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29日から、中小のスーパーや小売店向けに備蓄米の販売が始まり、条件について意見が分かれている。

農水大臣が古古古米の試食会を開き、イベントでは成功したが、一部の中小スーパーや米店は条件に不満を示している。

中小スーパーにとっては条件が厳しいため、落胆の声があがっている。

また、備蓄米のネット通販でも瞬く間に売り切れる事態となり、買い物が難しい状況がつづいている。

売り出しの様々な情報や米農家の意見も含め、これからの展開に注目が集まっている。

(要約)

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29日、大手小売りへの引き渡しが始まった備蓄米ですが、早速、ネット販売では“売り切れ”が相次ぎました。30日からは中小のスーパーなどに向け、4年前の備蓄米=古古古米の申し込みが開始されますが、夕方発表された予想外の条件に落胆の声があがっています。 

 

■備蓄米の販売が開始も…「現場の状況とはかけ離れた条件」 

 

小泉進次郎 農水大臣 

「町のお米屋さんの枠も作り、中小のスーパーにも枠を作り、その中でどれぐらい手が挙がっているかを見たいと思う」 

 

中小の事業者にとって、待ちに待った“備蓄米の販売”。しかし、現場からはこのような声が上がっていました。 

 

スーパー 

「いやー、だめでしたね」 

 

コメ店 

「現場の状況とはかけ離れた条件だったかなと」 

 

■小泉大臣「古古古米」を“生産年を知らず”試食かと思いきや… 

 

職員 

「では試食会を始めます。大臣まずは召し上がっていただきたいと思います」 

 

5月29日、小泉農水大臣が記者を集めて行ったのは、30日から中小の事業者を対象に随意契約を開始する「古古古米」、2021年産の米を含む備蓄米の試食会です。 

 

4年分の備蓄米を、どの年のものか隠した状態で試食しました。 

 

小泉進次郎 農水大臣 

「率直に、僕はどれ食べてもおいしくいただけます」 

 

Q.大臣が令和3年(2021年)産と思うのは? 

 

小泉進次郎 農水大臣 

「ちょっと他よりも少し硬さを感じたのは、この赤い(印がついた)のなんですが…正解を見ます。…合ってた」 

 

古古古米を的中させた小泉大臣ですが… 

 

Q.古古古米を食べたのは初めて? 

 

小泉進次郎 農水大臣 

「そうですね、今日初めてです」 

 

一方、この試食会の直前に各テレビ局のキャスターと1対1の形式で試食が行われました。 

 

山形純菜キャスターも、生産年を隠した状態で試食してみました。 

 

山形純菜キャスター 

「全部おいしいですね」 

 

小泉進次郎 農水大臣 

「普通にいただけましたか。それでは正解を。こちら(赤)がお米屋さんや中小スーパーの1800円の(ものです)」 

 

 

このとき、小泉大臣は「赤が古古古米」だと正解発表していました。しかし、その後の試食会で… 

 

小泉進次郎 農水大臣 

「ちょっと他よりも少し硬さを感じたのは、この赤い(印がついた)のなんですが…正解を見ます。…合ってた」 

 

■備蓄米の契約条件に中小スーパーから落胆の声 

 

5月30日から始まる、中小スーパーや町の米店を対象とした備蓄米の申し込み。小泉大臣は5キロ1800円で店頭に並ぶとしています。 

 

ようやく訪れたチャンスに意気込んでいたのは、横浜市の「スーパーセルシオ」。 

 

スーパーセルシオ和田町店 鶴田英明 店長 

「今まで取り扱えなかったコメなので、それが取り扱えるのはチャンスだなと」 

 

利用客も… 

 

利用客 

「(味が)落ちても安ければ買います。それくらいみんな困っています」 

 

こうした中、夕方、中小スーパーなどへのオンライン説明会が行われました。しかし… 

 

スーパーセルシオ和田町店 鶴田英明 店長 

「年間1000トン以上の小売り事業者みたい、対象は。おそらく対象外になるのではないかな」 

 

Q.率直に聞いて? 

 

スーパーセルシオ和田町店 鶴田英明 店長 

「残念ですね」 

 

農水省が説明した、備蓄米を買える中小の小売業者は、年間1000トン以上の取り扱い実績が必要だということが判明したのです。 

 

「スーパーセルシオ」は要件に当てはまりませんでした。 

 

1000トン以上という数字は、専門家によると、10前後の店舗数を持つチェーン店などに限られるといいます。 

 

新潟市のスーパー「ichiman」でも… 

 

ichiman 高井栄二朗 店長 

「(うちが年間で)20トンちょい。全然足りないです。なので、備蓄米は入らない確定」 

 

■「まったくもって非現実的」引き渡し量に米店も困惑 

 

一方で、精米能力を持つ米店は取り扱い実績の制限はありませんが、国から引き渡されるのが「最低10トンまたは12トン」ということで、これがネックになっているといいます。 

 

山菊米殻店 雨間瑞秀さん 

「最低ロットが10トンですから、30キロの紙袋でいうと334袋。置くところもないし、前の道に10トン車が入ってこれませんし、まったくもって非現実的です」 

 

