( 294842 ) 2025/05/29 05:27:14 0 00 (写真:読売新聞)
農林水産省が26日に受け付けを始めた政府備蓄米の随意契約に、大手スーパーやディスカウント店などが次々と名乗りを上げた。多くの小売企業は小泉農相が目指す5キロ・グラム入り2160円(税込み)で販売する予定だ。政府は6月初旬に店頭に並ぶことを期待するが、円滑に精米作業ができるかどうかが課題となる。
27日午前9時時点の申請は19社から計9万824トンだったが、午後2時時点で33社に急増し、夜には約70社、20万トンに達する見込みになった。
「すぐに支払いをしてください」。先陣を切って26日に1万トンの申請を済ませたアイリスオーヤマの大山晃弘社長は27日昼、東京オフィスで幹部社員に対し、29日の引き渡しに向けて早期支払いを指示した。大山社長は「できるだけ早く安いコメを消費者に届けたい」と話す。
ディスカウント店を展開するミスターマックス(福岡市)は、随意契約による備蓄米を5キロ・グラムで税抜き1000円台で販売することを目指している。通常の銘柄米の販売価格は4000円前後、3月に入札が始まった備蓄米は3000円台としている。
6月初めの店頭販売の開始に向け、玄米で引き渡される備蓄米を早期に精米できるかが課題となる。
1200トンの購入を申し込んだ外食大手ゼンショーHDは、6月中に傘下の中小スーパーで販売する方針だ。牛丼チェーン「すき家」や回転ずし「はま寿司」などを展開しているため、傘下のコメ卸会社の工場で全量を精米する。
一方、ホームセンター大手のカインズは精米を外部に委託する。精米の時間を省くため、玄米のまま30キロ・グラム単位での販売も検討している。敷地内にコイン精米所を備えた店舗もあるため、業者だけでなく一般の消費者の購入も見込む。1万トンを申請した楽天グループは自社運営の通販サイト「楽天市場」を通じて直販する計画で、取引のあるコメの卸売業者とも連携して精米する準備を進めている。
多くの小売店は自社で精米することはできず、随意契約に応募したスーパー幹部は「精米企業も収容能力に限界があり、『小泉米』を優先してくれるか分からない。包装にも時間がかかり、早期販売は課題が多い」と漏らす。
全国の精米工場には、これまでの一般競争入札で放出された備蓄米の精米依頼が舞い込んでおり、愛知県の企業は「すでに工場はパンク状態だ。これ以上量が増えても、精米を請け負うのは厳しい」と話す。
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