( 292715 )  2025/05/21 05:43:44  
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コメの価格がなかなか下がらない理由は、備蓄米の入札制度が影響しています。

政府が備蓄米を購入する際に高い価格で購入したため、入札で売る際も高値で売られているためです。

備蓄米は災害時の食糧として確保するためのものであり、その売買は法律に基づいて行われます。

現在のシステムでは価格が上がりやすいため、コメの価格の下落が難しい状況です。

一方、専門家は入札価格の微修正や公共施設への優先供給などで価格を下げる可能性もあると指摘しています。

(要約)

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備蓄米の放出など対策を進めてはいるものの、コメの値段はほぼ変わりません。値下がりを阻むものは何なのでしょうか。 

 

■江藤大臣「コメは売るほどある」 理由は宮崎弁? 

 

井上貴博キャスター: 

20日、江藤拓 農水大臣は自身の「コメを買ったことがない」との発言について次のように述べました。 

 

江藤 農林水産大臣(20日) 

「テレビのニュースはずっと見てましたし、YouTubeとかSNSを朝明るくなるまでずっと見ました。国民の皆様がいかに憤慨されてるのか、自分にとってはきついものでありました」 

 

「(発言の理由は)宮崎ではたくさんいただくと『売るほどある』ってよく言うんですよ。ですから宮崎弁的な言い方でもあった」 

 

■コメの値下がりを阻む入札制度 

 

政府は令和5年度、集荷業者からコメを60kgあたり1万2829円で買い入れました。現在、そのコメを集荷業者に60kgあたり2万2477円で入札してもらう形となっています。結果、約1万円の価格差が生じているのです。 

 

この価格差について14日、自民党の小野寺政調会長は「国が儲けてどうするんだ」と指摘しました。 

 

コメの流通に詳しい流通経済研究所の折笠俊輔 主席研究員は「備蓄米は買い入れ時の価格ではなく、値上がりした現在の市場価格を基準に入札している」といい、このシステムである限り、値段が上がるのは仕方がないというのです。 

 

政府が買い入れ、集荷業者が入札というシステムはある意味オークションなので、価格がどんどん上がっていくのは確かに当然ですよね。コメの価格を下げたいのに、どうなのでしょう…。 

 

高柳光希キャスター: 

そもそも備蓄米というのは、災害など有事の際にしっかり出せるようにするためのコメですよね。 

 

井上キャスター: 

まさにそうですね。「平成の米騒動」をきっかけに始まった備蓄米制度は、気象状況による供給不足や地震などの緊急時のため備えておこうというものなので、入札制度である程度、価格が変動するのは仕方がないというものです。 

 

そのため、今回の「市場価格を下げる」「供給量を増やす」といった想定外の使い方では、コメの価格は下がりません。 

 

 

18日、江藤農水大臣は「国有財産を売るときには競争入札が大原則。検討はしましたが、やはり入札せざるをえない」と話しました。 

 

つまり、「国有財産である備蓄米を売るときは入札制度にという法律があるため、法律を変えようと検討はしたものの、やはり入札するしかないという結論に至りました」ということです。 

 

TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長: 

法律を変えればいいのかもしれませんが、備蓄米は「国民の税金で国がためておくコメ」です。そのコメを売るときには、そのとき売れる適正な値段で売らないといけません。 

 

国民の財産を預かっている国からすると、安い値段で売ってしまったら、国に入るお金が少なくなってしまいます。それではまずいので、このような仕組みになっています。 

 

備蓄米を安い値段で売れば、市場のコメの価格は下がるかもしれません。しかし、(国民の財産なので)安くは売れない。結局、全体として価格がなかなか下がらないということになっています。 

 

■備蓄米放出でコメは安くならない? 

 

出水麻衣キャスター: 

買い入れ額と入札額で生じた差額分は、どこに保管してどのような用途に活用していく方針なのでしょうか。 

 

TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長: 

備蓄米を放出したので、また新たに備蓄米を買い入れます。その時にコメの価格が高騰していれば、高い値段で買わなければなりません。 

 

そういう意味でも、入札時にある程度、適正な値段で売るというのは一番フェアな考えではあります。 

 

本来、凶作などでコメがなくなったときに、適切な値段で売るために備蓄をしていますが、今回のように「急にコメの値段が高くなったから備蓄米をたくさん放出して安くしよう」という考えは、備蓄米の考え方からすると、ちょっと違うところがあるのかもしれません。 

 

お米が高くて、いつまでたっても値段が下がらない状況に、皆さんは「備蓄米放出したらきっと落ち着く」と思っているかもしれませんが、下がりませんよね。政府は国民の期待に応えられていません。 

 

 

タレント・俳優 青木さやかさん: 

備蓄米が放出されれば、お米の値段は下がるだろうとすごく期待しました。しかし、実はこのシステムでは(価格は下がらないことは)最初からわかっていたのでしょうか。 

 

TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長: 

皆さん、備蓄米を出せば値段が下がるという発想になりますよね。政府に、なぜ値段が下がらないのか、もう少し丁寧に説明してもらえれば私たちも「そうなのか」という気持ちになれると思います。値段が下がるだろう、という期待ばかりが続いて、なかなか下がらない状況が続いてしまっています。 

 

■入札システムの微修正で下がる可能性も 

 

タレント・俳優 青木さやかさん: 

(備蓄米放出は)安くなるシステムではないんだということはわかりました。政府は安くするために動いているのでしょうか。この先、何か良い案はありますか? 

 

井上キャスター: 

コメの流通に詳しい宇都宮大学農学部の松平尚也助教によりますと「入札価格を1万円台に下げ、学校や病院など公共施設に卸す業者を優先すべき」だといいます。 

 

今あるシステムの中で少し微修正はできるのではないかというのです。 

 

TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長: 

そうですね。最低額の入札価格を決めて入札をするわけですが、その値段がどうやって決まっているのか、そこは本当に下げられないのか、そこら辺の説明がまだちょっと見えてこないですよね。 

 

そこで少しでも下げてもらえれば、価格は下がっていく可能性はありますね。 

 

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<プロフィール> 

岩田夏弥 

TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ 

小渕総理以来、主に政治取材を担当 

 

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