( 295403 ) 2025/05/31 05:15:58 0 00 トランプ大統領は言う。「我々は何百万台の日本車を買っているのに日本はアメリカ車を買わない。不公平だ」と。そしてその理由はさまざまな非関税障壁があるからだと。これを聞いて「何を言っているんだ」と、強い違和感を覚えた人は筆者だけではないはずだ。アメリカ車なんて買わないよ!!という人が多い中、あえてアメリカ車によって得られる幸せを考えてみたい。
文:奥津匡倫(Team Gori)/写真:シボレー、ステランティス
アメリカ車と聞くと、恐らくほとんどの人が拒絶に近い反応をするのではないだろうか。デカくて燃費が悪くて壊れやすい。古臭そうなメカニズムに魅力を感じない等々、選ばない理由は枚挙に暇がない。
実際、2024年に日本国内で販売されたアメリカ車は、並行輸入車などを含めても2万台ほどしかなく、日本でアメリカ車が売れていないのは間違いない。余談だが、アメリカ市場で販売された日本車はその70倍ほど。数字だけ見れば、不公平なように見えてしまうのもわからないではない。
でも、そんな日本でもかつて、アメリカ車がブームだった時代もあったのだ。今から30年ほど前の話だが、RVブームから派生したアメリカ車ブームはアメリカ車専門誌が数年の間に何誌も発刊されていたほどの盛り上がりを見せ、とりわけ人気が高かった「シボレーアストロ」に至っては、単一車種で年間1万台以上が輸入されていたほど。
アストロのほかにも、セダンのカプリスやトーラスワゴンなどを街中でひんぱんに見かけたほどだった。
デカい、燃費悪い、壊れやすい。アメリカ車に付きまとうイメージだが、デカい、燃費悪いはまぁ、事実だ。燃費は昔より改善されてはいるものの、日本のイマドキのHVやコンパクトカーなどとは残念ながら比べるべくもない。
しかし、壊れやすさなど信頼性については、定期的なメンテナンスさえ怠らなければ基本的にはタフなはずなのだ。長年、旧いアメリカ車を所有する筆者の知人によれば、トラブルはメンテ不足に尽きるとのことだ。
根強い信頼性問題は、かつてのブーム時代、アメリカ車に乗っていた人たちによって強化されているのかも。
というのも、当時輸入された多くのアストロの中には、現地で使い倒されたような酷い状態のものや、いい加減な改造が施されたものなども多く、買ってから酷い目に遭った、という人もしばしばいた。そうした経験をした人なら、再びアメリカ車に乗ろうという気持ちにならないのも不思議ではない。
アメリカの大排気量エンジンはOHVが多い。今や世界中の自動車メーカーでほぼ見られなくなったエンジン(動弁系)機構であり、古臭いイメージにつながっているが、アメリカでは今でも人気。そのため、ちゃんと進化は続いていて、それこそブームの頃のものとは何もかもが大きく違っている。
回すと思った以上に気持ちがいいし、音もいい。思った以上に楽しめるエンジンなのだ。今や世界的に大きな排気量のエンジンが減っている中、大排気量ならではの豊かなトルク感や、フィーリングはアメリカ車ならではの大きな魅力だ。
アメリカ車を選ぶ理由はエンジンを楽しむため!!と言える反面、どうしようもない厄介な問題も。それは自動車税の高さだ。排気量の大きさと自動車税の高さはイコール。どんなに好きでも、毎年10万円前後の税金を取られ続けるのはやはりキツイ。
日本人がアメリカ車を選ばない理由もまさにこれに尽きると筆者は考えていて、トランプ大統領には他国の車検制度や安全基準に因縁めいたケチをつける前に、この高すぎる自動車税を何とかしてくれないかなぁ……。そこの部分では、もっと強い圧力を期待していたりする。
|
![]() |