( 291744 )  2025/05/17 06:55:31  
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自民党の小野寺五典・政調会長は、消費税減税に関する議論やコメ価格の高騰について深く語っています。

消費税減税については、財政状況が厳しい中で財源を確保する必要があり、無責任な赤字国債で賄うべきではないと警戒しています。

また、消費税率の変更には十分な準備期間が必要であり、物価高騰時に減税を行うことが難しいと述べています。

また、コメ価格の高騰については、備蓄米の問題点や流通経路の見直しが必要であると指摘しています。

(要約)

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消費税減税について語る自民党の小野寺五典・政調会長 

 

政治ジャーナリストの青山和弘氏が政党や各界の論客をゲストに招き、日本の政治を深掘りする「青山和弘の政治の見方」。今回はゲストに自民党の小野寺五典・政調会長を迎え、「消費税減税の行方」「コメ価格高騰」などについてじっくり聞いた。 

※記事の内容は東洋経済の解説動画シリーズ「青山和弘の政治の見方」の下記の動画から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。 

 

■消費税減税を「赤字国債で賄え」は無責任 

 

 ——参議院選挙に向けて消費税減税が大きな争点として浮上しています。石破茂首相も自民党の森山裕幹事長も減税には否定的な発言をしていますが、減税はもう検討しないという見方でいいのでしょうか。 

 

 消費税の議論は党内で正式に挙がっていないのですが、野党からの意見や自民党内でも参議院を中心にそういう意見があることは承知しています。ですから、党の中で税制調査会という専門のチームがありますので、ここを中心に消費税の勉強会が始まっていきます。 

 

 ただ前提として、日本の財政が豊かで余裕があるという状況ではないので、消費税を仮に減税した場合にその穴をどうやって埋めていくかをセットで議論しないといけない。 

 

 それを赤字国債で賄えというと無責任になりますし、消費税のうち交付税措置をするものも含めて4割が地方税ということで、国だけではなく地方自治体にも影響が出ます。こういうことを広く議論しようということです。 

 

 ——議論するということは、その結果によって減税になる可能性もゼロではない?  

 

 今の時点では、石破首相が国会の中でも財源の問題が必要ということを言っていますし、森山幹事長も財源を含めてしっかり議論しなければいけないというような話をしているので、かなり議論が必要だと思います。 

 

 もう1つ、消費税の税率を変えるときには、まず法律を通し、その後周知する期間があり、レジの設定変更や値札を変えるなど、事前の準備がかなり必要になります。今までの例を見ると、早くても1年半以上かかりますので、物価高対策をすぐにしなきゃいけないというときに、実は消費税はなじまないということかと思います。 

 

 

 ——消費税率を上げるときには、実施するまで猶予を持ってというのはわかりますが、下げる場合には早くてもいいんじゃないか。周知期間はもっと短くてもいいということはないですか?  

 

 これは店の値札を変えればいいという話ではなく、今はシステムでいろいろなところにつながっていますので、そうとうの準備が必要だと説明を受けています。 

 

 会計の問題もありますし、いつから始めるかというときに、例えば来週からというと、「では今買わないほうがいいね」という買い渋りが起こる可能性があります。 

 

 こういう難しい問題は細部に宿るので、よく見ていかないといけない。ですから、今までかなり時間をかけていたということだと思いますし、今後、税のいろいろな議論、勉強会をする中で明らかになってくる話かと思います。 

 

■今の野党幹部も民主党政権では消費税増税を提案した 

 

 ——消費税は標準税率が10%で軽減税率が8%。軽減税率は食料品を購入する際の負担を軽くする目的で導入されたと思うのですが、2%しか違わないのではあまり意味がないんじゃないか?  例えばヨーロッパのように軽減税率をもっと低くするという考えもあるのではないでしょうか。 

 

 これは税と社会保障の一体改革でかなり長年議論しています。ここにきて急に消費税がクローズアップされていますが、もともと高齢社会が進む日本において、安定的な社会保障財源が必要だということで、この議論がスタートしましたし、民主党政権のときにこの一体改革と消費税の引き上げが必要だというふうになったと聞いています。 

 

 そのときは野田首相(現・立憲民主党代表)、民主党の政調会長は前原(誠司、現・日本維新の会共同代表)さん、担当大臣は古川(元久、現・国民民主党代表代行)さんで、その当時もやはり社会保障が増えるので増税が必要だということで、党首討論の中で提案されました。 

 

 野党3党が消費税減税を言っているとすれば、それぞれの党の中核にいる方々は当時の民主党で税と社会保障の一体改革が必要だということで増税を訴えていました。そのとき以上に社会保障費が増えているときに、なぜこの議論を今するのか、財源をどうするのかということは、よく国会の中で議論されたほうがいいと思います。 

 

 ——立憲民主党の野田代表が1年間だけとはいえ、軽減税率をゼロにする提案をしています。財源はいずれ示すと言っていますが、この提案は無責任だという見方を​されている?  

