( 292375 )  2025/05/20 05:40:17  
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19日、参議院予算委員会で日本維新の会の柳ヶ瀬裕文議員が、石破総理にJA全中山野徹会長の「米の価格は高くない」という発言について質問した。

柳ヶ瀬議員は、備蓄米の問題や価格維持の疑念を指摘し、石破総理は価格弾力性などに言及して応じた。

柳ヶ瀬議員は政府やJAによる米価の問題点を追及し、石破総理は米の消費促進や農家の所得保障を重視しながら、米価に対処していく方針を示したが、議論は続いた。

(要約)

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柳ヶ瀬議員 

 

 19日、参議院予算委員会において、日本維新の会の柳ヶ瀬裕文議員が「米の価格」について石破総理を追及した。 

 

 まず、柳ヶ瀬議員は石破総理にJA全中山野徹会長による「(米の価格は)決して高いとは思っていない」という発言に対する受け止めを聞いた。 

 

 石破総理は「『米は決して高くない』と言うのは、全てのJAの生産者の方々を俯瞰した場合、お立場上、そのような発言が出るということは、ある意味で無理からぬところだと思っている。そのことの当否については、立場とは別に農政論として議論していかねばならない」と答えた。 

 

 柳ヶ瀬議員は「これは国民生活からはかけ離れた発言であると私は思う」とした上で「『高く維持したい』のが本音ではないか?」として以下のように質問した。 

 

「私は政府が無策だから米の価格が下がらないと思っていた。でも、これは違う。明らかに米の価格を維持したい、高止まりさせたい、そういう意図が働いているのではないか。米の需給を管理して、価格維持を最大の目的としてきたのが農水省とJAだ。だから、農水省は『米は不足していない』という虚偽を喧伝して備蓄米の放出を拒み、放出したと思ったら、消費者に近い卸売業者やスーパーではなく、なぜか消費者から遠いJAに売り渡していった。そして、JAはトップの発言にあるように、米を高いと思っていない。つまり現状に問題を感じていない。つまり価格を維持したいと考えている。ここが目詰まりしているのではないか? だから、JAに渡した放出備蓄米が消費者の手元に届かない。これが米の価格が下がらない要因だと考えるが、いかがか?」 

 

 これに対し石破総理は「どこでどのような目詰まりが起こっているのかを検証した人はまだいない。それを考えた時に、米の商品特性をどう考えるかだ。価格弾力性が小さいので、多少の供給の変動によってものすごく価格が振れる」と答えた。 

 

 柳ヶ瀬議員は「検証されていないというが、政府がJAに渡した備蓄米は消費者に渡っていない。目詰まりを起こしていることは明らかで問題だ。だから、消費者の手元には米不足が続いて、価格は下がらないのではないか。問題が表面化したので、農水省は慌てて配分を見直したということだ。ただ、この構造が温存される限り、価格高騰は止まらないと思う。JAはすでに来年の高値を見越して農家に対して過去最高水準の仮渡金を提示している。JAが高値で米を買い取れば、その分が流通段階で上乗せされ、小売価格に跳ね返るのは当然のことだ。米価格は今年よりも来年の方がさらに上がる可能性もあるのではないか? さらに、この備蓄米の放出の方式、これも入札方式だということで、政府は備蓄米を令和5年産米は1万1000円から2000円で仕入れている。でも、入札で2万円近くで売っている。少しでもお米を安く届けるために備蓄米の放出をしているのに、入札で高く売ってどうするのか? 安くなるわけない。おかしくないか?」と訴えた。 

 

 石破総理は「今農水省の方でもいろいろと見直しを行っており、入札要件を緩和する、あるいは1年以内に買い戻すものを5年以内に延ばすというふうに緩和を行っている。その実効性が上がるかどうかはきちんと見てまいりたい。消費者の立場でいろいろな発言をなさるが、生産者の側から見た時にどうなのかも合わせて考えないと農政にはならない。生産者が努力をしてコストを下げた場合に、当然米価は下がる。その時に、生産者の暮らしをどのように守っていくかは、結局のところ、どなたの再生産を可能とするかという問題に行きつく。税金を使うからには、当然のことだ。農家の方々の所得を守る、しかし、消費者の方々にリーズナブルな価格で米を食べていただく。両立するための政策を、私どもとして(柳ヶ瀬)委員のご指摘も踏まえながら確立してまいりたい」と述べた。 

