 

 「万博の華」と呼ばれる海外パビリオンの建設は曲折をたどった。ロシア以外にも、自前のパビリオン建設を予定していたアルゼンチンなど3か国が途中で撤退した。エルサルバドルなど協会が用意した建物に入る予定だった8か国も参加を見送った。万博協会は、めまぐるしく変遷する未利用区画への対処を迫られた。 

 

 アルゼンチン館になるはずだった敷地には団体客の休憩所ができた。「修学旅行で休む場所がほしい」という学校のニーズに応えた。イラン向けに建設されたパビリオンには、能登半島地震の被害を免れた輪島塗の大型地球儀が展示された。 

 

 万博協会は、空き区画の転用整備費を約57億円と見積もる。予定外の支出に備えた予備費から充てられ、会場建設費(2350億円)の枠内に収まるという。協会幹部は「空き地が思いのほか、来場者に喜んでもらえる施設になって良かった」と胸をなで下ろしている。 

 

 万博からの撤退や出展規模の縮小が相次いだ背景には、国際紛争や各国事情などが絡んでいる。 

 

 ロシアの撤退は、ウクライナ侵略で対露制裁を発動した日本や欧米諸国への反発との見方がある。経済難のアルゼンチンは政権交代で、巨費を投じる万博参加が白紙になった。イスラム主義組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエルは国防に、スロベニアは国内で起きた洪水対応にそれぞれ予算を振り向けるとして、自前建設から共同館でのブース展示に切り替えた。 

 

 

 
 

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