( 291074 )  2025/05/15 04:21:53  
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茨城県那珂市で進む総事業費30億円の『道の駅』新設計画に対して、一部市民から反対の声が上がっている。

予定では2028年に開業予定で、採算性についての疑念や市内の特産品が十分に供給できるかという懸念がある。

市民説明会においても不十分な説明や資料の提示があったと指摘されており、同様の事例として建設中止に至ったケースも示されている。

成功のポイントとして、経営に長けた人を配置し、地元の特産品を活用した看板メニューを作成し、広域連携を図ることが挙げられている。

(要約)

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『道の駅』新設計画で物議 

 

 いま、茨城県那珂(なか)市で進む、総事業費30億円の『道の駅』新設計画について、一部市民から反対の声が上がっています。地域活性化が期待できるはずの道の駅建設に、なぜ反対しているのか? 一般社団法人「道の駅経営パートナーズ」金山宏樹氏の解説です。 

 

茨城県那珂市に『道の駅』建設予定 

 

 人口約5万3000人の自然豊かな田園風景が広がる茨城県那珂市。市は、那珂インターチェンジに近い約4.3ヘクタール、東京ドーム約1個分の面積に『道の駅』の建設を計画しています。経営は市と民間業者が合同で行う、いわゆる第三セクターです。 

 

 農産物直売所や物産展、フードコートなどを展開し、2028年の開業を予定していて、その総事業費は約30億円。そのうち、国からの補助などを除いた9億6000万円が市の負担分だといいます。 

 

「すぐ賛成とは言えない」 

 

(那珂市民) 

「こんな金額を、那珂市のほうで使っていいのか、もっと違うところに予算を回せるものがあるんじゃないか。今のところは、すぐ賛成とは言えない」 

 

(那珂市民) 

「近隣の道の駅、常陸太田市や常陸大宮もありますし、いまさら作ったところで、どうやったら95万人、年間で来る試算なのかというところも不透明ですね」 

 

那珂市に隣接する市の『道の駅』は好調 

 

 那珂市に隣接する常陸大宮市の道の駅は、年間約110万人が利用し、この5年の平均利益は、約998万円だといいます。 

 

那珂市の試算 

 

 一方、隣接する道路の交通量から那珂市が試算した年間の利用者は、約95万人で、利益は7000万円を見込んでいるとのことです。 

 

「採算は取れないのでは」 

 

(那珂市民) 

「(近くの)那珂インターから出入りする車、そんなにないと思います。だから、お客さんは本当に限られた人しかいないと思います。採算は取れないんじゃないかな」 

 

「野菜が安ければ…」 

 

 市の計画に不満を口にする市民がいる一方で、こんな声も…。 

 

(那珂市民) 

「賛成ですね。道の駅大好きなので、野菜が安ければ、それに越したことはないんですけどね」 

 

(那珂市民) 

「農業振興・商業振興など、振興をするという意味においては、これは賛成しなきゃならない。作るためにどうするべきというのが、俺は大事だと思う」 

 

 

那珂市の特産品 

 

 そして、市の資料には、地元産へのこだわりの文字が書かれています。那珂市はカボチャやパパイヤなどを特産品としてPRしています。 

 

地産品じゃないものが並ぶ? 

 

 しかし、市内でカボチャを生産する農家の方に話を聞くと… 

 

(カボチャ農家) 

「昔に比べると、生産者がだいぶ高齢でやめていかれたんで、生産量が落ちています。道の駅ができる前から足りないんです。絶対量が足りない部分は市場から仕入れて、それを売ろうという話なんで、それはちょっと、どうなんだろうなという感じはしますね。地産品ではないものが、かなりの割合で並ぶ」 

 

 農家の方も「販路が拡大するのでありがたい」と話す一方で、「高齢化が進んでいて、道の駅が出来ても、供給できるだけの商品を作れる力がないので大丈夫だろうか?干し芋やカボチャでは到底戦えないので、建物を作る前に、まずブランド品を作るべきだ」という声が上がっているといいます。 

 

説明会開催も説明不十分? 

 

 那珂市が市民に向けた説明会を開催したのは2025年1月。その資料に、第三セクターでタッグを組む民間企業や、戦略についての記載はなかったといいます。 

 

那珂市・先崎光市長 

 

 2025年3月、市議会で市民への説明が不足しているのではないかと質問を受けた市長は― 

 

(那珂市・先崎光市長) 

「市民説明会及びパブリックコメント(意見)においては、市民の方々から様々なご意見やご提案を頂いた。今後も事業内容につきまして、市ホームページや、市報等を活用して、丁寧に皆様に周知を図っていきたい」 

 

 こう話すに留め、再び説明会を開催するかについては、言及しませんでした。 

 

一般社団法人 道の駅経営パートナーズ・金山宏樹氏 

 

 道の駅の経営について、これまで数々の道の駅を再生させてきた専門家は―。 

 

(一般社団法人 道の駅経営パートナーズ・金山宏樹氏) 

「今(全国で)1230か所、登録があるんですけど、3割が赤字と言われていまして、副市長が第三セクターの社長をやることが多いんですけど、普通に経営していても、利益が出にくい道の駅の経営判断をしていくっていうのは、そもそも経験がないと無理」 

 

 また、那珂市の説明会の資料について金山氏は「資料はかなり作り込まれたもの。市民の理解を得るためには説明していくしかない」と話しています。 

 

 

建設中止のケースも… 

 

 そして道の駅が建設中止になったケースもあるといいます。 

 

 福岡県大川市では、大川市の財政が厳しいとして、道の駅の建設計画に反対していた候補が市長選に当選し、建設が中止になったとのことです。そして愛知県東郷町では、新町長に代わった際に道の駅の見直しが行われ、住民から「別のことに使ってほしい」との意見が多数あり、建設は中止となりました。 

 

成功させるためのポイント 

 

 では、成功させるためにはどうしたらいいのでしょうか?これまで数々の道の駅を立て直してきたという金山氏によると、 

 

ポイント①は“人”:『民間から経営に長けた人を社長に招くべし』 

 

ポイント②は“物”:『地元の特産物を使った看板メニューを作るべし。また那珂市をメインに広域連携し、充実した品ぞろえにすべし』  

 

とのことです。 

 

(「情報ライブミヤネ屋」2025年4月25日放送) 

 

 

 
 

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