( 291099 )  2025/05/15 04:50:30  
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竹内英明元県議の妻が、兵庫県知事問題に関連して夫が誹謗中傷を受けて精神的に追い詰められた過程を語った。

SNSを通じた中傷について「匿名の攻撃は恐怖だった」と語り、竹内氏がこれに静観していたことや家族生活に影響を受けていたことを示唆。

最終的に竹内氏は自室で亡くなり、妻は中傷の先には人がいることを訴えた。

(要約)

( 291101 )  2025/05/15 04:50:30  
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竹内英明元県議の妻。兵庫県知事問題をめぐって夫が誹謗中傷を受け、亡くなったことについて思いを語った=兵庫県姫路市 

 

斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題を調べた県議会調査特別委員会(百条委員会)の元委員で、今年1月に亡くなった竹内英明元県議=当時(50)=の妻(49)が取材に応じ、交流サイト(SNS)を中心とした誹謗(ひぼう)中傷により竹内氏が精神的に追い詰められていった過程を明かした。「匿名の顔の見えない攻撃は恐怖でしかなかった」と振り返った。 

 

《黒幕(主犯格)は竹内》。県知事選が行われていた昨年11月、政治団体「NHKから国民を守る党」の党首、立花孝志氏がそう書かれたメモをSNSにアップした。 

 

斎藤氏を応援するために立候補するという異例の「2馬力」選挙を展開していた立花氏は、斎藤氏を巡る疑惑について「事実の捏造(ねつぞう)」などと主張。斎藤氏擁護の立場から作成されたこのメモは、岸口実県議=兵庫維新の会を除名処分=から提供されたものだった。 

 

以降、SNSでは「竹内氏=黒幕」のイメージが定着。文書問題への対応で失職に追い込まれた斎藤氏が一転、支持を広げる中で、竹内氏は不特定多数からの中傷にさらされるようになった。 

 

妻によれば、竹内氏はそんなネット上の言説に反論することも検討していた。だが、静観した。選挙期間中に自ら発信することでどんな影響が出るか、それが読めなかった。「反響が怖く、口をつぐまざるを得なかった」と妻は語る。 

 

竹内氏はふさぎ込んだ。姫路市議をはじめ、県議は5期目を数えていた。「言論で物事を解決していく。そういう立場で仕事をしてきた」(妻)。強いられた沈黙は竹内氏の心に深い影を落とす。 

 

立花氏は選挙期間中、百条委の委員長だった奥谷謙一県議の事務所兼自宅前で街頭演説し、「奥谷出てこい」と声を張り上げる動画をユーチューブで配信した。その際、「竹内のとこにも行きますよ」と発言したため、竹内氏は事務所を閉めたが、匿名の誹謗中傷が電話やメール、郵便で途切れなく押し寄せた。脅迫めいた内容のものも少なくなかった。 

 

議員活動を続けるなら行政の監視、追及をこれまでのようにやり抜かなければならない。だが、そこに誹謗中傷が付きまとうと考えたとき、それに耐える力は残っていなかった。何より竹内氏は妻と2人の子供の生活を案じ、「家族を巻き込んでしまった」と気に病んでいたという。斎藤氏が知事選で再選された翌日の昨年11月18日、竹内氏は議員を辞職した。 

 

 

同12月25日、百条委で斎藤氏に対する最後の証人尋問が行われた。文書問題とは意識的に距離を置いていた竹内氏も「さすがに見なあかん」。そう言って、妻と百条委の中継を見守った。 

 

証人尋問では、委員の増山誠県議=兵庫維新から離党勧告処分=が竹内氏の名前を挙げ、「デマに基づく尋問をした」と批判した。この発言は後に事実誤認であったことが明らかになるが、自身の名前が出たことに竹内氏はショックを隠せず、「いつまでも追われる」とこぼした。 

 

家族との会話も減り、別人のようになった。今年1月18日、自室で亡くなっているのが見つかった。「これまで議員として信じてきたものが全て崩れていくような、そんな感覚に陥っていたのだと思う」 

 

《事実でなければ否定すればいい》《何も言わないのはそれが本当のことだから》 

 

ネットはそんな意見であふれている。妻は「そうじゃない」と反論し、中傷の先に人間がいることを「想像してほしい」と訴えた。 

 

 

 
 

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