( 295488 ) 2025/05/31 06:44:54 0 00 TBS NEWS DIG Powered by JNN
29日、大手小売りへの引き渡しが始まった備蓄米ですが、早速、ネット販売では“売り切れ”が相次ぎました。30日からは中小のスーパーなどに向け、4年前の備蓄米=古古古米の申し込みが開始されますが、夕方発表された予想外の条件に落胆の声があがっています。
■備蓄米の販売が開始も…「現場の状況とはかけ離れた条件」
小泉進次郎 農水大臣 「町のお米屋さんの枠も作り、中小のスーパーにも枠を作り、その中でどれぐらい手が挙がっているかを見たいと思う」
中小の事業者にとって、待ちに待った“備蓄米の販売”。しかし、現場からはこのような声が上がっていました。
スーパー 「いやー、だめでしたね」
コメ店 「現場の状況とはかけ離れた条件だったかなと」
■小泉大臣「古古古米」を“生産年を知らず”試食かと思いきや…
職員 「では試食会を始めます。大臣まずは召し上がっていただきたいと思います」
5月29日、小泉農水大臣が記者を集めて行ったのは、30日から中小の事業者を対象に随意契約を開始する「古古古米」、2021年産の米を含む備蓄米の試食会です。
4年分の備蓄米を、どの年のものか隠した状態で試食しました。
小泉進次郎 農水大臣 「率直に、僕はどれ食べてもおいしくいただけます」
Q.大臣が令和3年(2021年)産と思うのは?
小泉進次郎 農水大臣 「ちょっと他よりも少し硬さを感じたのは、この赤い(印がついた)のなんですが…正解を見ます。…合ってた」
古古古米を的中させた小泉大臣ですが…
Q.古古古米を食べたのは初めて?
小泉進次郎 農水大臣 「そうですね、今日初めてです」
一方、この試食会の直前に各テレビ局のキャスターと1対1の形式で試食が行われました。
山形純菜キャスターも、生産年を隠した状態で試食してみました。
山形純菜キャスター 「全部おいしいですね」
小泉進次郎 農水大臣 「普通にいただけましたか。それでは正解を。こちら(赤)がお米屋さんや中小スーパーの1800円の(ものです)」
このとき、小泉大臣は「赤が古古古米」だと正解発表していました。しかし、その後の試食会で…
小泉進次郎 農水大臣 「ちょっと他よりも少し硬さを感じたのは、この赤い(印がついた)のなんですが…正解を見ます。…合ってた」
■備蓄米の契約条件に中小スーパーから落胆の声
5月30日から始まる、中小スーパーや町の米店を対象とした備蓄米の申し込み。小泉大臣は5キロ1800円で店頭に並ぶとしています。
ようやく訪れたチャンスに意気込んでいたのは、横浜市の「スーパーセルシオ」。
スーパーセルシオ和田町店 鶴田英明 店長 「今まで取り扱えなかったコメなので、それが取り扱えるのはチャンスだなと」
利用客も…
利用客 「(味が)落ちても安ければ買います。それくらいみんな困っています」
こうした中、夕方、中小スーパーなどへのオンライン説明会が行われました。しかし…
スーパーセルシオ和田町店 鶴田英明 店長 「年間1000トン以上の小売り事業者みたい、対象は。おそらく対象外になるのではないかな」
Q.率直に聞いて?