 

 柳ヶ瀬議員はこの回答に納得がいかず、さらに「石破さんの答弁を聞いていると『決して下がらなくていい』とおっしゃっているように思う。もちろん、生産者の皆さんの生活をしっかり支えていくことは必要だ。ただ、今政策目的としてやっているのは、米の価格を下げようという中で備蓄米を放出している。でも、その方式が入札方式だから高止まりしていると。これはおかしいということを先週の日曜日に小野寺政調会長がテレビで言っていた。小野寺政調会長は『こんなやり方おかしい。国が儲けてどうするんだ。備蓄米制度全体で入札をかけるのはおかしい。それなりの相場観で市場に出すことは制度上できないことはない』と言っている。なのに、なぜこれをやらなのか? なぜ高止まりする方式でやったのか?」と、追及した。 

 

 石破総理は「米の値段は下げていかなければならない。あっという間に2倍になったということで、これは畢竟(ひっきょう)、いわゆる“米離れ”が起こる。そうすると、米は下げなければならないし、我が党としても、政府としても、あるいは多くの方々のご意見も伺いながら、リーズナブルな価格まで下げなければどうにもならない。と同時に、いかにして生産者の方々の暮らしを守っていくのか。『価格は市場で、所得は政策で』。お題目は簡単だが、それをどのように具体化していくかの答えをこの機会にきちんと出さなければならない」と答えた。 

 

 柳ヶ瀬議員は「下げなくちゃいけないと言っているが、やっている政策は“アベコベ”だ。入札方式にしてもそうだし、買い戻す金額が高い。JAは『高くていい』と言っている。自民党の執行部は林官房長官、森山幹事長、小野寺政調会長といわゆる“農林族”で固められている。JA関連団体からの献金・パーティー券収入はいわゆる自民党の農林族幹部と言われる6人で3年間に1.4億円という指摘もある。農政を動かすにあたって中立公正な状況と言えるのか、これで価格是正、そして構造改革ができるのか?『農業は国民のためにある』ということで、一部の団体のためにあるものではない。当然のことだ。米に関して言えば、減反をやめたと言いながら実質的な生産調整を続けてきた。そして、農水省とJAが価格統制をしてきたということがこの結果を招いてきたのではないか? この根本構造を変えるということが必要だと思うが、見解を伺いたい」と質問した。 

 

 石破総理は「その議論、私は副大臣当時からずっとしてきた。それが問題の本質だと私は思っている。米の消費を増やしていくためには、価格弾力性を逆手に取るようなことをしてはいけない。安い価格でも消費者の方々に食べていただくことは実現していかねばならない。そうすれば当然米価は下がる。その場合の所得を農家さんに対してどのように保障していくかということがこの問題の本質だと私は思っている。『供給不足はない』ことを前提として議論することは、やっぱり疑ってみるべきではないか。やはり、これだけ生産調整をずっと続けてきた。そうするとどこかで閾値を超えたのかもしれない。これ以上生産を減らすことが起こると、価格弾力性が低いことが効いて、価格の高騰を招くということが今起こりつつあるのではないか」と答えた。 

 

 柳ヶ瀬議員は「石破総理は多分国会議員の中で一番農政に詳しいと思うし、この改革に対しての情熱もお持ちだと思う。ただ、もう一つ言うとJAに忖度しすぎ。それはお金もらってるからしょうがない。お金もらってるし、票をもらってるということから、これは忖度しなければいけない状況の中で、目詰まりが実際に起こっている。だから、この制度をしっかり変えていただきたい」と述べた。 

 

 これに対し石破総理は「JAに忖度しておるということはない。ただ、『1人は万人のために、万人は1人のために』という共同の理念はある。それは、私はJAの大会の度に強調している」と述べた。 

(ABEMA NEWS) 

 

ABEMA TIMES編集部 

 

 

 
 

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