( 291581 ) 2025/05/17 03:49:52 0 00 マイナ保険証 移行から半年
2024年の12月に、従来の健康保険証の新規発行が停止されてから初めて『マイナ保険証』に関する調査結果が発表されました。多く指摘されたのが、『マイナ保険証』の有効期限切れによるトラブルでした。
2024年12月、従来の保険証の新規発行が終了し、『マイナ保険証』への本格移行が始まりました。ただ、移行後も、従来の保険証は有効期限まで使用可能です。有効期限が書かれていない場合、最長2025年12月1日まで使用できます。引っ越しや転職をすると、失効します。
『マイナ保険証』有り 受診に必要なもの
医療機関の受診に必要なものです。マイナ保険証を持っている人は、『マイナ保険証』です。マイナ保険証の利用率は、2024年12月は25.42%でしたが、2025年3月は27.26%と、あまり変わっていません。
『資格情報のお知らせ』というものがあります。マイナ保険証がシステムエラーなどで利用できない場合に提示することで、スムーズに保険診療を受診できるというものです。持っていると便利ですが、これだけでは受診ができません。
マイナ保険証の現状
ちなみに、マイナンバーカードは、全人口の78.3%が持っていて、持っている人の84.9%が、マイナ保険証を登録していますが、利用率は27.26%にとどまっています。
『マイナ保険証』無し 受診に必要なもの
マイナ保険証を持っていない人は、『資格確認書』が必要です。これは、従来の保険証の有効期限が切れる前に交付されます。
有効期限切れが急増
こうした中で、マイナ保険証の有効期限切れが急増しています。 74歳の男性「最近、有効期限について知った。何かあった時に困るので、通知が来たら手続きに行く」
60代の男性「有効期限がいつまでか確認していない。いつ使えなくなるか不安」
マイナンバーカードには、2つの有効期限があります。ひとつは、マイナンバーカード本体の有効期限です。 発効後、10回目の誕生日まで有効です。
もうひとつは、カードに搭載された電子証明書の有効期限で、発効後、5回目の誕生日まで有効です。こちらはカードには書かれていないので、マイナポータルで確認して、自分で記入しておくと良いそうです。期限が満了する月の3カ月後以降、保険証として利用ができなくなります。
マイナカード“2025年問題”
5月8日、全国保険医団体連合会(保団連)が、『マイナ保険証』に関する2~4月の調査結果を発表しました。 その中で、有効期限切れのトラブルが31%。 2024年8~9月に行った前回調査の14.1%から、2倍以上に増えました。
この背景には、マイナンバーカードの『2025年問題』があります。2025年は、マイナ制度が始まって10年目。カード本体を更新しなければならない人が、約1200万人に上るとされています。さらに、マイナポイント事業開始から5年で、2020年にマイナカードを取得した人は、電子証明書を更新する必要があり、こちらは約1580万人に上ります。合わせると、有効期限が切れる人が2025年度、約2800万人になり、2024年度の約3倍と急増しています。
有効期限切れケース
具体的な有効期限切れのケースです。1つ目、福島のクリニックです。患者は、有効期限切れのため受診できず、2時間かけて地元に戻り手続きし、後日来院しました。
2つ目、東京のクリニックです。有効期限切れを理解していない高齢者が多く、説明しても、次の来院時も有効期限が切れたままでした。
医療機関の本音
期限切れ以外の『マイナ保険証』に関するトラブルです。いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道先生に、マイナ保険証利用の現状を伺いました。「マイナ保険証の利用率は約3割。初診時の入力ミスがなくなったメリットはあるが、いまだに名前が●(丸)で表示されたり、認証エラーなどデメリットの方が多い」
伊藤先生のクリニックであった、最近のトラブルです。 4月から職場が変わった患者の資格情報が、前の職場のままということが多発。「国からは、医療費3割など自己負担割合で対応するよう通達が来ている。問題があれば、後から10割で支払ってもらう旨を伝えている」ということです。
『資格情報のお知らせ』わかりづらいとクレーム
さらに、伊藤先生によると、「『資格情報のお知らせ』だけを持ってくる人も多い」といいます。
保団連の調査でも、東京のクリニックでは、「『資格情報のお知らせ』だけで受診できると思っている人が多く、わかりづらいとクレーム」がある。
長野の病院でも、「『資格情報のお知らせ』を保険証だと認識している人がいる」といった声が上がっています。
『資格情報のお知らせ』とは
『資格情報のお知らせ』は、マイナ保険証を持っている人に、2024年9月以降順次交付されています。封書に入ったA4の書面に付いてきます。ここに氏名・資格取得年月日・被保険者番号などが書かれていて、ミシン目で切り取って、マイナ保険証と一緒に持っていると便利です。
保団連の山崎理事は、「言葉からして、そっくりな『資格確認書』と『資格情報のお知らせ』。非常に混乱していて、受付で、『資格情報のお知らせ』だった時に診察できない。ちゃんと周知されていないのが大きな問題」と指摘しています。
国保の場合、今後は?