スーパーセルシオ和田町店 鶴田英明 店長 「残念ですね」
農水省が説明した、備蓄米を買える中小の小売業者は、年間1000トン以上の取り扱い実績が必要だということが判明したのです。
「スーパーセルシオ」は要件に当てはまりませんでした。
1000トン以上という数字は、専門家によると、10前後の店舗数を持つチェーン店などに限られるといいます。
新潟市のスーパー「ichiman」でも…
ichiman 高井栄二朗 店長 「(うちが年間で)20トンちょい。全然足りないです。なので、備蓄米は入らない確定」
■「まったくもって非現実的」引き渡し量に米店も困惑
一方で、精米能力を持つ米店は取り扱い実績の制限はありませんが、国から引き渡されるのが「最低10トンまたは12トン」ということで、これがネックになっているといいます。
山菊米殻店 雨間瑞秀さん 「最低ロットが10トンですから、30キロの紙袋でいうと334袋。置くところもないし、前の道に10トン車が入ってこれませんし、まったくもって非現実的です」
品質もわからない古古古米を10トン以上購入するのは、リスクが高すぎると話す雨間さん。
山菊米殻店 雨間瑞秀さん 「まずフォークリフトを持っている業者じゃなきゃ無理ですし、うちにフォークリフトありませんから。それを手降ろしとなると、340袋、何時間かかるんでしょうかね?精米設備もありますし、お米屋さんに任せようって思ってくれたのかと、一瞬思ったんですけど、いざ蓋を開けてみたら10トンかと…10トンの精米はできませんね」
■いつ、どこで買える?「アイリスオーヤマ」は6月から販売開始
一方、2022年産の備蓄米“古古米”の、大手小売りへの引き渡しが30日から始まりました。
「政府備蓄米」と書かれたシール。その手前を流れるのは米が詰まった袋。シールが貼られ、ダンボールに詰められていきます。
1万トンを購入した「アイリスオーヤマ」。30日午前、第1便の12トンを積んだトラックが、宮城県の精米工場に到着しました。
玄米の状態で水分量などの検査を行い、問題がなければ精米、袋詰めしていきます。
売り出し価格は5キロで2160円(税込み)。宮城県と千葉県、神奈川県の合わせて3店舗で、6月2日から販売されます。
アイリスオーヤマ 田中伸夫 管理本部 本部長 「第1回目は本当に限られた量で、手に渡る数が少なく、大変恐縮ではあるが、第2、3弾で入荷次第、早く店頭に並べていきたいと考えている」
この随意契約の「古古米」。他にはいつ、どこで買えるのでしょう。
大手スーパー「イオン」は6月初旬をめどに全国で販売を予定。 「イトーヨーカドー」は、6月以降をめどに、全国197店舗で5キロ2160円(税込み)を基準に販売を予定しています。
ドン・キホーテの運営会社「パン・パシフィック・インターナショナル」は転売を防ぐ目的で、アプリ会員限定で、首都圏から順次全国販売し、価格は5キロ2000円前後になる予定です。
※価格・予定は変更となる可能性もあります
■開始20分で完売 ネット販売するも瞬殺でなかなか買えない
動き始めた「古古米」。小泉大臣は素早く届けることに自信をのぞかせます。
小泉進次郎 農水大臣(参院農水委 5月30日午前10時半すぎ) 「当初私が想定する以上に、備蓄米の販売のあり方も多様化した形が想定される」
販売の多様化。その1つがネットです。しかし…
宮崎仁美 記者 「予約販売開始から1時間たたずに、もう完売してしまいました」
午後1時から始まった「アイリスオーヤマ」のネット通販では、開始20分で初日分が完売。「楽天グループ」も29日から通販サイトで販売を始めましたが、こちらも初回分はすぐに完売しました。「LINEヤフー」も午後8時過ぎに50トン分を予約販売しましたが、24分で売り切れました。
ネット上には、「瞬殺で買えなかった。なんだか買える気がしなくなってきた」「こりゃ、しばらくソーメンだな」という声が上がっていました。
一方で、購入できた人もいます。夫と2人の子供と暮らす向井実沙さん(36)。
2児の母 向井実沙さん 「常に安いお米を探していたので、今回、備蓄米が出たら絶対買いたいと思ってた」
家計を悩ませるコメの高騰。コメを控える日も増えました。
2児の母 向井実沙さん 「(コメを)炊いてあげられず、麺とかで我慢してもらった時は心苦しかった」
備蓄米は6月中旬に届くそうです。
2児の母 向井実沙さん 「備蓄米が本当に家に来るというのに、家族みんなで喜んでいて。(子どもは)おにぎりが好きなんですけど、『おにぎり我慢しなくていいの?』と言って喜んでいました」
一方、転売防止の動きもあり、「LINEヤフー」「メルカリ」が備蓄米の出品の禁止を発表。不正がないか、AIも活用し、監視するとしています。
■コメ農家の訴え「大規模な生産農家を育成」「付加価値の高いおコメ作り」
5月29日午後5時ごろ、JA全中の山野徹会長と面会した小泉大臣。備蓄米の放出に対する理解を得られたと話しました。
小泉進次郎 農水大臣 「消費者のコメ離れを防ぐ。この思いは同じだということで、ご理解をいただいて、生産者にも安心のメッセージになるのでは」
今の状況を、米農家はどう見ているのか。備蓄米の放出で、コメの価格は3極化する見込みですが…
農業生産法人 金井農園 金井繁行 代表 「どれを選ぶかは消費者が自分で選ぶ。これが私は非常にいいと思っている」
こう話すのは、群馬県沼田市で170年以上続く農家の7代目・金井繁行さん。JAを通さず、生産から販売までを自前で行っています。
農業生産法人 金井農園 金井繁行 代表 「おコメ分けてもらえる?外国人が100万円の札束持って買いに来る」
取引のない人から、このようなリクエストもあったといいます。
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