( 295256 )  2025/05/30 08:00:37  
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兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑を告発した元県民局長の公用パソコンから漏洩した私的情報に関する第三者委員会の報告が公表された。

元総務部長が私的情報を漏洩し、知事の信用性を揺るがす目的があったと指摘されている。

斎藤知事は関与を否定し、追加調査は行わない方針だが、食い違いが明らかとなり、問題の決着が難しい状況となっている。

 

 

専門家は告発文書の内容と告発者を切り離すべきであり、第三者委の結論を信用するべきだと主張。

斎藤知事の責任や違法行為が指摘される中、県政の責任は誰が取るべきかが焦点とされている。

議会からの様々な対応が考えられる中、議会のアクションが地方自治の重要な要素となっている。

(要約)

( 295258 )  2025/05/30 08:00:37  
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MBSニュース 

 

兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発した元県民局長の公用パソコンに保存されていた私的な情報が漏洩した問題で、第三者委員会は「(元総務部長が)秘密を漏洩したと認められる」との結論を公表しました。 

 

調査報告書によると、元総務部長の井ノ本知明氏が、県議会議員3人に対し、元県民局長の私的な情報を漏洩したと認定されました。漏洩は去年4月頃に行われ、私的情報を印刷した資料を見せたり、口頭で伝えたりしたとされています。 

 

なぜそのような情報を漏洩したのでしょうか。第三者委員会は、その目的について「元県民局長の私的情報を暴露することにより、その人格ないし人間性に疑問を抱かせ、ひいては告発文書の信用性を弾劾する点にあった」と指摘しています。 

 

これに対し、斎藤元彦知事は「漏えいに関するような指示というものは一切してないというのが私の認識です」と自身の関与を強く否定し、報告内容と自身の認識との間の「食い違い」が浮き彫りとなっています。 

 

かといって斎藤知事は矛盾を解消するための追加調査の実施などは否定し、「懲戒処分ということで、一定の結論を出させていただいた」と述べました。食い違いを残し、決着がつかないまま県政が進むことになるのでしょうか。今後の県議会の動き方も含めて、地方自治に詳しい専門家らと考えます。 

 

◎白鳥浩:法政大学大学院 教授 政治学や現代政治分析などが専門 地方自治に詳しい 日本政治法律学会理事長 

 

法政大学大学院の白鳥浩教授はまず、「告発文書の内容」と「告発者自身」とを切り離して考えるのが重要としました。仮に告発者の私的情報の中にモラルを疑わせるような内容があったとしても、「書いた人が(仮に)変な人だからといって、告発文書の内容が初めから議論に値しないというレッテルを貼るのは誤り」と述べました。 

 

そして、第三者委員会が「知事の指示の可能性が高い」と結論づけた点について、「かなり踏み込んだ認定内容だ」と指摘しています。 

 

 

――なぜそのような判断に至ったと考えますか? 

 

「情報を漏洩した元総務部長や、元副知事など他の関係者の証言が概ね一致しているのに対し、斎藤知事だけ言っていることが違う。ということは元総務部長の証言の信憑性が高いと判断されたのではないか」(白鳥教授) 

 

教育アドバイザーの清水章弘氏は、「いまのSNS時代、人は信じたいものを信じるようになっていますから、第三者委の調査結果によって、どれくらいの結果につながるのか、分断はそのままになるのではないか」と懸念を示しました。 

 

これに対し白鳥教授は、「第三者委には、裁判官を務めた弁護士らが入っているので信憑性は高いと考えられる」としています。 

 

――今後について。斎藤知事は「組織の長としての責任踏まえて給与カットを検討」としています。片山副知事は去年7月に辞職しています。いっぽう井ノ本元総務部長は、「懲戒処分に対して、審査請求と執行停止の申し立て」の意向を示しているということです。法政大学大学院の白鳥浩教授は、食い違いをめぐる状況について以下のように指摘しています。 

 

「もう、自分がどう言ったとか、認めるとか認めないということではないんだろうと思います。これまで百条委と、3つの第三者委が立っていて、いくつかは斎藤知事の責任、あるいは違法性というものも認定している。」(法政大大学院・白鳥浩教授) 

 

こうした経緯を踏まえ、白鳥教授は「県庁内で起きている一連の問題の責任を誰が取るのかという段階に来ている。そうなると、やはり知事しか責任を取れる立場にないのではないか」と指摘しています。 

 

知事が実際に指示したかどうかの真偽は依然として不明ではあるものの、一連の問題に対する責任はどうなるのかは、焦点の一つです。 

 

――兵庫県議会としては今後「辞職勧告、不信任決議、刑事告発、それともスルー(何もしない)」など様々な可能性が考えられます。元大阪地検の亀井正貴弁護士は「地方公務員法の守秘義務違反は【指示役】も共同正犯などの可能性がある」としています。さらに、「議会以外から刑事告発される可能性ももちろんありますが、それによって捜査機関が動くかどうかはわからない」との見解です。 

 

これに対し、白鳥教授は、「議会は知事に対して、姿勢を示すことに意義がある」としています。これはどういう意味なのでしょうか。 

 

 

法政大学大学院の白鳥浩教授は、「二元代表制の中で、知事に対して議会がチェックする役割。これだけの問題が知事および県庁の中で起きている中で、それにアクションをとらないと、同じようなことがほかの県で起きても『兵庫で起きているから問題ないだろう』といった前例をつくるおそれがある」と述べ、地方自治をしっかりさせるために、兵庫県議会がどう動くかは今後の焦点になってくるだろう、とまとめました。 

 

主な各会派の考え 

・ひょうご県民連合幹部は「辞職勧告などで知事自らに身を処してもらうことを目指す」 

・維新幹部は「知事は自らの処分を考えているということなのでそれを見守る」 

・自民幹部は「議会としてもフェーズを変えていかないといけないと思う」 

・公明幹部は「今後、情報漏洩に関する捜査を求めて告発することも検討」 

 

 

 
 

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