また、山崎理事は、今後、「国保の場合、多くは2025年7月末に、現行保険証の期限が切れて、『資格情報のお知らせ』だけを持って来て、受診できない患者が、立て続けに発生すると予想される」と話しています。
75歳以上『資格確認書』一斉配布へ
『資格確認書』についてです。75歳以上の高齢者に対して、厚生労働省は4月3日、マイナ保険証を持っているかどうかにかかわらず、全員に『資格確認書』を配布することを決めました。 これまでは、マイナ保険証を持っていない人、または新たに75歳になったり、転居したりするなど健康保険の資格情報に変更があった人が対象でした。 配布するのは、75歳以上の後期高齢者のうち、マイナ保険証を保有している人約1300万人。マイナ保険証を保有していない人約700万人。あわせて約2000万人、全員に配布します。
厚労省の決定について
この厚労省の決定について、立憲民主党の柚木議員は、 「マイナ保険証の全体の利用率は、平均で26%と低い。前期高齢者(65歳以上75歳未満)と(75歳以上の)後期高齢者、全交付すると決めたほうが、むしろ現場の負担も減る。検討してほしい」と要望しました。
これに対し、福岡厚労大臣は、「従来の保険証を一律に発行し続けるという提案は、マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行を妨げるものだし、コストの問題もある。保険証発行事務コストの観点からも望ましくない」としました。
“自治体判断”で一斉配布も
『資格確認書』を75歳以上だけでなく、一斉配布を決めた自治体もあります。渋谷区と世田谷区です。 渋谷区の国民健康保険加入者は約5万600人。区民全体の23%です。 世田谷区の国民健康保険加入者は約16万6500人。区民全体の18%です。 渋谷区と世田谷区は、マイナ保険証の有無にかかわらず、国民健康保険証の加入者全員に『資格確認書』を一斉送付します。 送付する時期です。渋谷区は、2025年8月1日から使えるように一斉送付。世田谷区は、2025年10月1日から使えるように一斉送付します。
移行混乱 厚労省vs自治体
保団連の担当者は、「役所窓口の混乱を防ぐためにも、『加入者全員』に送る方が効率的。マイナ保険証を持っているかどうかを仕分ける必要がなくなり、問い合わせが来ても、『前の保険証と同じように使えます』と説明するだけで済む」としています。
厚労省の担当者は、「国の方針としては、『資格確認書』は、『マイナ保険証を持っていない方に配布する』というものなので、そことの整合性がどうなのか、というところを含め、いま東京都と事実関係を確認中」としています。
“自治体判断”の意義について
こうした自治体の判断について、中央大学の宮下紘教授です。「他の自治体がどれくらい追従するかはわからないが、これは画期的なこと。一斉送付の動きが広がるきっかけになるのではないか」 「優先しなければならないのは、デジタル化なのか、国民皆保険制度の保険診療なのか、といったら、明らかに保険診療。保険診療が受けられるという前提でのデジタル化なので、全員送付しているということは、決して不合理な措置ではない」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年5月15日放送分より)
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