( 291927 ) 2025/05/18 05:27:52 0 00 消費税減税で家計に及ぼす影響は大きい
夏の参院選は消費税が争点になる。野党が打ち出した消費税減税策で家計の負担はどのくらい減るのか。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストの試算によると、消費税率を一律5%に引き下げる国民民主党案なら平均で年14・1万円、食料品にかかる軽減税率をゼロにする立憲民主党などの案なら年6・4万円の負担軽減になる。ただ、一律5%減税は約14兆円の税収減が見込まれるため、家計や財政への影響を考慮し、最も効果的な形を探る必要がありそうだ。
永浜氏が総務省の家計調査のデータを使い、片働き夫婦と子供2人の4人世帯への影響を試算した。
それによると、消費税の負担額は平均で約29・8万円で、可処分所得に占める比率は4・7%。非課税の医療費や軽減税率が適用される食費の支出の割合が高い高齢者中心の低所得層より、現役世代中心の中間層の方が消費税の負担感が増す傾向にある。
試算では、消費税を一律5%に引き下げる国民民主案の場合、平均で年間14・1万円の負担減となった。実質国内総生産(GDP)で1・1%の押し上げ効果も期待できる。ただ、税収減は約14兆円で、国の財政への影響が大きい。
一方、立憲民主や日本維新の会は食料品に絞って、現在8%の軽減税率を一時的にゼロにする案を掲げている。
試算によると、家計負担は平均で年間6・4万円減少し、税収減は年5兆円になる。消費税減税は高所得者が恩恵を受ける点が指摘されるが、年収450万~500万円で5・5万円、同1千万~1250万円で6・4万円と、所得でそれほど差もつかなかった。
国際的には、生活に欠かせない食料品への課税率を低く抑えている国は珍しくない。イタリアやフランスは消費税に相当する税の標準税率は20%台だが、食料品は4~5%程度。英国やカナダ、豪州などはゼロだ。永浜氏は食料品の税率引き下げは「現実的な選択肢だ」との見解を示す。
同時に、永浜氏は「将来的に景気がよくなれば、日本でも標準税率の引き上げと軽減税率の免税化は検討に値する」と指摘する。標準税率を1%引き上げた場合、2・4兆円の税収増が見込めるため、現行の10%を12%に引き上げれば、軽減税率をゼロにすることでなくなる5兆円分の税収をカバーできるという。
消費税は社会保障や地方財政を支える財源であるだけに将来を見据えた検討が必要になる。(米沢文)
|
![]() |