( 289639 )  2025/05/09 06:08:11  
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日本社会では少子高齢化が進み、DINKs(子どものいない共働き夫婦)も増えています。

家計調査によると、勤労者世帯の平均収入は57万円で、支出は29万円。

しかし、給与所得者の平均収入は男性569万円、女性316万円。

給与階級別では「300万円超400万円以下」が最多であり、平均収入よりも低い収入層が多い現実が浮かび上がっています。

政府は生活向上のための取り組みを進めていますが、経済的負担の軽減や働く意欲に応じた制度設計が今後の課題とされています。

(要約)

( 289641 )  2025/05/09 06:08:11  
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(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

「日本人の生活のリアル」について、総務省『家計調査(二人以上の世帯)2025年(令和7年)2月分』、国税庁『民間給与実態統計調査』(令和5年分)などをもとにみていきます。 

 

少子高齢化が長らく問題視されている日本社会。出生数は右肩下がりに減少し、平成28年以降は100万人を下回って推移しています。厚労省の発表によると、2023年の出生数(確定数)は過去最少の72万7,288人。しかし2024年の出生数はそれをさらに下回る見通しとなっています。 

 

DINKs(Double Income No Kids…共働きで意図的に子どもを作らない夫婦のこと)という言葉も広く知られるようになった今、「夫婦2人で生きる」は当然の選択肢として存在しています。一方で、意図とは関係なく「お金がなくて子どもは考えられない…」と嘆く声も少なくありません。 

 

総務省『家計調査(二人以上の世帯)2025年(令和7年)2月分』によると、勤労者世帯の実収入は1世帯あたり平均「57万1,993円」。一方、消費支出の平均は「29万511円」です。 

 

勤労者世帯の収入について詳しく見ていきましょう。「57万1,993円」のうち、世帯主の収入が「38万5,077円」、配偶者の収入が「8万5,882円」となっています(そのほか定期収入や他の世帯員収入についての項もありますが、ここでは割愛します)。 

 

消費支出の内訳を見てみると、食費が「8万4,388円」ともっとも大きなウエイトを占めており、交通・通信費が「4万3,296円」、光熱・水道が「3万1,877円」、教養娯楽が「2万8,254円」と続きます。仕送り金や交際費といった「その他の消費支出」は「4万3,559円」です。 

 

57万円の収入に、29万円の支出。この数字だけで言えば、月28万円程度は自由に使えるお金があるわけですが、現実はそう簡単ではありません。 

 

『民間給与実態統計調査』(国税庁・令和5年)を見ると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均額は460万円(男性569万円、女性316万円)です。1人当たりの平均給与を年齢階層別にみると、男性では60歳未満までは年齢が高くなるにしたがい平均給与も高くなり、55〜59歳の階層が最も高い給与を受け取る傾向にあります。 

 

しかしこれはあくまで平均値。年収の分布を見ていくと、残酷な様相が明らかになります。 

 

 

1年を通じて勤務した給与所得者5,270万人について、給与階級別分布をみると、最多となったのは「300万円超400万円以下」の方々(826万人/構成比16.3%)。次いで「400万円超500万円以下」(782万人/同15.4%)となっています。 

 

男女別に見ていきましょう。男性では、年間給与額「400万円超500万円以下」が最も多く(504万人/同17.5%)、「300万円超400万円以下」と続きます(430万人/同14.9%)。女性では、「100万円超200万円以下」が最も多く(449万人/同20.5%)、「200万円超300万円以下」と続きます(430万人/同19.6%)。 

 

収入格差が深刻化する日本社会で、給与階級で最も多いのは「300万円超400万円以下」という現実。300万円となると、単純計算で月25万円の収入。先程の家計調査の世帯主収入が「38万5,077円」でしたから、平均値とはまた違った現実を窺い知ることができます。 

 

生産年齢人口が減少し、社会保障費の負担がじわじわと増加するなか、物価高も家計を直撃する昨今。政府は「103万円の壁」の見直しにも着手していますが、生活の向上には期待できるでしょうか。まずは「普通の生活」を誰もが送れるような環境づくりが求められています。経済的な負担軽減や、働く意欲に応じた適切な制度設計が、今後の課題と言えるでしょう。​ 

 

THE GOLD ONLINE編集部 

 

 

 
 

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