( 295166 )  2025/05/30 06:30:28  
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晴海フラッグという新しいマンション群では、中国人による違法民泊が横行している。

晴海フラッグは東京オリンピック選手村跡地に作られ、人気のエリアだが、住民たちは中国人観光客によるトラブルやマナーの悪さに不安を感じている。

マンション内には民泊禁止の注意書きが至る所に貼られ、違法民泊の問題が取りざたされている。

(要約)

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「晴海フラッグ」マンション内の至る所に「民泊禁止」の注意書きが貼られている(住民提供) 

 

 東京都の一大プロジェクトとして東京2020オリンピックの選手村(中央区)を改修して売り出されたマンション群「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」。2024年1月に入居が開始されたが、一帯にはある異変が起きていた。ジャーナリスト・赤石晋一郎氏がレポートする。【全3回の第1回。全文を読む】 

 

「捕まえられるなら、捕まえてみろ!」 

 

 警察官の職務質問を受けた男は片言の日本語でこう毒づいた。 

 

 スマートシティを目指すこの街の一角では、日常的に中国人絡みのトラブルが起きている。 

 

「晴海フラッグでは中国人の違法行為が野放しになっており、警察が来ても逆ギレして平然としている。もはや手の施しようがないように思えてしまう状態なのです」 

 

 こう証言するのは、晴海フラッグの分譲マンションに住むAさんだ。 

 

 東京湾岸の新しい人気エリアのはずだが、何が起きているのか。 

 

 晴海フラッグは2020年東京オリンピック(開催は2021年)選手村跡地に作られた新しい街である。東京都が再開発を企画し、都の土地が大手不動産などに払い下げられて再開発がスタートした。分譲マンション4145戸・賃貸1487戸(東京都数値)のマンション群を建設するという大規模再開発だが、当初はその計画が不安視されていた。 

 

「4000戸以上を本当に捌けるのかという不安の声があったのです。そのため当初は販売制限を緩めて売っていた。ところが五輪開催中に選手のSNSで『晴海の素晴らしい光景!』などの投稿が相次ぎ注目を浴びた。中央区という都心エリアで坪単価300万円程度という割安感もあり人気が過熱。どの部屋も高倍率となり、人気の部屋は266倍まで跳ね上がった。抽選は何戸も申し込める資金力のある投資家のほうが有利となり、多くのファミリー層が落選したことも話題になりました」(不動産業関係者) 

 

 晴海フラッグは3つの分譲マンションエリアと1つの賃貸マンションエリアで構成されている。3つの分譲エリアのうち、パークビレッジを三井不動産、サンビレッジを三菱地所、シービレッジを野村不動産が開発・販売している。さらに今秋には2棟のタワーマンション「HARUMI FLAG SKY DUO」が竣工予定だ(三井不動産や三菱地所などが販売)。 

 

 しかし東京都が目指した〈子育てファミリー〉向けマンションを整備し、〈生き生きと生活できるまちづくりを進める〉という構想とは裏腹の現状がある。その理由は“違法民泊”だという。 

 

 前出のAさんが語る。 

 

「マンション内で横行しており、中国人旅行客が頻繁に出入りするようになったのです。彼らは日本語を話さずマナーも悪い。治安が悪くなると住民は不安がっています」 

 

 

 筆者が晴海フラッグを訪ねた時も、スーツケースを押し歩き、中国語を話す家族連れの姿があちらこちらで見られた。 

 

〈民泊禁止 民泊行為を行っていると思われる不審人物を確認した場合、不法侵入者として警察に通報いたします〉 

 

 マンション内の至る所に、日本語、英語、中国語で書かれた「民泊禁止」の注意書きが貼られている。その殺伐とした光景は新築マンションの高級感を台無しにしていた。 

 

 違法民泊とは旅館業法や住宅宿泊事業法の届出や認定を受けずに行なわれる民泊のこと。そもそも晴海フラッグのマンションでは規約上、民泊が禁止されている。さらに晴海が位置する中央区でも「区内全域で土曜日正午から月曜日の正午までの宿泊のみに限定」(区サイトより)と民泊を制限する条例が定められている。 

 

 しかし、ヤミ民泊と思しき目撃談は絶えない。 

 

「チャイムが鳴って、モニターを見たら『ニーハオ』と言われました。民泊部屋と間違えて訪ねて来たのでしょう。他の部屋では早朝4時に扉をドンドン叩かれた、という怖すぎるケースもあったそうです」(住人B) 

 

 文化の違いによる衝突も頻繁に起きているという。住人Cの証言。 

 

「晴海フラッグには共用の足湯スペースがあるのですが、中国人観光客と見られる人たちがアカスリを始めたり、子供のオムツを洗ったりするのです。衛生管理が難しくなったためか最近足湯の湯が抜かれている時間が増えています。別のマンション棟では地下駐車場で脱糞したというケースもあったようです」 

 

 住民Dはこう続ける。 

 

「太極拳ならまだいいのですが、夕方に中国人の中年女性がエントランスで剣舞の練習をしていて驚きました。子供の帰宅時間なので、剣を振り回されると危ない。でも注意しても聞いてくれない、と諦めています。東京湾で釣った魚を生のまま持ってエントランスを歩く男性もいました」 

 

【プロフィール】 

赤石晋一郎(あかいし・しんいちろう)/ジャーナリスト。「FRIDAY」「週刊文春」記者を経て2019年よりフリーに。近著に『韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち』(小学館新書)、『完落ち 警視庁捜査一課「取調室」秘録』(文藝春秋)。『元文春記者チャンネル』をYouTubeにて配信中。Xアカウントは【@red0101a】。 

 

取材協力/西谷格(ノンフィクションライター) 

 

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 関連記事『【スクープルポ】旧五輪選手村「晴海フラッグ」がチャイナタウン化 “ヤミ民泊”横行で溢れる「禁止」の張り紙、“白タク送迎”“ヤミ中華宅配”の疑惑…困り果てる住民の嘆き』では、白タクなど中国人絡みのトラブルが続出している現状や違法民泊グループの代表X氏への直撃など、赤石氏のレポート全文を紹介している。 

 

※週刊ポスト2025年6月6・13日号 

 

 

 
 

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