 

 

 そこはよくお話を伺わなきゃいけないと思っています。1つあるのは、1年でそうとうな事務作業が発生します。その1年後に切り替えるときには駆け込み需要とその後の一定の物を買わなくなる時期が続きます。そういう面では経済にどれだけプラスになるかどうかはわからない。 

 

 社会保障の財源をどういう形で確保していくか、どこに求めるかを議論すべきで、これがないかぎり、単純に消費税減税の議論に踏み込むのは危険だと思います。 

 

 ——ただ物価は上がっているし、食料品の値段もコメを中心にすごく高い。エンゲル係数も43年ぶりの高水準になっている。今までは消費税減税を訴えた政党が選挙で勝つことはなかったけれども、これまでとはかなり局面が違うんじゃないか。小野寺さん、そう感じないですか。 

 

 非常に感じています。私も毎週スーパーで物価を見ています。例えば昨年の暮れあたりに生鮮食品が天候不順によってかなり上がりました。キャベツが1玉1000円とか。私が見たスーパーではそこまでありませんでしたけど、高かったです。 

 

 ただ、その後は天候がある程度落ち着いたのと、春野菜が出てきて、生鮮食品はある程度落ち着きを見せています。ガソリンも一定の落ち着きが出ている。 

 

 あとはコメなんです。今、コメの価格を何とか下げたいと思っています。農家が出荷している価格はそんなに高くはないのに、スーパーで出ている金額を見ると高い。「どうしてこんなに高くなっているんだ」って、農家自体が憤りを持っている。 

 

 ——農家はあまり価格高騰の恩恵を受けてない?  

 

 ないです。今年は例年よりも出荷価格が多少高かったので、農家もほっとしていました。ところが、ニュースを見て、みんな驚いています。「なぜこんなに高くなっているのだろう?」と。 

 

 これをよく問われるので、私自身、政策の責任者として農林水産省を呼んで、どこで目詰まりをしているのか、なぜ高くなっているのか、そこを今しっかり確認しています。 

 

■備蓄米で国が儲けてしまっている 

 

 ——備蓄米を放出しても値段が下がらないのは、流通経路に何らかの問題があるという見方ですか?  

 

 

 私はそういう感覚を持っています。備蓄米は本来は飢饉が起きて大変なときに放出するというものです。 

 

 今回はさすがに飢饉ではありませんが、かなり消費者から見たら高い値段でコメが流通している。これはやはりお困りの方がたくさんいるので、少しでも安い値段で供給したいというのが普通ですし、もともと備蓄米自体は60キロ1万2000円〜1万3000円で買ってるんですよ。 

 

 それを同じ値段で出せば、たぶん今流通してるコメの半分以下の金額ですから、値段も落ち着くと思うんですが、入札という制度になってしまったので、2万2000円で入札されているんです。 

 

 そうすると国が儲けちゃっているわけですね。それは、おかしいだろうと。米価が高くて困っている方々に少しでも安いコメが届くようにやっている制度なのに、それがむしろ高く入札され、国が買い入れたお金よりそうとう上がっていて、これは本来の目的に合致していない。これを見直してほしいということで、今、国にかけ合っています。 

 

 ——つまり入札じゃなくて固定価格で売り出すということですか?  

 

 備蓄米は国の財産なので、任意に値段をつけて売るという形で処分していいのかという意見もあるわけです。 

 

 ただやはり今回の考え方として、高いコメを買える方はいいんだと思いますが、この値段では食費がかさむという方々にも安くて安心なコメを提供するのも政府の仕事じゃないですか。そういう意味ではもっと工夫をしてほしいとお願いしています。 

 

■見えてきた備蓄米の問題点 

 

 ——備蓄米の多くをJA全農が落札して卸売業者に出荷している。私が取材で聞いた話では、卸売業者に値段を下げるインセンティブが乏しい。過去に高く買った在庫もあるし、高値のほうが儲かると。そこで卸売業者を介さずに​小売業者に届く仕組みも考えたほうがいいんじゃないかという声もあります。 

 

 今どこで目詰まりをしているかという点については、農水省自身も言っていますが、JA全農から卸売業者に出荷されたコメが30%ちょっとしかない。ここは今回しっかり確認する必要があると思います。 

 

 ——小野寺さんの選挙区は米どころの宮城ですが、米流通の古いしきたりみたいなものを壊していくチャンスではないかとも思います。 

 

 農水省の幹部と話をする中で、今回コメの値段が上がったということでの問題点が見えてきました。 

 

 

 
 

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