( 294385 )  2025/05/27 06:18:41  
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石破茂首相やその支援者から、多くの農産物を受け取っているとの証言が出ている。

これにより、国産米の値段が2倍になる中で、我慢して外国産米を買うか、高価な国産米を買うかといった一般国民の姿と、政治家たちの特権意識の無自覚さが露呈される。

石破首相は農水大臣を更迭し、小泉進次郎氏を新たな農水相に任命し、特権意識の問題に対応する姿勢を示している。

江藤氏の発言が批判を浴びた中、地元のコメ農家からは、政治家がコメを受け取ることがありふれた行為だとの見方も示されている。

一方で、国民の中には安い米を手に入れるため、くず米などの購入に迫られている状況も存在しており、江藤氏の発言に不快感が示されている。

(要約)

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石破茂・首相も支援者から多くの農産物を受け取っているとの証言が 

 

 1年で2倍の価格になった国産米を買うか、我慢して少し安い外国産米を買うか──。財布を握り締めながら真剣に悩む国民の姿が、コメ政策のトップには想像できなかったのだろう。江藤拓・前農水相の「コメ買ったことない」発言から見えるのは、庶民感覚の欠如ではなく、特権を特権とも思わない無自覚さだ。 

 

 石破茂・首相は農水大臣・江藤拓氏を更迭し、後任に小泉進次郎氏を起用した。 

 

「コメ担当大臣だという思いで集中して取り組みたい」 

 

 進次郎氏は抱負を語ったが、この世襲政治家たちは国民の怒りをどこまでわかっているのか。 

 

「私は買ったことがありません。支援者の方々がたくさんコメをくださるので、まさに売るほどあります。私の家の食品庫には」 

 

 江藤氏は佐賀市内の講演でそう発言して批判を浴びた。国民はスーパーに行ってもコメがなく、何か所も回って「1人1袋まで」と書かれた5㎏入りをなんとか手に入れている。「安い政府放出米? そんなの見たことがない」という人がほとんどなのだ。支援者からコメをタダでもらえる政治家の特権を自慢され、怒り心頭に発するのは当然の反応だ。 

 

 江藤氏は自身の発言について“ウケ狙い”で、「事実ではないことをあたかも真実であるように言ったことは、大いに反省している」と釈明したが、宮崎の地元を取材すると江藤大臣は農家からコメをもらっていて当たり前と認識されていた。 

 

 延岡市の畜産農家でコメ生産者でもある「松田総合畜産」代表の松田慈司氏が語る。 

 

「拓さん(江藤氏)の出身地は門川町(延岡市に隣接する町)なんですけど、すごく横の繋がりが強いんです。なので農家の人が、親戚とか非農家の人たちにおコメなどを配るのが文化というか、普通のことなんですよ。拓さんがおコメをいっぱいもらっているというのも、政治的な支援とか便宜を図ってもらうためというよりは、近所だからということでもらっているんじゃないかな」 

 

 

 高千穂町でコメを作る30代の兼業農家もこんな言い方をする。 

 

「江藤さんはもらったコメに『石とかが入っている』と言っていた。普通は流通の過程で籾殻や米粒程度の小石が混ざっていても卸、小売りで取り除かれる。ただ、自家消費用に保存しているコメはそこまで念入りにやらない。そういう親しい人からもらったコメということでしょう。有権者との近さをアピールしたかったんだろうなとあの発言を聞いて思いました」 

 

 一方で延岡市のコメ農家「きなりファーム」代表の大神玄暉氏は、なんとか安いコメを手に入れようとくず米に手を出さざるを得ない国民の切実な状況から江藤発言に厳しい目を向ける。 

 

「うちではこごめ(割れたり砕けたりした米粒)や着色米(害虫被害で黒や茶色に変色したコメ)など選別落ちしたくず米を“鶏のエサ”として通販サイトなどで販売しているのですが、昨年あたりから『これ、食べられますか?』という問い合わせが増えた。『人間は食べられません』と答えていますが、もしかしたら食べている人もいるかもしれない。それだけ困っている人が多いのに江藤さんの発言には怒りを通り越して呆れています」 

 

 支援者にコメをもらうのは当然で、政治家の特権だと気付こうともしない。それは江藤氏の更迭を最後までためらった石破首相も同じだ。 

 

 政治部記者が証言する。 

 

「国会議員会館の石破事務所には支援者から送られてきたとみられる農産物がそこら中に積まれていましたよ。私が見たのは3年ほど前ですが、山芋や各種のフルーツ、コメもあったと思う。ほとんどは熱心な有権者が『頑張れ』と送ってきたものだったようですが、石破さんは農水相経験者でもあるから関係団体のお歳暮も多かったんでしょう。番記者はみんな見てますよ。今回、江藤大臣に甘かったのは、自分も同じことをしてきたからではないでしょうか」 

 

 石破首相の場合、江藤氏のように自宅の食品庫ではなく、会館の事務所に農産物がそれこそ「売るほど」積まれていたというのだ。 

 

 石破事務所に問い合わせたが、期限までに回答はなかった。 

 

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※週刊ポスト2025年6月6・13日号 

 

 

 
 

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