( 292195 )  2025/05/19 06:04:22  
00

政府が備蓄米の流通改善策を打ち出しており、卸業者が小売店に販売する際の上乗せ額が通常のコメの流通よりも3倍以上になっていることが問題となっている。

高値で取引されているため、流通コストが上昇している可能性があり、新たな流通ルートを作り出す計画もある。

米生産者は需要が高まっており、生産者と消費者が直接取引するニーズも上がっている。

米価に変化があるかは不透明だが、新しい流通経路の導入が期待されている。

(要約)

( 292197 )  2025/05/19 06:04:22  
00

卸通さず小売店へ 政府が流通改善策 備蓄米“上乗せ3倍” 高止まり一因か 

 

 備蓄米の流通で、卸売業者がスーパーなどに販売する際の上乗せ額が、通常のコメの流通と比べて最大で3倍を超える金額になっていることが分かり、波紋を広げています。 

 

隅田屋商店 片山真一社長 

「業務用店なので売り切れ御免というワケにはいかない。要するに契約のコメではなく、都度足りなくなるのでコメを買い付けに行く。その値段の相場が日に日に上がっている」 

 

 こう話すのは、来年で創業120年を迎える老舗コメ店の代表です。まだ備蓄米を仕入れられていないこの店では、5キロ4500円で販売しています。 

 

 備蓄米の放出の効果がようやく出始めたとはいえ、コメの価格は依然5キロあたり4000円台と高止まりしている状態です。 

 

 備蓄米の流通経路は、JAなどの集荷業者から卸売業者を通して、小売業者に届くというものでしたが、16日に農林水産省が公表した備蓄米の流通にかかわる業者のコストや利益によりますと…。 

 

 まず集荷業者から卸売業者の段階では、上乗せ分が60キロあたり961円。これがコストや利益に充てられます。一方で、卸売業者から小売業者の段階では、60キロあたり7593円となっていて、3年前のコメの調査と比べて最大でおよそ3.4倍、上乗せしていることが分かりました。人件費や物流などのコストが上昇していることが理由とみられます。 

 

江藤拓農林水産大臣 

「国民の財産である備蓄米を放出している。通常のコメのディール(取引)とは違うということを理解していただいて、できる限り企業努力をしていただければ」 

 

 同時に政府は、新たな流通経路を発表しました。 

 

江藤農林水産大臣 

「備蓄米がよりスピーディーに消費者に届くようにする」 

 

 それは集荷業者から卸売業者を通さず、小売業者に直接販売できる新ルールの追加です。 

 

 今月末に入札が行われる10万トンのうち4万トンはスーパーへ、2万トンは町のコメ店などに行き渡る予定です。ただし、この新しい流通経路、コメのプロでも経験がないため、不安と期待が入り混じります。 

 

片山社長 

「(新しい経路は)どういうふうにしたらいいのか、まだ我々に(やり方などが)おりてきていないので。(全農など)あんな大きな組織と私どもみたいな小さなコメ店が直接、話ができるのかとても不安。その辺をクリアさえしてくれれば、大歓迎は大歓迎」 

 

 備蓄米の新たな流通経路で、より広くより早く備蓄米が出回ればコメの価格に変化はあるのでしょうか。 

 

片山社長 

「(備蓄米で)高止まりもしたが、下げ止まりもしているのが現状だと思っている。たくさん新米がとれて、お客さまの選択肢が広がった時、価格が動き出してくるのではと思う」 

「(Q.いつぐらい?)11月ぐらい」 

 

 

 一方、コメの生産者には問い合わせがひっきりなしに届いています。 

 

じゅんちゃんファーム 宮本純社長 

「生産者としては、こんなにおコメを必要としてくれる人が、まだ日本にたくさんいたんだということを認識できた」 

 

 静岡県浜松市のコメ農家・宮本純さん。JAを通さず直接、業者や消費者にコメを販売しています。 

 

 “令和の米騒動”が巻き起こってから、販売価格は2倍以上に膨れ上がっていますが、「コメを直接買いたい」という連絡が殺到しています。 

 

宮本社長 

「一般の事業者がJAやコメ卸業者から仕入れるのではなくて、生産者と直に契約できないかという話が非常に殺到しているような状況。生産者から直で納めてもらった方が安定供給にもつながるし、価格も若干の割安感を確保できるということで、双方にメリットがある」 

 

 去年は猛暑の影響で全国的に不作となり、宮本さんの田んぼでも収穫量が落ち込みました。イネは一般的に高温に弱く、日中の気温が35℃を超えると品質が低下するとされています。 

 

宮本社長 

「全国的に収穫量が上がっていない傾向も強いので、何とか暑さに強い品種の作付けを多めに。それこそ『にこまる』みたいな」 

 

 宮本さんが注目したのは「にこまる」という品種。暑さに強く収穫量が安定しているのが特徴です。 

 

宮本社長 

「行列ができるような感じで毎日のように問い合わせや商談の依頼がある。そうなってくると確実に安定して収穫できる品種は、やっぱり生産者として選定していかざるを得ない」 

 

 気になる味も一級品です。静岡県西部で作られた「にこまる」は、毎年発表される「コメの食味ランキング」で、最高ランクの「特A」評価を6年連続で獲得しています。 

 

 浜松市内のスーパーでは、「にこまる」が5キロ3880円と比較的安く、開店直後から飛ぶように売れていきます。地元では「にこまる」を活用する動きも広がっています。 

 

 静岡県磐田市に12日にオープンした「おむすびトレーラーすぎざき」。地元の運送会社がトレーラーの台車を改修した店で、できたてのおにぎりが1個220円から販売されています。使っているコメは、県内産の「にこまる」。昼時になると、地元客がひっきりなしに訪れます。 

 

地元客 

「きのう来ておいしかったので、きょうも来ちゃいました」 

「やっぱり『にこまる』と聞いておいしいなと思いました」 

 

 もちもちとした食感で冷めてもおいしく、供給も安定している「にこまる」は、おにぎり店にぴったり。コメ不足の救世主として期待が寄せられます。 

 

杉崎運輸 田中好美さん 

「おコメを確保するということが一番の課題でもあったんです。安定した供給が望めるということと、もちろん食べておいしい。たくさんの方においしいおむすびを食べてもらえたらいいなという思いで選びました」 

 

(「グッド!モーニング」2025年5月18日放送分より) 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

IMAGE