( 295658 ) 2025/06/01 05:23:08 0 00 退職届提出で注目が集まる宮城野親方
元横綱・白鵬の宮城野親方が相撲協会に退職届を提出したことが明らかになった。協会側は受け取りを保留扱いにしており、宮城野部屋の処遇について6月2日の臨時理事会で話し合われることになるという。相撲協会に留まれば親方としての厚遇が保たれることになるが、宮城野親方は退職によりそれを手放すことになるのか。
弟子の不祥事により宮城野部屋は一時閉鎖となり、昨年4月から師匠・弟子ともに同じ一門の伊勢ヶ濱部屋へ転籍となっていた。相撲ジャーナリストが言う。
「部屋の再興がいつまでも認められないことに白鵬がしびれを切らした格好で、厳しい処遇を継続する考えの執行部はすんなり退職を認めるとみられていたが、実際に退職届が提出されると受理せず、説得に回っているという。退職報道に対する世間の関心の高さに執行部も驚き、対応に苦慮している状況です」
ただ、6月9日には伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)と照ノ富士親方の名跡交換が決まっており、照ノ富士親方の伊勢ヶ濱部屋継承が目の前に迫っている。若手親方が言う。
「白鵬が退職を決意したのはモンゴルの後輩横綱である照ノ富士親方との関係が原因。現役時代の実績も親方としてのキャリアも自分が上なのに、照ノ富士親方のもとにつくことはできない。伊勢ヶ濱部屋を照ノ富士親方が継承するタイミングで宮城野部屋の再興を期待したが、理事会での議題にも上がらなかった。協会側から漏れ聞こえてきたのは、八角理事長(元横綱・北勝海)の体制が続く限り宮城野部屋の再興はないというものだった」
同じ伊勢ヶ濱一門でモンゴル出身の大島親方(元関脇・旭天鵬)の部屋や手が合う朝日山親方(元関脇・琴錦)の部屋への移籍を申し入れても、「協会側の答えは“ノー”だった」(同前)という。
6月2日の臨時理事会では、「協会は“宮城野部屋をすぐに再興させる”“再興の時期を決める”“大島部屋などの転籍を認める”“退職を受理する”の4つの選択肢から対応を決める。白鵬の退職の意思は固く、すぐに再興できる以外の場合、再度退職届を出すようだ」(相撲担当記者)とみられている。
臨時理事会の結論で今後が決まることになりそうだが、退職が決まった場合に失うものは大きい。現役引退後の力士が親方として協会に残るためには、105しかない年寄名跡を襲名する必要がある。その限られた椅子を手に入れれば、厚遇が保障されるのだ。協会関係者が言う。
「平年寄でも年収約1200万円、理事なら年収2000万円超という給料が65歳の定年まで支払われる。収入は下がるが70歳までの雇用延長もあります。さらに、親方衆から不平不満が出ないため、協会から相撲部屋にも十二分なカネが支払われる。現在、45の相撲部屋があるが、部屋を運営する親方には幕下以下の力士を1人抱えるごとに毎月の力士養成費、2か月に一度の場所ごとの相撲部屋維持費、稽古場維持費が支払われる。協会からは年間で幕下以下1人につき約180万円が支給されるのです」
また、関取になると、名目が「養成奨励金」に変わり、年間100万円単位で手当が入ってくる。さらに、部屋の力士が幕内で人気ともなれば、後援会の宴会や場所後などのパーティーによる副収入もある。
「一部の有望力士は別にして、どの部屋でも年間約180万円の手当が目的で入門させられる青少年も少なくない。強くならないだろうと思っていても、お金が落ちているという感じで入門させるわけです。過去には、すでに逃げ出した力士の廃業届を出さずに手当を受け取り続ける“幽霊力士”の例もあった」(部屋付き親方)
そのため関取がいなくても、「力士が5人もいれば部屋経営は十分に成り立つ」(同前)といわれている。45部屋に所属する力士の総数は約600人。1部屋あたり平均13人の力士を抱えており、協会から1年間の支給される額は約2340万円に及ぶわけだ。
「40歳の白鵬も定年までの25年間で得られる給料は少なくとも3億円という計算になるし、宮城野部屋が再興されれば所属力士の人数に応じた手当も入ってくる。一方、それに比べると協会を辞めた際の退職金は雀の涙程度になる。協会理事を4期務めた貴乃花親方が辞めた時の退職金は約1000万円で、それと同程度の功労金が支払われたとされる。降格処分などが影響して減額されたというが、それでも親方を13年間務めての額。白鵬は親方になって4年で、しかも降格処分を受けて最下位階級の平年寄になっている。退職金と功労金を合わせても数百万円程度になるでしょう
白鵬が現役引退した時は特別功労金や引退相撲の祝儀で数億円単位の収入があったはずだが、今回はそうはいかない。退職した場合は“第二相撲協会”を立ち上げるとか、大手自動車メーカーと組んでスポーツビジネスを展開するなどの噂が出ているが、相撲協会に残ってトップを目指すほうが大きな仕事ができるのでは」(前出・協会関係者)
果たして6月2日の臨時理事会でどのような結論が出るのか。
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