( 295663 ) 2025/06/01 05:29:34 0 00 随意契約で売り渡された政府備蓄米の店頭販売が31日、各地のスーパーなどで始まった。政府の狙い通り「5キロ・グラム2000円」の価格がつき、この日販売分の米袋はあっという間になくなった。コメ価格の高騰に悩まされてきた人たちは安価なコメを手にして笑顔を見せた一方、当面は購入希望者が殺到して品薄が続くとみられ、買えなかった人の不満も募りそうだ。(渡辺星太、東北総局 吉田一葵)
店頭に並んだ備蓄米を買い物客に渡す従業員ら(31日午前、東京都大田区で)=上甲鉄撮影
生活用品大手の「アイリスオーヤマ」グループのホームセンター「ダイシン幸町店」(仙台市宮城野区)では、5キロ2160円(税込み)の備蓄米95袋を売り出した。雨の中、午前4時頃から最大250人ほどが列を作り、整理券が配布された。90歳代の祖父母に渡すために購入したという仙台市青葉区の主婦(51)は「コメが高くなり、生活が困窮していると聞いていた。無事に買えて良かった」と安堵(あんど)していた。
東京都大田区の「イトーヨーカドー大森店」でも同じ価格で備蓄米が並んだ。用意された500袋を目当てに午前5時半から順番待ちの列ができ、午前10時の開店前に整理券の配布が終わった。近くに住む女性(78)は整理券を手に、「1袋2000円は魅力的で、今後も備蓄米を買うつもりだ」と喜んだ。
「こんなに早く売れてしまうとは思わず、びっくりした」。開店時間を目がけて同店を訪れた東京都品川区のパート従業員女性(52)は、すでに整理券の配布が終わっていたことを知ってぼう然とした。
高校1年と小学6年の娘がいて、日々の弁当にはコメが欠かせない。「1袋3500円ほどのコメを日々探している。物価高が家計を圧迫しており、コメが安く手に入るようになってほしい」と語った。
アイリスグループの「ユニディ松戸ときわ平店」(千葉県松戸市)でも、整理券を手に入れられなかった松戸市のパート従業員の女性(41)が「買えなくて残念」と肩を落とした。中高生の子ども2人を育て、1週間に5キロのコメを消費する。「家計は厳しい。備蓄米がもっと行き渡るようにしてほしい」と訴えた。
備蓄米の流通量が限られる中、一人でも多くの消費者に届けることは小売店にとっても課題だ。
アイリスグループの店舗ではこの日、販売個数を「1人1袋」に限定した。整理券配布の際、列を1列に絞り、列を崩さぬまま手渡しすることで「2度取り」を防いだ。イトーヨーカドーは「1家族あたり1袋」とさらに販売を制限。同店は「なるべく多くの人にお求めいただきたい」と話す。
6月1日には、イオンやディスカウント店「ドン・キホーテ」の一部店舗でも販売が始まる予定だ。
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