品質もわからない古古古米を10トン以上購入するのは、リスクが高すぎると話す雨間さん。 

 

 

山菊米殻店 雨間瑞秀さん 

「まずフォークリフトを持っている業者じゃなきゃ無理ですし、うちにフォークリフトありませんから。それを手降ろしとなると、340袋、何時間かかるんでしょうかね?精米設備もありますし、お米屋さんに任せようって思ってくれたのかと、一瞬思ったんですけど、いざ蓋を開けてみたら10トンかと…10トンの精米はできませんね」 

 

■いつ、どこで買える?「アイリスオーヤマ」は6月から販売開始  

 

一方、2022年産の備蓄米“古古米”の、大手小売りへの引き渡しが30日から始まりました。 

 

「政府備蓄米」と書かれたシール。その手前を流れるのは米が詰まった袋。シールが貼られ、ダンボールに詰められていきます。 

 

1万トンを購入した「アイリスオーヤマ」。30日午前、第1便の12トンを積んだトラックが、宮城県の精米工場に到着しました。 

 

玄米の状態で水分量などの検査を行い、問題がなければ精米、袋詰めしていきます。 

 

売り出し価格は5キロで2160円(税込み)。宮城県と千葉県、神奈川県の合わせて3店舗で、6月2日から販売されます。 

 

アイリスオーヤマ 田中伸夫 管理本部 本部長 

「第1回目は本当に限られた量で、手に渡る数が少なく、大変恐縮ではあるが、第2、3弾で入荷次第、早く店頭に並べていきたいと考えている」 

 

この随意契約の「古古米」。他にはいつ、どこで買えるのでしょう。 

 

大手スーパー「イオン」は6月初旬をめどに全国で販売を予定。 

「イトーヨーカドー」は、6月以降をめどに、全国197店舗で5キロ2160円(税込み)を基準に販売を予定しています。 

 

ドン・キホーテの運営会社「パン・パシフィック・インターナショナル」は転売を防ぐ目的で、アプリ会員限定で、首都圏から順次全国販売し、価格は5キロ2000円前後になる予定です。 

 

※価格・予定は変更となる可能性もあります 

 

■開始20分で完売 ネット販売するも瞬殺でなかなか買えない 

 

動き始めた「古古米」。小泉大臣は素早く届けることに自信をのぞかせます。 

 

小泉進次郎 農水大臣(参院農水委 5月30日午前10時半すぎ) 

「当初私が想定する以上に、備蓄米の販売のあり方も多様化した形が想定される」 

 

販売の多様化。その1つがネットです。しかし… 

 

宮崎仁美 記者 

「予約販売開始から1時間たたずに、もう完売してしまいました」 

 

 

午後1時から始まった「アイリスオーヤマ」のネット通販では、開始20分で初日分が完売。「楽天グループ」も29日から通販サイトで販売を始めましたが、こちらも初回分はすぐに完売しました。「LINEヤフー」も午後8時過ぎに50トン分を予約販売しましたが、24分で売り切れました。 

 

ネット上には、「瞬殺で買えなかった。なんだか買える気がしなくなってきた」「こりゃ、しばらくソーメンだな」という声が上がっていました。 

 

一方で、購入できた人もいます。夫と2人の子供と暮らす向井実沙さん(36)。 

 

2児の母 向井実沙さん 

「常に安いお米を探していたので、今回、備蓄米が出たら絶対買いたいと思ってた」 

 

家計を悩ませるコメの高騰。コメを控える日も増えました。 

 

2児の母 向井実沙さん 

「(コメを)炊いてあげられず、麺とかで我慢してもらった時は心苦しかった」 

 

備蓄米は6月中旬に届くそうです。 

 

2児の母 向井実沙さん 

「備蓄米が本当に家に来るというのに、家族みんなで喜んでいて。(子どもは)おにぎりが好きなんですけど、『おにぎり我慢しなくていいの?』と言って喜んでいました」 

 

一方、転売防止の動きもあり、「LINEヤフー」「メルカリ」が備蓄米の出品の禁止を発表。不正がないか、AIも活用し、監視するとしています。 

 

■コメ農家の訴え「大規模な生産農家を育成」「付加価値の高いおコメ作り」 

 

5月29日午後5時ごろ、JA全中の山野徹会長と面会した小泉大臣。備蓄米の放出に対する理解を得られたと話しました。 

 

小泉進次郎 農水大臣 

「消費者のコメ離れを防ぐ。この思いは同じだということで、ご理解をいただいて、生産者にも安心のメッセージになるのでは」 

 

今の状況を、米農家はどう見ているのか。備蓄米の放出で、コメの価格は3極化する見込みですが… 

 

農業生産法人 金井農園 金井繁行 代表 

「どれを選ぶかは消費者が自分で選ぶ。これが私は非常にいいと思っている」 

 

こう話すのは、群馬県沼田市で170年以上続く農家の7代目・金井繁行さん。JAを通さず、生産から販売までを自前で行っています。 

 

農業生産法人 金井農園 金井繁行 代表 

「おコメ分けてもらえる?外国人が100万円の札束持って買いに来る」 

 

取引のない人から、このようなリクエストもあったといいます。 

 

 

 
 

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